関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

秋山真一郎騎手

秋山真一郎騎手


-:ワールド・スーパー・ジョッキー・シリーズ(以下、WSJS)出場おめでとうございます。まずは今回出場するにあたって、海外ジョッキーへの憧れなどのエピソードがあればお聞きしたいのですが?

秋:競馬学校の頃は、むちゃくちゃ憧れてましたねぇ、アメリカの騎手に。毎年、競馬学校を卒業する生徒は版画のカレンダーを造るんですけれど、その時に僕がモデルにしたのが、日本でも種馬になった「スターオブコジーンのアーリントン・ミリオンのゴール板の写真」でしたから(笑)。

-:それは誰が乗っていたんですか?

秋:ホセ・サントス(※1961年4月26日生まれ。日本でも騎乗経験がある元騎手で、アメリカで殿堂入りしている)です。チーフベアハートが来日した時も乗ってたんじゃありませんか?競馬学校に「(雑誌)優駿」があったんですれども、ボーっと見てたら「おー!かっこええな、コレ!凄いなこの人は」と思って。

-:今の時代って、WSJSに限らず、外国人のジョッキーと騎乗する機会って多いと思いますが、彼らがいると、レースの流れが変わったりすることはありますか?

秋:流れとかはあまり気にした事はありませんが、今はルメールやスミヨンのような、バリバリのトップジョッキーが来てるっていうのもあると思うんです。普通に「巧いなぁ」って思いますよね。

-:WSJSのレースって、逃げない馬が逃げたりするレースだったりすると思うんですよ。馬券を買う側からすると、買い辛いレースだったり、半面、穴を狙って面白いレースだったりしますが、純粋に競馬が好きな人には面白いレースですよね。

秋:自分らからすると、予想を立てる事はわからないですけれども、やり辛そうなイメージはありますよね。「この馬が逃げるとか、追い込むとか」全くわからないですよねぇ。

-:あれ、単純に馬群みてるだけでも面白いですよね。乗っている側は(馬と馬との間が近くて)いい意味でピリピリ感が伝わってくるんじゃないかなぁと。

秋:それはあるかもしれないですね。でも、向こうの感覚なら(馬群が密集している)あれって当たり前ですからねぇ。

-:秋山騎手は、レースに臨むときに緊張する感覚というのはありますか?

秋:緊張しますよ!

-:じゃあ、当然、WSJSに乗る時は…。

秋:緊張するでしょうね。僕の場合って、緊張した方がいい結果が出てると思うんですよ。10何年乗ってても、緊張しない時なんて、ないですからねえ。土曜日の朝イチ、一発目のレースなんて特に緊張しますからねぇ。

-:たとえば、競走馬が調教とは違って、レースに行ってテンションが上がるのと似たような感じですか?

秋:こっちも命懸けで乗るし、馬も命懸けで走るし、ファンも命の次に大事なお金を賭けているし、逆に緊張感がなかったら、絶対に良くないと思います。そうゆう事を考えて乗るから、緊張するんでしょうね。

-:レース前というのは、どうやって騎乗馬の情報を仕入れているんですか?

秋:大体のレースを観てますからね。それで、わかってます。グリーンチャンネル(以下、GC)も観てますし、完全に(月額料の)元とってますねぇ~(笑)。

-:よく観てるが故に、その馬の悪い感触とかも分かることってあるじゃないですか?それが、自分が乗る時に回ってきた時って、どうしているんですか?

秋:う~ん、最近、跨った時の感覚を大事にできるように、競馬新聞をあまりみなくなりましたよ。

-:では、GCを観ていたら、誰がどのジョッキーとかって、わかるもので?

秋:ほぼ、わかりますよ!九割九分くらい(笑)。僕、マニアですから。

-:ちなみに、外国人ジョッキーが乗ることで、その後のレース振りが変わる馬というのはいると思いますか?

秋:そんなにいないと思います。そうゆうのって、ちょうど具合が上向いている時に、手の合った騎手が乗ったからとかもあると思うんですよね。でも、調教を何度も乗るよりは、実戦の一回って、馬にとっては凄く大きいと思います。

-:ぶっつけと言えば、秋山騎手、このところ新馬戦で活躍しています。

秋:新馬に限らず、勝つ時はそのレースで一番いい馬に乗せてもらっているだけです。ちなみに上位の騎手って、まずオープンクラスの馬の依頼がきて、次に新馬という流れですからね。それ位、厩舎が期待してますからね、新馬は。




-:話は戻りますが、阪神開幕週でもあるWSJS優勝の秘訣はやはり内枠ですか?

秋:どうでしょうかねぇ。普通に考えて、内回るか、外回るかだったら、内回った方が断然有利ですからね(笑)。

-:WSJSって、変わったペースになりますよね。基本は超ハイペースで。

秋:やっぱり、アメリカの影響ってありますからね(ハイペースの競馬)。

-:でも、ファン側としたら、日本人同士ではならないような流れの競馬を観てみたいですよ(笑)。秋山騎手のWSJSの攻略法はどんなものでしょう?「俺のココが凄いぞ」みたいな。

秋:いかにいい馬を抽選で引くかじゃないですか(笑)?

-:今まで勝てなかったサクラオリオンを、半年の間に重賞を2つも勝たせたのは、秋山騎手の運以外の何物でもないって考えたら「俺の運に乗れ」的な(笑)?

秋:それ、運使ってないですよ(笑)。でも夏、勝ってしまったから、騎乗停止になったんでしょうねぇ。上手く行き過ぎると落とし穴があるものです。

-:でも、それだけ皆さん、競馬に乗り慣れてて、どうして内がスカスカになったり不利を受けたりするものなのですか?

秋:う~ん、なんでしょうねぇ。僕は乗ってる人たちの意識だと思いますよ。

-:この間のマイルCSも、外国人二人が真っ直ぐ走らせようとしているのをノリさんはわかっているから、あれは使えるスペースでしたよね。

秋:まぁ、あの二人の場合は仕方ない部分はあるけれども、むやみやたらに直線蛇行するのは、良くないですよね。相手を有利にさせることも。

-:この前の(競馬学校の生徒の)模擬レースも、内目の先頭を走ってた子が、段々外に動いて、内を閉められて出て来られなかった子に差し返されたりで(笑)。

秋:でも、僕も競馬に10何年乗って、そうゆうところを指摘されたのって、うちのボス(野村彰彦師)だけです。やっぱり人間の扶助がよくないと、馬って真っ直ぐ走れないんですよ。それで、俺が真っ直ぐ走れんかった代わりに、3着、4着になって、スペースを狙ってきた馬が上位に上がってきたような。そこでボスは「あそこで真っ直ぐ走らせてれば、スペースに馬が入れたかどうかわからへんやろ」って。「だから真っ直ぐ走らせろ」って。

-:具体的なアドバイスなどもありましたか?

秋:騎手になる前に言われたのは「騎手は走れ」と。「下半身と持久力を鍛えろ」と。その後、言われたのが「縄跳びで、下半身鍛えて、バランスやで」と(笑)。

-:どのスポーツでも、下半身は必要と言われますが、騎乗姿勢がモノを言うスポーツですからね。家で騎乗ポーズをとったりはしますか?

秋:バランスボールに乗るくらいです。色々な人がいて、色々な見方があるわけで。みんな、こうゆう騎手になりたいってのがそれぞれ違うと思うんですよね。

-:それでは、秋山騎手は?

秋:カッコ良く乗りたいんです。競馬学校にいる時もカッコ良く乗りたいって思っていましたし、それは騎手になっても変わりません。

-:そのカッコ良さの原点はサントス騎手だったわけで?

秋:その時はカッコ良く見えたんでしょうね。

-:ただ、マスコミの中にも競馬ファンの中にも「秋山騎手の乗り方はカッコイイ」ってわかっている人がいてもいいと思いますよ。

秋:特にWSJSのレース後なんかは位置取りなんかも厳しく指摘されるんでしょうが、それはそれでいいんじゃないかと。

-:でも、それをああだこうだ言う事は、競馬を観る側の楽しさでもあるんです(笑)。

秋:そうゆう観方ができるのは、騎手側からすれば面白いことですよ。

-:WSJSでは殆どの馬がテン乗りです。逆に、秋山騎手は乗り替わりなどで悔しい思いをしたことはありますか?他の騎手が違う乗り方をして、結果が出たりした場合に。

秋:特にはないですね。やっぱり、みんなが考えているほど、騎手どうこうじゃないと思うんですよね。それでも騎手のせいにするのが簡単な解決方法ですし、それを受け止めるのが騎手の仕事でもありますから。

-:それでは、最後に競馬ファンの皆様に一言よろしくお願いします。

秋:僕が追い求めているカッコ良さってのは一切評価されないかも知れません。評価してほしいわけではありませんが、やっぱり競馬場に観にきてほしいですね。

-:WSJSは是非、優勝目指して頑張ってください。本日はありがとうございました。

秋:頑張ります。ありがとうございました。




秋山 真一郎

1979年滋賀県出身。
1997年に栗東の野村厩舎からデビュー。
JRA通算は581勝(09/11/29現在)
1997年 3月 1日 1回中京1日 2R ヤマニンポシブル(3着/16頭)
1997年 3月 9日 1回中京4日 2R スズカアオイ


■最近の主な重賞勝利
・09年中京記念
・09年函館記念
(共にサクラオリオン号)
・08年キーンランドC
(タニノマティーニ号)


98年の初重賞勝利以来、毎年重賞勝利を挙げているが、メイショウキオウの04年中京記念、ビーナスラインの06年函館SS、タニノマティーニの08年キーンランドCなど、大穴での一発があることでも知られている。また、深い競馬理論と、知識を持ち、サークル内だけでなく、熱狂的なファンを持っている事でも名高い。