奥平雅士調教師×高橋摩衣
ワクワクしますね。外国馬もいるし、国内のチャンピオンホースもいるし。セントウルの時も使わせてもらえる事がありがたいという気持ちでしたけど…。
2009/9/30(水)
奥平雅士調教師×高橋摩衣
─:奥平先生、よろしくお願いします。
高:よろしくお願いします。セントウルステークスおめでとうございました。
奥:ありがとうございます。
高:まずはレースを振り返っていただけますか?大外枠からのスタートでしたが。
奥:ちょっと極端な枠でしたね。携帯で枠順を確認していたらスクロールしてもなかなか出てこなくて(笑)。
高:一番下ですもんね(笑)。
奥:はい。でもスタートと二の脚の速い馬ですから、良い位置を取って前々で競馬が出来ましたね。正直あのクラスにしては前半のペースが遅かったですから、3ハロンの通過タイムを見て「これは上手くいっているな」と思いましたよ。
高:ずっと3番手くらいでレースをして。
奥:しかも楽に持ったままというか、なだめながら行っているくらいでしたから。
高:直線を向いた時も期待が高かったんじゃないですか?
奥:そうですね。でも、あれだけのメンバーが出ていましたから、外から何か来るかなという気持ちもありました。でも最後まで頑張ってくれましたね。ちょっと応援にも力が入りました(笑)。スプリント戦であの差がつくのはなかなか凄い事だと思いますし、非常に褒めてあげられる内容だったと思います。
高:スリープレスナイトをはじめとする強豪を破って。
奥:まあ向こうは休み明けだったり、斤量が2キロ重かったりしましたからね。順調さは強みだと思っていました。アルティマトゥーレは今年一年、何の不安もなく淡々とローテーションを守って使ってきた自信はありましたから。ただ格が違うので、その点の不安はありましたけどね。
高:実際のところはやってみなくちゃ分からない、と。
奥:その通り!負けたくないぞ、という気持ちはありましたけど、超一流の相手ですからね。(カレンダーのスリープレスナイトの写真を眺めて)いつも仕事をしている時に睨まれていますよ(笑)。でも、正直な話、ウチはセントウルを勝つか2着に入らないと、もうスプリンターズステークスに駒を進められないような状態でしたから。
高:そうですよね。これで賞金を加算する事が出来ましたね。
奥:だからまずは次へ進むことが出来て良かったというのと、繁殖としても非常に価値の高い馬ですから、勲章を増やせたという事で二重の喜びでした。
高:凄い良血馬ですもんね。
奥:母のエアトゥーレはG2を勝っていますし、海外のG1で2着に入っていますからね。おばあちゃんのスキーパラダイスもヨーロッパのG1を勝っているし、もう社台の中でも超一流の血統ですから。エリートもいいところですよ。もうオープンに行って当たり前、重賞を勝ってようやく、というくらいの極めて特殊な馬です。
高:弟のキャプテントゥーレも皐月賞を勝って。
奥:ねえ。先を越されちゃったから肩身の狭い思いもしていただろうけど…、本当に感慨深いものがありますよね。こちらとしてはホッとしたというのが正直なところです。
高:アルティマトゥーレは1年半ちかい休みを経験されていますが、これは。
奥:ちょっと股関節をおかしくしてしまったんですよね。結構症状も重くて、もう再起は出来ないかもという感じでしたから。まあ、よくぞここまでという気持ちです。
高:長い休養でしたね。
奥:よく牧場も辛抱しましたよ。オーナーもあきらめずに。
高:これだけの血統だと、大ケガをする前に早めに繁殖に、という考えもあったかと思いますけど。
奥:そうですよね。これがオープンくらいまで来ていたら繁殖にあがっていたかもしれないけど、まだ500万でしたからね。もうちょっと頑張ったら、もうちょっと上に行けるんじゃないか、という願いもあったんでしょうね。
高:先生としては「もっと走らせてあげたい」というお気持ちで。
奥:もちろん。ただ、そういう体の事情がありましたし、オーナーサイドの要望も分かっていましたから、無理をする気持ちはありませんでした。
高:最初は栗東の森厩舎にいて、復帰戦の時に初めて先生の厩舎に来たんですね。
奥:そうです。転厩馬として、初めてウチの厩舎に入って来たのが10/3です。だから今度のスプリンターズステークスが10/4だから、ちょうど一年という感じですね。普通はそんな事狙って出来る事じゃないですからね(笑)。その頃は将来の事は考えられなくて、まずは競馬を使ってみて、その後無事かどうかという話でしたから。
高:復帰戦は福島でしたね。
奥:はい。開幕週で芝が軽いから、トモに負担がかからないように、という事でそのレースを狙っていったんです。まあ本当は1400mか1600mがあれば使いたかったんですけど、福島だったので1200mか1800mという選択肢しかなくて。だから短い方に行ったんですけどね。(資料を見ながら)1年半ぶりでも1番人気だったんですね…凄いな。まあ応援込みの馬券もあったんでしょうけどね。まだ1キロの減量がある頃の三浦皇成騎手が乗りましたし。
高:その復帰戦は2着でした。
奥:勝った馬には失礼かもしれないですけど、多分、普通の調教を出来ていれば勝てていたんじゃないかなと思います。やっぱり痛めていた場所が場所だけに、僕らもちょっとおっかなビックリのところがありましたからね。調教もセーブ気味にして。そのあたりに敗因があったと思います。
高:復帰戦のあと、また3ヶ月くらい間があいていますが。
奥:ちょっと脚を引きずっちゃって。直接的には右の股関節だったと思いますけど、ハ行してしまったんです。正直、1年半ぶりのレースを使って2着だったから、今度は楽にサッと勝てると思っていたんですけどね。それで厩舎でいろいろ強い治療もして、大分良くはなったんですけど「競馬に行くのはちょっと微妙かな」という感じだったんで牧場に返したんです。その時はもう戻って来られないかな、と思いましたよ。
高:そうだったんですか。
奥:で、牧場でもいろいろやって、また二ヶ月くらいで厩舎に帰ってきたんです。それで恐る恐る調教を始めていったら大丈夫そうだったから、またレースを使って。そうしたら中京の500万特別で非常に強い勝ち方をしてくれました。
高:その後はコンスタントにレースを使って。
奥:そうですね。牧場から戻って来てからは、疲れは多少残る事はあっても、一回も歩様が乱れた事はありませんから。気になるところがあっても、きちんとケアをしていけば大丈夫でした。
高:体質的に強くなったんですか?
奥:そうでしょうね。馬の成長もちょうどパンとしてきたところだと思います。また、牧場も上手くサポートをしてくれますしね。この馬に関しては山元トレセンとやりとりしているんですけど、両者が大分いろいろと分かって、歯車が噛み合って上手く行っていると思います。
高:ようやく競走馬として本格化してきた感じで。
奥:今、成熟期を迎えてきたといえるでしょうね。ただ、そんなにこの1年でグングン伸びたという訳ではないと思います。元々ありあまる力を持っていると思っていた馬ですから、秘めていた力を上手く出せるようになって来たんだと思います。力を出してあげられる状態に、上手くみんなで持っていけるようになったという事だと思います。
高:そういう環境が整ってきた、と。
奥:そうですね。調教でも気を使いますからね。馬場で乗れる人間も限られていますし、山元トレセンでも調教で乗る人を選んでいるみたいですから。
高:なるほど、それで今回のスプリンターズステークスですが、中山コースは初めてになるんですね。
奥:そうですね。僕のところに来てからはローカル回りばかりだったので。1回だけ阪神で、阪神牝馬ステークスを使って負けて。
高:ちなみに阪神牝馬ステークスの敗因をどんなところにあったと思われますか?
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■主な重賞勝利
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開業2年目には重賞を制覇し、その翌年には初のG1タイトルを手にするなど開業後から急速に成績を伸ばしている。セントウルステークスを勝った管理馬アルティマトゥーレは、スプリンターズステークスの有力候補。ヴィクトリアマイルに続くG1制覇を狙う。 |
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■出演番組
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2006年から2008年までの2年間、JRA「ターフトピックス」美浦担当リポーターを務める。明るい笑顔と元気なキャラクターでトレセン関係者の人気も高い。2009年より、競馬ラボでインタビュアーとして活動をスタート。いじられやすいキャラを生かして、関係者の本音を引き出す。 |








