現在、障害リーディングトップの小坂忠士騎手
2012/4/29(日)
小坂忠士騎手
バアゼルリバーを駆って挑んだ先日の中山グランドジャンプでは2着に終わったものの、今年の障害リーディングでは7勝を挙げてトップにマークしている小坂忠士騎手。
競馬ラボでは昨年、高田潤騎手、白浜雄造騎手との対談で、その素顔を披露してくれたが、初めてのリーディング獲得へ向けて、日々、どんなアプローチで障害レースに挑んでいるのか、当人に迫った。
完敗も……、力を再認識したバアゼルリバー
-:小坂騎手にお話をうかがうのは、昨年の対談以来となります。今年は障害リーディングもキープし、充実の毎日を送られていると思いますが、まず、敗れはしたものの、2着に好走した先日の中山グランドジャンプのバアゼルリバーは頑張りましたよね。
小:まあ……(苦笑)。相手が強かったですね。前回のレース後の雰囲気も良くて、もう本当にG2を勝った時よりはいいかなとは思っていたし、走ったあとの結果を見ても、「あの馬自身は、しっかり走れていたな」というのはあったんで。
-:ファンにもまだ馴染みは浅いと思いますが、バーゼルリバーのキャラクターというか、どんな馬ですか?
小:初障害で7着だったんですけど、全然ついて回れず……、その時は正直、焦りましたけどね。
-:では、そのころから考えたら、ここまで出世してくるとはあまり想像していなかったんですか?
小:いや、そういうわけではないですよ。もともとは、もっと走るものだと思って初障に臨んだわけです。
-:ああ、そう思っていて、それがダメだったから焦ったと。
小:はい、道中で「あれ?あれ?」っていう (笑)。ただ、直線の伸びだけは、いい意味で異常だったんで、「もう取りあえずケツのほうでもついて回れたら、差せるようになるな。あと2戦くらいで障害に慣れてくれたら」と思っていたら、2走目で激変してくれましたもんね。
-:平地では準オープンまでいった馬ですよね。その変化した理由というのは、何か要因というのはあるんですか?
小:どうなんでしょう。馬の中で何か変わったのと違いますか(笑)?
-:そんな不確かな感じだったんですね。
小:もう、2戦目なんて、1個目を飛んだ時から、好位につけていたので「あれっ?」と思って。「こんなところで競馬していいのかな」と、逆に思っちゃいました。「ぶっちぎるな」と思っちゃいましたもん。
-:障害馬としてのセールスポイントというのは、どういうところなんですか?
小:今回で斤量もこなせるし、距離は長いほうがこの馬にとって良さそうというのは、再認識できましたね。それが強みで、やっぱり未勝利とか、普通のオープンレースって、3000ないし3000ちょいじゃないですか?そういうスピード任せの競馬よりかは、ゆったり流れたところで競馬をしたほうが、この馬の持ち味は出しやすいかと思いますね。
-:でも、中山の障害というと、ちょっと特殊じゃないですけど、中山をこなせるかこなせないかっていうのも、やっぱり要因ではありますよね。
小:今回もちょっと焦ってバンケットの上り下りをしていましたけど、やっぱり、手前変えとかも スムーズでしたし、その対応能力も高いと思いましたね。よく頑張ってくれたなと思っています。
-:レース前はどういうテーマ、心構えで挑んだんですか?
小:「馬はちゃんと飛んでくれるし、無事に回って来られるな」ということは思っていたんで、あとは初コースっていうのがあったし、極力、馬が気を使わなくて走れるような状況下で競馬をしたいと思っていたんです。あの番手からの競馬は僕の中では良かったと思いますし、大障害に向かう時も、少し視野を広くして、周りに馬を置かない状況でできるだけ競馬をしたかったんで。
-:レース後のコメントでも「周りに馬を置かないようにした」とは語られていましたね。
小:はい、そういう競馬をしたかったんで。その点、気をつけていたようにうまく立ち回って来られたかとは思います。まあ、実際、馬の気持ちは分からないから、それが良かったのかはわかりません(笑)。でも、僕の中では「できるだけプレッシャーを減らしてあげて乗りたいな」っていう事と、競馬の形としてはそういう流れで行けたんで。で、外コースに出てからも、馬場のいいところで飛ばせるイメージで行けたんで。だから、もう次からは、番手でレースすることを気にせず、マジェスティ(バイオ)みたいにドッシリ構える競馬もできるだろうし、自信を持って乗れるようにはなってくると思うんですけどね。けっこう自在性あるとは思うんで、乗りやすいですけどね。
-:さっき、馬場のいい所というのがありましたけど、やっぱりあの日の馬場は。
小:内目はやっぱり脚を取られていたりしていたんで、前の馬とかは。
-:やっぱり、障害において、けっこう馬場が悪くなった時というのは、距離が長い分、巧拙じゃないですけど、そこがけっこう重要になってきたりするものじゃないですか。距離が長いから余計にそうなのかと思ったりしたことがあったんですけど。そういうのはないですか?
小:どうなんですかね、それこそ、その馬の重馬場の巧拙の差は出てくると思いますね。で、あの時判断したのは、明らかに、やっぱり外目を走らせているほうがしっかり走れていたんで、向こう正面とか外に出した時、「あ、もう馬場のいい所で」って思って。で、終いは伸びるし、「やっぱり馬場のいい所だな」と。だけど、(勝ち馬に)外からサッと行かれた時はビックリしましたけどね(笑)。
-:まあでも、これからマジェスティバイオが相手としてはつきまとうじゃないですけど、そこがライバルになってくるわけですよね。
小:ええ……、(ライバル)そうなれるようになりたいですね。
-:それでいて、“今回2着がフロックだった”じゃないようにと。
小:ですね。結果も実際に出してきている馬なんで。あとは、僕がしっかり乗ることですね。馬がちゃんと飛んでいるのに首に乗っかっているだけじゃいけませんから。ちょっとまだ人間のほうがアレなんでね(笑)。
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■最近の主な重賞勝利 |
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2001年に境直行厩舎所属で騎手デビュー。同期には川島信二、大庭和弥、難波剛健騎手ら。 |