関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

須貝尚介調教師

須貝尚介調教師(S.R.S)

前哨戦ファンタジーSこそ2着に敗れたが、函館での新馬以来となる4ヶ月振りの出走、それも1800→1400mと流れの異なる競馬だったことを思えば、内容はむしろ賞賛に値する。この中間も主戦の秋山騎手を背にピッチを上げており、同厩舎コレクターアイテムへの下克上があっても何ら驚けない。贅沢な多頭数出しとなる須貝尚介調教師に、同馬が逆転する可能性などを追求してみた。

≪関連リンク≫
・須貝師 最終追い切り後の最新インタビュー



今度の距離延長は何よりもプラス

-:ファンタジーSは負けて強しの内容でした。ローブティサージュについて聞かせてください。

須貝尚介調教師:新馬を勝って、この馬は体がないから、ファンタジーSを狙って行くつもりで放牧に出したんです。新馬勝った時は1800だったんですけど、1400でも外回りというので、使っていった訳なんです。この馬は距離の融通が利くと思ったんでね。

-:体を見させていただいたら、距離の融通が利くというより、もうちょっと長い方に適性がある体に見えるんですけど。

尚:まあ、能力があるので、勝ち負けの自信が結構、この馬に関してはあったんでね。結果、2着だったけれども、ここを目標にしたら賞金加算という意味では良い仕事をしたんじゃないかと思います。そして、阪神JFが目標だったので、キッチリと出れる態勢を整えているのでね。この馬は前回、ああいう競馬になって、他の馬がタレているところを、この馬だけが伸びてきた。上がりを最速で上がってきているので、今度の1600というのは、この馬にはプラスに働くと思います。

-:この馬なんですけど、体がすごくキレイというか……。

尚:シルエットがすごくキレイな馬ですね。



-:品があって、それでいてウォーエンブレムの危うさが薄いというか。

尚:そうそう。ウォーの割にはすごくお利口さんで、この馬も甘えん坊で、コレクターと並ぶほど、お利口さんで乗りやすいですよ。

-:ファンタジーSの時は大外枠と1400ということで厳しいのかなと見てたんですけど、この馬は加速して、ちょっと速いのかなという追い出しで、長く良い脚を使ってますからね。

尚:そうですね。

-:これは距離が延びたら、かなり楽しみなんじゃないかと。

尚:コレクターの良い相手になるんじゃないかなと思ってます。

鞍上が惚れ込むベストルッキングホース

-:先程、体重の話で、ちょっと全体的には小ぶりというか。でも、骨格的には結構、あるじゃないですか。

尚:というか、シルエットはすごくキレイな馬だし、馬が柔らかいというのは、この馬の利点でしょうね。

-:痩せ型ではあるけど、お尻の付くべき所にはちゃんと筋肉が付いてて、理想としてはもうちょっと欲しい?人間で言えばスレンダー体型?

尚:どんなお洋服を着ても、モデルさんみたいなタイプやね、へへへ(笑)。

-:レースの時、ファンは鞍を着けて見るんですけど、立ち写真で裸馬で見たこの馬のキレイさというのは特別な感じがします。

尚:ああ、そうですか。ありがとうございます。

-:この馬の母系ですが、近親を見たらかなり有名な馬の名前が出てきて。

尚:そうですね。血統的に言っても……。

-:ヴィクトワールピサとか、アサクサデンエン。

尚:そうです。その近親だから走らせてやって、これは女の子なんで、ゆくゆくはそういう役目を果たしていかなきゃいけないなと思ってます。

-:まだ、話は早いんですけど、オークスぐらいになったら楽しめるんじゃないですか。成長時期と距離適性と。

尚:まあ、そうですね。そこまで行けるように、これから先……。もちろん、今回もそうだし、この先、春から秋まで重賞があるからね。



-:そういう意識で。

尚:そういう意識でやっていかなアカンと思ってますね。

-:乗っている秋山ジョッキーにお話を聞いたら、かなりの手応えというか……。

尚:それはジョッキーが言ってくれるのはありがたいね。

-:どこにそんなに自信があるのかと思うぐらい結構、惚れ込んでますからね。

尚:ああ、そうですか。ハハハ。

-:楽しみな1頭ですけど、ローブティサージュを応援しているファンにメッセージをいただけたら。

尚:これはシルクさんなんですけど、シルクの冠名が付いてなくて。またそれもおもしろいと思うんですけどね。

-:ローブティサージュという、よくディサージュと間違える人がいるんですけど、ドレスを紡ぐという意味なんですね。

尚:ああ、さっきも言ったように服を着せたら、モデルとして一級品かなというイメージで見てもらえれば、ハハハ。

-:分かりました。ありがとうございます。


(写真・取材)高橋章夫


【須貝 尚介】 Naosuke Sugai

1966年滋賀県出身。
08年に調教師免許を取得。
09年に厩舎開業。
JRA通算成績は106勝(12/12/2現在)
初出走
09年3月8日 1回阪神4日目7R ワーキングウーマン(11着)
初勝利
09年3月14日 1回阪神5日目7R ホッコーワンマン


■重賞勝利
・12年 菊花賞/皐月賞/神戸新聞杯/共同通信杯
(共にゴールドシップ号)
・12年 アルテミスS(コレクターアイテム号)
・12年 アーリントンC(ジャスタウェイ号)


父は定年により引退を迎えた須貝彦三 元・調教師。自身は騎手として4163戦302勝。うち重賞は01年のファンタジーS(キタサンヒボタン)など4勝。 09年から厩舎を開業し、初年度は年間10勝だったが、翌年は25勝を挙げて飛躍。昨年も29勝をあげると、今年はゴールドシップ、ジャスタウェイを筆頭に勝ち星を量産。
厩舎の勝利数&獲得賞金も、ベスト10以内を追走。先日はあの矢作芳人厩舎の記録を塗り替え、史上最速でJRA通算100勝を達成。一躍、関西のトップステーブルにのし上がった。 「トレセンLIVE!」でコラムを掲載している榎本優也調教助手が在籍していることでも、競馬ラボではお馴染み。