初めての海外を経験した国分優作騎手
2012/3/25(日)
国分優作騎手
柴田兄弟に次ぐ、JRA史上2組目の双子騎手として2009年に美浦からデビューを果たした国分優作騎手。現在は栗東で着実に経験を積んでいるが、先日、“カタール見習い騎手招待レース”に参加。競馬以前に初の海外を経験したエピソードを振り返ってもらった。
-:先日、「カタール見習い騎手招待レース」に参加されましたが、海外に行かれた経験自体はありましたか?
優:海外は初めてでした。カタールは気候的に湿度がなくて、カラッとしていて過ごしやすかったです。日差しが強くて気温は30℃くらいありましたが、日本の暑さとは違う感じでした。向こうの通貨は“リアル”。1リアルが20円くらいで、缶のコーラが1本40円くらい。日本より多少安めでした。僕が行ったところにはありませんでしたが、都市から離れたところには砂漠もあるらしく、ずっと砂が舞っている感じ。車もすぐに汚れてしまうほどでした。
-:現地にどれくらい滞在はされましたか。
優:3泊5日ですね。飛行機で片道12時間くらい。英語も話す事はできませんが、現地に着いてからはJRAの職員さんに引率してもらって行動しました。でも、飛行機に乗っている時間が本当に長かったですね。こっちに帰ってきた日は、馬に乗ることよりも、一日中、お尻が痛かったことが気になるくらいでしたよ。
-:楽しそうに振り返られているところをみると、この経験自体、楽しんで過ごされたのではないでしょうか。
優:楽しかったです!旅行に行ったような感じでした。レースが終わったあとの夜は近くにかなり大きなショッピングモールがあって、そこへ行ってみました。日本でいうならっばジャスコの3倍くらいはありましたよ。ショッピングモールなのにスケートリンクもあって、向こうの民族衣装のような帽子とマントの服装のままスケートを滑っていて……。「冗談でしょ~!?」って思いました(笑)。
-:その他の生活はどうでした?
優:あの国の人達は適当というか(苦笑)、ホテルに着いて、一時間くらいしたら式典が始まるはずなのに始まらなかったし、牧場に行く時も一時間遅れで出発。着いたと思ったら、運転手の人が場所を間違えて……。しかも、牧場に着いてからも、あるはずの馬が用意されていないし、日本人が如何に真面目かわかりました……(笑)。他には勝負服がないから、貸服を着させられたのに調教師から「俺の服はこれじゃない!」って、戻らされて、着替えさせられたり……。

-:カタールだけでなく、海外の人をみると、日本の勤勉さは余計に身に染みますよね。そして、招待レースですが、まず、カタールのコースはどんな形態でしたか?
優:施設自体は凄かったですよ!コースは一周芝コース1600mくらいの小倉よりちょっと小さいコースです。内がダートコースで、外が芝コースでしたが、この三日間は全て芝のレース。カタールの競馬場はここだけで、開催によって芝を使うか、ダートを使うか、分れているらしいです。ダートの砂は日本と違って、軽くて、脚抜きがいい感じ。クッションも効くし、フワッとしているような砂でした。コース自体は凄く単純な平坦コースですね。だから、4角まで誰も動かないんですよ~。最後の直線でヨーイドン!といった感じでした。
-:ならば、早目に動けば有利になるということもなく。
優:それが向こうの調教師の方も「最後までは動くな」って、指示を出していますからね。それに芝丈も長くて、最後はだいたいの馬がバテているような感じでした。
-:レース自体はどんなスケジュールで行われたのでしょうか。
優:その3日間はイベントのようになっていて、毎日、重賞が2つ3つありました。
1レースが始まるのは午後の2~3時くらい。1日に7レースあって、全レース終わるのが夜の7時くらいでした。ただ、馬券も発売していないし、王族がステータスのためにやっているようなシステムでしたよ。各馬の厩務員も競馬会の職員の人がやっていていました。賞金は地方競馬より高いくらいでしょうか。1着で200万円くらいで騎手には10%。騎乗手当が1鞍6千円でした。
-:向こうの馬のレベルはどれくらいだったのですか?
優:意外と良かったです。2勝した馬で、こっちの500万下で勝負できるかどうか……、というくらい。レーティングで言ったら、僕が乗った馬で80くらいでしょうか。でも、知っている血統はなかったですねえ。
-:そういう血統はどこでチェックを?
優:レーシングプログラムがありました。アラビア語と英語で作られていて、全部カラーでページ数もかなりありました!

-:招待レースはどこの国の騎手が参加されていたのですか?
優:ニュージーランド、オーストラリア、インド、香港、シンガポール、ドバイ……。ヨーロッパ系の人は来ていないですね。みんな英語がペラペラでした。現地の方々はお酒が禁止らしいんですが、ホテルの中はオッケーらしく、現地の人にはみえないような場所で一緒に飲んだりしましたね。周りの年代はそんなにはわからなかったですが、26~27歳くらいの人が5人くらいで、大体が年上。一番下の人が19歳でした。
-:向こうのジョッキーはどんな風貌でした。
優:みんな大きかったですね。180cmを超えている人も沢山いたし、最低斤量が60キロのレースもありましたよ。
-:60キロですか!?障害レースのようですね。
優:僕が乗ったレースも、56キロ、59キロ、60キロのレースに乗りましたよ。しかも、女性限定のレースもあったんですが、そのレースも60キロ!さすがに……でしたよ(笑)。しかも、女性の方々は化粧をして、レースに乗っていました。
-:ある種、カルチャーショックですね(笑)。他の競走で日本でも馴染みの海外の騎手はいましたか?
優:スミヨン騎手が来るはずが、乗る馬が来なくなって、キャンセルになっていました。あとはアラン・ムンロ騎手です。他にはペリエさんですね。でも、現地ジョッキーも知っている人はいませんが、大体がヨーロッパの人達でしたよ。
-:ジョッキールームの雰囲気はどうでしたか?
優:検量室も適当でしたね~。パドックが短くて装鞍も20~30分前にするくらい。適当に量って、鉛も変な形でした。鞍も職員の人がつけてくれるんですが、(鞍と馬の体に挟む)スポンジがあると聞いていたのになくて、馬の背中にどうなのかなあと。それにそのまま乗るのは怖かったです。だから、腹帯だけはキッチリ締めてもらいましたよ。
でも、乗ってみてコロっと転んでしまうんじゃないかと思うほど、気持ち悪いし、返し馬に行ったら、フットワークもゴトゴト。落ちると思いました。レースでも案の定、鞍が重かったんでしょうね。スタートは出ましたが、反応しないんですよ。どんどんスピードに乗って行っても、トップスピードに達した時にゴールみたいな。

-:レースでは総合2位だったようですが、レース自体はいかがでしたか?
優:けれども、一緒に乗った人達の騎乗が危なかったです。コーナーを回れなかったり、バランスが悪い人がいたり。けっこう華奢な人が多くて、返し馬で持っていかれたり、「ダメだろ~」と思いながらみていました。他のレースの女の子なんか、44キロくらいしか体重がない人がいて、引っ張られるがまま。人形みたいにみえました。
鞍もムチャクチャ小さいタイプを使っている人がいました。犬につけるんじゃないか?というくらい(笑)。黒くて、線が入っていて、ゴキブリに似たようなデザイン(笑)。
-:ゴキブリですか(笑)?
優:ハンデ戦では一番軽い人が50キロくらいで、インドの人が身長も170cm以上あって、裸が50キロ。そのままではほぼ乗れないから、それくらい小さい鞍をつかっていました。他にもインナーが襟付きで乗らないといけない代わりに紙みたいなものを首に巻いていたり……。
-:重さを軽くするためですね。
優:裁決室もパトロールビデオの重要な4角が消えていました。僕は最後のレースとかもムッチャ邪魔されて、凄く引っ張っていたのに「映ってないの!?」って。それにパトロールビデオを観に行く人はいなくて、裁決員も一人。抗議をしようにも英語は話せないし、諦めました(笑)。三日間とも一人も裁決室には入っていなかったですよ。だから、ビデオをチェックしに行く際にも裁決員にも面倒くさがられました……。
-:でも、それだけ飄々と振り返られている雰囲気を察すると、初の海外にも臆することはなかったんですね。
優:ハイ!大丈夫でした。でも、どこへ行っても常に香水の匂いがしましたね。アラビアの方って、独特な匂いがしますよ。それはウンザリしました(笑)。日本でつけているものと違うし、みんな同じ匂いのものなんですよね。ホテルの中でもそうでした。
【競馬ラボブログ】国分優作騎手が自身で撮った写真
-:初めての海外を経験して、今後、海外に行きたいとは思いますか。
優:実は今、乗りに行きたいと考えていて、英語の勉強をしています。カタールの商品でipadを貰えたので、英語の教材を買ってやっていますよ。でも、こっちで地盤が出来てからじゃないと怖いですよね。
-:といっても、それはいつになってもそうじゃないですか?ルメール騎手は「海外で勝つ・勝たない以前に外へ出て経験することは大事だ」と言っていました。
優:そうですね。でも、今は減量がとれたばかりなので、もう1~2年したら、海外に行きたいとは思っています。
-:行くとしたらアメリカではなく、ヨーロッパですか?
優:そうですね。もし、決まったら、英会話も本格的に習いたいと思います。
-:過去には美浦から栗東へ移られただけに若くして逞しいですね。では、最後へ今後の抱負をお願いします。
優:(カタールの招待レースは)僕は安全第一で乗っていましたが、レース自体は危ないレースが多くて、やったもん勝ちなところがありました。カタールは競馬が楽しかったことは勿論ですが、違う意味でいい刺激というか、経験になりました。今後、その経験を活かしていければと思っていますので、応援してください!

国分優作騎手自身が現地で購入してきたカタールのお土産(キーホルダー)を1名様にプレゼント!!詳細は後日、プレゼントページで発表致します!!

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■主な受賞 |
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競馬学校時代は成績優秀者に送られるアイルランド大使特別賞を受賞。2009年に弟・国分恭介騎手と共に13年振り2組目の双子騎手としてデビュー。 当初は美浦の国枝栄厩舎に所属していたが、2010年11月より活躍の場を求め、栗東へ長期滞在。本来は4ヶ月程度で美浦へ戻る予定だったが、結果を残したこともあり、2011年3月1日より栗東へ移籍。減量がとれた今も着実に成績を残している。 |







