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谷中公一調教助手

初めての栗東滞在。美浦との違いは?

-:前走のアネモネSから今回の桜花賞までの大きな変化というのは栗東トレセンに入厩しているということなんですよね。1回、美浦から栗東に入って、多少の疲れはあったでしょうしね。

谷:もちろん。

-:そこから栗東という違う環境に慣れないといけないし、美浦とは違う環境で調教していかないといけないですが、今のところ、どうですか?

谷:さすがに初めての場所で、違う環境に戸惑うのは当然ですからね。でも、今までの競馬の経験とか、あの馬は僕のこととか厩務員さんのことを信頼して、人を頼ってくる馬なので、そういうところでスゴく落ち着いていて。マンツーマンでずっとやってるんですけれど、落ち着いて納得してくれてますし、環境にもその分、早く対応して。輸送をした次の日は角馬場で乗れて、休みを挟んで火曜日には1頭で坂路に行って、1頭で上ってきたぐらいなんで。そういう順応性には長けている馬です。

ある程度は牝馬なので、覚悟はしていたんですけれど、信頼というか、大丈夫だろうって。この前の競馬の時にそれは感じたんですよ。3戦目でさすがに煩くなってくるかなと思ったんですけれど、パドックでちょっと気合が入ってきたので2人曳きをしたら、良い気合なんですよ。良い気合を感じて曳っ張っていって。コレで汗をかいたら困るなと思って、曳きながらパッと見たら、一切、汗をかいてないんです。サラッとしているんですよ。“ああ、この子はなんて子だ”と思って。普通だったら、それだけ繊細な子なので、イレ込んでバタバタしたら、汗をかいたりするじゃないですか?発汗したり、お腹の辺りに泡立てて、尻泡とかよくやるように。そういうのが一切ないから、なんて子だと思って。

その後、ジョッキーを乗せて、コースで乗った時もコースで身振いしたぐらいの良い状態で。返し馬も大人しく皇成(三浦皇成騎手)の言う通りに走ってたしね。申し分ないという、そこにこの馬の器の大きさというか、センスのスゴさというのが出てきて、こういう対応ができるんだったら、どこに行ってもこれからは通用するなというか、対応できるなと思ったし。




-:栗東トレーニングセンターの厳しさというか、先日、お会いした時も「栗東の坂路は違うな」みたいな話をしてたじゃないですか?

谷:コレは何が違うかと言うと馬場の質ですね、まずは。スゴいと思ったのは馬場が荒れたら美浦というのは早く整えたい訳ですよ。で、深くなって掘れてきたら、入れ替えをしてくれという要望をするんです。コッチは逆なんですよ。馬場が敢えて掘れる、負荷が掛かる所を走らせようとする馬が多いんですよ。“もっと深くしてくれ”みたいな。馬がヘトヘトになるような負荷を掛けてくれと、それがスゴいね。

普通に美浦で乗ってきた馬が同じことをやったら、やっぱりヘコたれるんですよ。今までの話を聞いたら、そういう馬で何頭もコッチで失敗してきた馬がいるので、僕も慎重になったんです。やっぱり、2回入った後は2回目がちょっと道悪で少し掘れていたので、負荷が掛かったんですよ。そうしたら、初めて軽いものですが、筋肉痛になって。それはちょっと驚きでしたね。


-:それは歩様が乱れたぐらいですか?

谷:本当に人が全力で走って、ちょっとキタかな、みたいな、そんな感じですね。でも、すぐに2日ぐらいでケロッとしたんですけれど。今までは何をやっても、負荷を掛けても筋肉痛にならなかった柔らかい体を持った馬が、そこまで来るというのはよっぽどで。下の馬場もやっぱり負荷が掛かるんですね。走ってて全然、違うので。

馬場も大きいし、コレはスゴいなと思いながら自分で体感して、ココにいる(G1を勝っている馬専用の)紫ゼッケンだの青ゼッケンがゴチャゴチャいる中で馬を見ていくとムキムキじゃないですか。ロードカナロアに角馬場で会った時に俺、死にそうになりましたよ。“何この馬”っていう……。それでドッシリと落ち着いているし、“黒王みたいじゃん”というね。知ってる?北斗の拳のね(笑)。スゴいですよ、威圧感もあるし。コレはやっぱり本物なんだなというような雰囲気がね。こういう所で鍛えて、ああいう山(坂路)を2本乗ったりする馬だなって、たまげました。


王道ローテで東にタイトルを!

-:話は戻りますが、谷中さんからみて、クラウンロゼはどこまでいける器だと思いますか。

谷:まだ、底を見せてないですからね。距離もこの前のアネモネの終いを見たら、まだいけると思うんですよ。スゴい血統の固定観念は外した方がいいと思うし、1600までの馬だったら、終い一杯一杯で迎えるはずだったんですよね、この前のアネモネは。だけれど、坂を上がっても交わしたら余裕だったので。まだまだ全然。皇成も言っていたんだけれど、距離が延びても折り合いが付くし、問題がないし、先々が楽しみだと思いますよ。

-:この後のローテーションとかは?

谷:王道で。もう公言していると思うんでね。関東ではトップに近いと思うし、今のところはね。

-:あとはこれまで戦っていない関西の?

谷:そうそう。そういう強力な終いを持った馬、武器を持った馬が当然、いる訳ですから、現実にね。だから、そういう馬にどう対応できるかですよね。

-:若干、似ている、1つ前ぐらいのポジションで走ってそうなクロフネサプライズというシブトイ馬も?

谷:ねえ、白い馬がいますけれど、逆にその子を前に置いても良い訳ですし、そういう競馬もできる訳だから。アレだけガーッと最初に行くような馬を行かせて、それを見ながら行ける訳だし。それを見ながら行けるということは、後ろのトーセンソレイユの動きも当然、皇成ぐらいだったら分かると思うんで。その点はジョッキーに後は能力を信じてもらって、乗ってもらうしかない。周りを冷静に見ながらね。

-:枠などに希望はありますか。

谷:1600ですもんね。まあ、内枠なら内枠の方が良いかな。あんまり最内枠でもね。でも速いですから、この馬。スタートがものスゴく反応が良く、ダッシュ良く、かと言って引っ掛かる訳でもないから良いポジションが必ず取れると思います。その点に関しては全然、問題ない。

-:阪神の1600のスタート直後というのは真ん中の枠ぐらいの馬が外から寄られて窮屈になるんですよ。あれがスゴくマイナスなんですよね。

谷:でも、1馬身ぐらいは先に出ていると思うので、そういう団子の中よりもね。そこからいつでもポジションに付けられる馬だから。控えることもできるし、前に行くこともできるし、とにかく自由自在にできるので、その点の心配は全くしてないです。

血統の固定観念は外した方がいいと思うし、距離が延びても折り合いが付くし、問題がないし、先々が楽しみだと思いますよ。

-:スゴくお利口さんですね。話を総合すると、宮崎の牧場から来た時のコメントは正しかったと?

谷:そうですね、正しかったです。

-:馴致もちゃんとした所でされたというのが示されている訳ですね。

谷:そう。良い所で良い筋肉を作ってもらえたというね。

-:桜花賞を楽しみにしてます。

谷:本当に楽しみですし、期待したいなと思います。



-:最後にクラウンロゼに期待しているファンにメッセージをお願いします。

谷:まだ、底を見せてない馬ですし、関東でなかなか3連勝してクラシックに臨める馬は少ないと思いますし、本当にずっと言われ続けるでしょうけど、地味な血統というのをとにかく克服して栄冠を東に持っていきたいという心意気で臨みますので、応援をよろしくお願いします。

-:馬主さんはクラウンレガーロと同じですか?

谷:そうです。また、スゴいじゃないですか、桜花賞、皐月賞出走で。

-:桜花賞がクラウンロゼ、皐月賞がクラウンレガーロ、両方、三浦皇成騎手が。

谷:そうですね。クラウンという冠もカッコ良いじゃないですか。王冠ですよ、王冠。(車の)セドリックじゃないですからね。クラウンですから。

-:またオークス前にも取材をさせてもらうと思いますので、よろしくお願いします。

谷:ぜひぜひ。ありがとうございます。

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【谷中 公一】Koichi Yanaka

1965年長野県生まれ。 競馬学校卒業後、1985年に騎手デビュー。JRA通算成績は145勝(平地142勝、障害3勝)。
自らの経験を元に、華やかなイメージの強いジョッキー稼業の厳しい現実を書いた名作「崖っぷちジョッキー」を発表し、一躍脚光を浴びる。当サイトの「やなっちぶろぐ」(http://yanakakouichi.cocolog-nifty.com/)を公開中。
現在は天間昭一厩舎の助手として活躍する傍ら、調教助手という枠にとどまらずドッグガーデン「WANだら~」、コラム執筆など、マルチな才能を活かした幅広い活躍を続け。まだまだ若い人たちにも負けないパワーで仕事に対するモチベーションは上がる一方。