連覇へ不安なし!トランセンド
2012/2/12(日)
安田景一朗調教助手(栗東・安田隆行厩舎)
昨年はJBCクラシックでスマートファルコンに屈したものの、 フェブラリーS、南部杯、JCダートと、中央場所で行われた3つのダートGⅠを制し、ドバイWCでも2着になったトランセンド(牡6、栗東・安田厩舎)。 もはや、日本競馬の枠を超越した存在となりつつある同馬が、2012年初戦のフェブラリーSで、どんな走りをみせてくれるのか? レースに向けての意気込みを厩舎のスポークスマン的存在でもある安田景一朗調教助手を今回も尋ねた。
-:ドバイWCに選出されましたね。おめでとうございます。今年も順調なら、フェブラリーS後はドバイ遠征ですよね。
(安田景一朗調教助手、以下、景):ありがとうございます。そうですね。行く事になると思います。
-:もしも行くならば、カレンチャン(牝5、栗東・安田厩舎)も一緒に遠征するのでしょうか。
景:カレンチャンは、この春は国内に専念して、宮杯(高松宮記念)が終わってから、どういうプランになるか、オーナーと調教師が相談して決めると思います。春は宮杯一本です。女の子なんでね、ドバイに行くのは勇気がいりますし……。
-:女の子の方が環境の変化に強かったりしますよね?
景:香港とドバイのゴールデンシャヒーンではレベルも違うと思います。香港では窮屈なシーンもあったりして5着でしたから世界でも通用するメドは立ったんです。でも、オーナーからすると、一歩一歩階段上って国内で確固たる地位を築いてから、もう一回挑戦してみたいという考えがあるみたいなんです。
-:国内スプリント路線ではトップクラスのイメージがありますが、去年の夏一気に強くなりましたよね。
景:そうなんですよ。去年がんばってくれたんでそんなに無理することもないのかなとも思います。今年の宮杯を視野に入れての香港遠征だったんで、ドバイに行くなら香港は使わなかったと思いますし。
-:そして今回のトランセンドの話に入りますが、ずっと取材させてもらっていてトレセンだけでは仕上がりにくいという話がありましたが?ドバイ帰りの休み明けだった南部杯でもスタートから追い通しでした。
景:去年の秋は南部杯、JBCクラシック、JCダートと3走したのですが、番手の競馬と逃げるのでは馬がまったく違うでしょう?番手だと馬が遊んで、最後まで本気で走ってくれません。その点、逃げると自分でハミとって最後までスムーズに走ってくれます。藤田騎手もそう言っていましたよ。
-:今回は休み明けになります。
景:今回は中間に短期放牧で大山ヒルズには行ってないので、休み明けでゆるんでいるということはありません。いい感じで集中力が持続しているので、南部杯のようなモサッとしたとこはないと思います。去年の南部杯はドバイから帰って、馬を充電させたので競馬の勘が鈍っていたのかもしれません。JCダートを勝ってから、今回は“これでもか!”というくらい調教を積んできたので馬がどんどん良くなっていく一方ですよ。いろんな意味で去年の南部杯より自信があります。距離が千八なら、もっと自信はあるのですが(笑)。千六だとテンの速い馬もいるので、行けるかどうかが少し心配です。
-:まだ枠も決まってないから余計に考えてしまいますよね。
景:内枠なら腹をくくって行くでしょうし、外枠でも多分行くと思います。それは藤田騎手が一番わかっていることなので。行くまでに脚は使うと思いますが、南部杯よりはスッといけると思います。
-:南部杯のようなズブさを出すシーンはなさそうですね。
景:今回に関してはないと思いますけどね。結局あれはズブさではなく、馬が本気で走っていなかっただけなんです。JBCは次のJCダートを獲りたいという競馬でした。もっとスマートファルコンをマークしていたら、僕は勝っていたと思います。ただ負けは負けなんでね……。今更言ってもどうにもなりませんから。
それにトランセンドは叩き良化型という気もしないです、ポン駆けも利くので。ただ南部杯はドバイ帰りで休ませて、半年も開きましたから。その点、今回は3週続けてPコースで74秒。昨日(8日)は終い11.5秒という、これ以上ない調教をやってますし、あの時とは仕上り具合が全然違います。

-:時計だけ見ても凄いんですが、Pコースで目一杯攻めるというのは体が丈夫ということなのでしょうね。まず、故障が怖くてあそこまで時計を出せる馬も少ないですよ。
景:ほんとに丈夫ですね。凄いと思います!あの調教に応えて馬がまた良くなっていきます。負荷はかかっているんでしょうけど、表には出さないです。脚元も丈夫ですし、本当に素晴らしい馬です。
-:ということは、今回は穴党には出番がないフェブラリーSになりそうですね(笑)。
景:いやいや、そう簡単にはいきませんよ(笑)。エスポワールもワンダーアキュートも怖いです。
-:エスポワールは今回、武豊騎手になって、前に行くのか、下げて差す競馬をするのか気になります。
景:トランセンドという馬は、どんな調教するとか、時計がどうだとか、相手がどうとか……、そういう次元の馬ではないと思っています。世界でもトップクラスの馬ですから、相手がどう出ようとトランセンドを信用しています。世界のトップを目指している馬ですから。ドバイWCで去年もあそこまできましたからね。今年のドバイ遠征のためにもいいステップにしてほしいです。
-:去年のドバイWCはスローペースで納得のいかない騎手もいたようですが、すんなり流れた形での勝負も見てみたいです。
景:トランセンドにとったらスローペースじゃなくていいんです。ただ物見をして行かなかったんで、ああいう形になっただけです。今年もドバイWCは逃げられると思うんでね。スマートファルコンが出てきたらわからないですが、面白い競馬になるんじゃないですか。環境の変化にも戸惑わないですし、どこでも調教できますし、それが強みです。レース前に花火がバンバン上がってもイレ込まないですし。
-:走る能力以外も強い馬ですよね。
景:ねぇ~、珍しいですよ。そういう精神的にもタフな馬だから、なんとかしてくれると思いますよ(笑)。
-:マイルという距離は心配ないですよね。
景:正直、短いといえば短いですが府中の千六は芝でもダートでも二千ぐらいのスタミナと能力を求められますからね。あとはこのままレースまでいけば大丈夫じゃないかなと。

-:最終追い切りの想定を教えてください。
景:いつも通り、朝一番で坂路です。
-:チラっと馬を見せてもらったんですが、体重は少し増えていますか。
景:ちょっと増えているぐらいですけど、見た目は太くないです。脚長でスラッとしてダート馬っぽくない体型ですよね。もうちょっと増えても問題ないです。プラマイゼロか増えても4キロぐらいだと思います。
-:馬場は良馬場の方が良いでしょうか?
景:パサパサでもいいですし、雨が降って時計勝負になってもいいですし(笑)。ドバイのAWタペタのヨーイドンでも対応できましたし、なんでもありです!
-:いろいろ質問しましたが心配する必要はなさそうですね。トランセンドを応援しているファンに一言お願いします。
景:『心配いりませんから!』ですかね(笑)。いつも応援してくれてありがとうございます!

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