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白倉孝一調教助手

白倉孝一調教助手


09年にNHKマイルCを制覇。その後は長い休養期間を経て、スプリント路線に転向したジョーカプチーノ。昨年はシルクロードSを制覇。高松宮記念でも1番人気に支持されるまで登り詰めたが、歯痒い競馬が続いている。年明け初戦に選んだ前走のオーシャンSは、不利な条件下で5着。前哨戦としてはマズマズと言えるレース内容をステップに2度目のGI制覇を目指す。

-:ロスのあるレース振りから、5着という内容でしたが、前走のオーシャンSを振り返っての感想をお願いします。

白:休み明けで、少し馬場が緩かったため5着という結果でしたが、パンパンの良馬場だったら、もう少し着順は上がったのかなという内容でした。

-:1枠1番というのも影響もあったのではないでしょうか。

白:そうですね、最内というのは喜べる枠ではなかったですね。以前は先行集団に取り付き引っ張って行く形が多かったのですが、年齢とともにズブくなってきましたので、今はスタートがひと息ですね。それでも前走に関しては、若干掛かりながらでも後方で脚をタメることができたので収穫もあったと思っています。

-:馬自身、この休養で精神的変化というのがあったのでしょうか?

白:調教を積んでいくとカリカリするところがあったのですが、今年に入ってからそのあたりが解消されてきました。追い切ったあとも落ち着いていますし、年とともに肩の力を抜いて、リラックスできるようになったんだなと感じます。使ったあとも、心身ともにいい状態をキープしています。

-:もともと“気で走る”タイプというか、そういう事から考えると、リラックスし過ぎてしまうと、心配な気もします。

白:そういうタイプですね。ただ、ここ最近でも競馬に行けば、しっかり走ってくれます。

-:12キロ減だった馬体重に関してはいかがでしょう。

白:もともと大きな馬で522キロでも結果を出していますので、それほど心配はしていません。ただ時期的なことを考えると、休み明けで馬体減というのは想定外でしたね。



-:2走前の京阪杯はどうみられますか?

白:3走前のスワンSが2着だったのですが、京阪杯の6着というのは納得がいきませんね。あの時ホントに具合が良かっただけに少しガッカリさせられたレースでした。

-:4走前のキーンランドCは9着でした。この時の敗因は何でしょう?

白:負けたときでも決して状態は悪くないんですよ。こちらも自信を持って出走させているんですけど。キーンランドCは、この馬本来の調教ができなかったことに尽きますね。普段はプール調教したあとに、馬場に入れるというパターンなのですが、北海道ではプールがなくて、そのあたりが微妙に影響したのかもしれません。

-:昨年、高松宮記念を終えてから、着順こそ勝ち負けというのはなかったと思うのですが、状態そのものは悪くないという判断でよろしいですか?

白:今回の高松宮記念も状態面は自信を持って臨めますし、精神的な部分もさきほど言ったように、おっとりしていても前走も差のない5着に走っていますので、全く問題はありません。肉体的にも柔らかみが出てきたので、馬体そのものは今が一番いいくらいですよ。

-:白倉さんからみて、3月からオープンした中京コースの適性について、どうみられますか?

白:実際、現地に足を運んでいませんが、以前の中京は平坦で単調なレースが多かったと思うのですが、新コースはエキサイティングな競馬が楽しめそうですね。馬場を確認したのですが、草丈が長く、パワーやタフさが必要とされるコースです。ゴール前には上り坂がありますし、左回りという以外はまったく別の競馬場と考えた方がいいでしょう。どちらかというと東京に似ています。いずれにしても、この馬にとってはピタリ合うコースですね。とりあえず雨だけは降ってほしくないです。

-:今回は左回りになりますが、これまでの戦歴からもプラス材料となりませんか。

白:エエ。中京のファルコンSで勝っていますし、距離は異なりますが、東京でNHKマイルCも制覇したように問題ありません。普段の調教でも左回りの方がスムーズに周回できる馬なので、完璧なサウスポーだと思いますよ。

-:前走の返し馬を目にしたのですが、馬場入りの際に二本脚で立っていたように気合入りが凄いですね。

白:パドックでは大人しいのですが、止まれの号令を覚えているみたいで、そこから気合いが入って行って、地下馬道でどんどんテンションがあがっていくタイプなんです。それで馬場に入ると完全に火が点くという感じになりますね。それも、いつものことですし、まだ走れるバッテリーをたくさん持っていますので、今度は思いっきり走ってくれると思いますよ。

-:昨年は高松宮記念から、京王杯、安田記念と駒を進めましたが、現状の距離適性に関してはいかがですか。

白:1400mでも走れると思うんだけれど、やはり1200mがベストなのかなあ。ペースが速くなりますので、その分、掛かることがなくなりますからレースはしやすいですね。

-:この前みたいに引っ張る馬がいればいいと。その点、今回は引っ張る馬がいますので、展開的にも向きそうですね。

白:そうですねえ。いなければ、自分でも行ってしまう競馬も出来るだろうからね。

-:自分から行くような競馬はもうやらないと。

白:以前の中京コースなら先行しても良かったのですが、流石に新コースの中京ではタフにはなっているから、ジョッキーとしてもしたくはないだろうし、タメていった方が絶対いいと思います。

-:そして、少しでも馬場が硬ければいいと。

白:そうだねえ。でも、今週末も雨が降るらしいねえ。今週はいいにしても、来週は降らないでおいてほしいね。



-:状態や精神面が噛み合ってきただけに “馬場状態”がカギですね。

白:なんとかいい状態でやりたいね。速い時計が出る分には問題ないと思いますし……。かきこんで走るようなキャンターをしているから、一回、ダートでも見てみたいくらいですよ(笑)。でも、芝のスピード競馬でGIを制しているし、去年から、とにかくココを目標にやってきましたからね。

-:とにかく、ここが勝負ということですね。

白:一頭抜けた馬がいるような馬もいる気もしますけれど、混戦模様でもあるでしょうからね。前走は強烈だったロードカナロアは強いですが、ウチのはGIは勝っているからね。

-:でも、ロードカナロアも左回りに経験はありませんからね。付け入る隙もあるかもしれません。

白:あっ?そうなんだ。イイ事聞いたなあ(笑)。やる気がもっと出てきましたよ!

-:では……、二度目のGI制覇を目指す高松宮記念に向けての意気込みを最後にお願いします。

白:去年の暮れからこのレースを最大の目標にしてきましたので、僕らができる最大限のことをして、最高の結果が出せるよう、持っていけたらと思っています。応援のほど宜しくお願いします!

-:お忙しい時間に、本日はありがとうございました。

白:こちらこそ。ありがとうございました。

ジョーカプチーノについての
前回のインタビューはコチラ(中竹和也調教師インタビュー)→





【白倉 孝一】 Kouichi Shirakura

父も厩務員だったことに影響を受けて、競馬界へ足を踏み入れる。初めてトレセンで就業した古川平厩舎、湯浅三郎厩舎を経て、中竹厩舎へ。トレセン歴は約25年間にも及ぶ。
これまでに印象に残った馬は、ジョーカプチーノは勿論のこと、昨年のダービーにも駒を進めたデボネア。日々の仕事のモットーは「毎日、やるべき事をコツコツと繰り返すことが大事じゃないかと思います」と語る。