持ち前の能力を芝でどこまで!?サマリーズ
2013/4/7(日)

昨年、ダートでは無傷の3連勝。それも、牝馬でありながら、全日本2歳優駿を圧勝したサマリーズ(牝3、栗東・藤岡健厩舎)。その2歳ダートNo.1決定戦もカラ馬に絡まれる不利を受けながらのもの、 「3馬身差」という着差以上にその内容は濃く、ポテンシャルの高さは疑いようがない。ただし、今回は桜花賞という格式高いレースであり、前走でもシンガリ負けに終わった芝のレースへの再挑戦。果たして、砂で誇った力をどこまで発揮できるのか?「オリジナルインタビュー」には初登場となる藤岡佑介騎手に手応えを語ってもらった。
手綱から感じ取れる高い資質
-:フィリーズレビュー前には藤岡健一先生に取材をさせていただいて、期待して観ていましたが、残念な結果に終わってしまいました。ダートであれだけ強い勝ち方をしていますし、当日の阪神の馬場状態も柔かめでサマリーズのようなパワータイプには合うと思ったのですが、芝での走り方はいかがでしたか?
藤岡佑介騎手:もうちょっとぎこちないところがあるのかと思ったんですけれど、割と良い返し馬ができて、感触は悪くなかったです。スタートからスピードの乗りも良かったですし、良い感じでは運べていましたが、最後の失速は芝適性云々より、休み明けの分でしょうか。ちょっとレース間隔も開いていましたから。デビューから年末にかけて連戦でキッチリと走りきっていたので、仕上がり途上での一戦だったのかなと思います。逆に言えば、シッカリ休養して疲れを抜いてもらって、次の本番に向けてはちょうど良い仕上がりになりそうだと思いました。
-:16頭立ての16着ということで勝ち馬から2.5秒も離されているんですけれど、サマリーズの「芝適性」はまだわかりませんよね?
佑:僕自身はないわけじゃないとは感じていますがさすがに「負け過ぎや」という意見もあると思うんです。結果、逃げるという展開になりましたし、前半のスピードを活かすという形で、4コーナーのあの手応えじゃ、16着という結果も仕方がないという気もします。
-:体を見るとサマリーズは同世代に比べて成長の早い馬だと思います。
佑:思っていたよりもスゴく早く芽が出たというか、良い成長を見せてくれました。元々、良い動きをしていた馬で「来年の春を意識できる」と調教師とも追い切り後に話をしていたんです。その時はダートなのか芝なのか、使ってみないとわからなかったので、そこまで話が及んでなかったんですけれどね。デビュー前にハッキリと「桜花賞を目指していければ良いね」という話はしていました。
-:その素質の片鱗はポインセチア賞で出してくれていると思うんです。あのレースは明らかに最初から行く気は全然なく、どちらかと言うと、差す競馬を意識しているように感じました。レース前にはどのように乗ろうと思っていたか教えて下さい。
佑:その前の未勝利戦が1200mで番手から早め先頭から押し切って勝つ、という形だったので、このままだとスピードを活かし過ぎるという懸念がありました。スピードだけではなく競馬に幅を持たせたかったのと、ポインセチア賞は1400mで牡馬が相手で、先行する馬がけっこう揃っていたので、ある程度、馬の雰囲気を見てポジショニングは決めようと思っていました。
それでムキになるようなら逆らわないで行こうと思ったんですけれど、馬がスッとハミを抜いてくれました。向正面では横並びの隊列だったのですが、ヘタに外を回してまで前に行く必要はないと思ったので、あえて動かずにモマれる競馬を経験させようと思いました。今後につながる課題を与えにいったんですけれど、ビックリするぐらいアッサリ突破してくれましたよ。

-:しかし、途中で行き脚が鈍っているように見えました。あれは逆に抜け過ぎて下がってしまったんでしょうか?
佑:気性面でキツいところがあるので、もっと掛かってくるような馬になると思っていたんですけれど、あのレースで案外フワッとするところを見せてくれて『意外と器用なんやな』と思いました。行き脚が鈍ったように見えたのはフワッと出来たからなんです。それで最後もブツかり合いながら勝ち切ったというところに、凄い素質を感じましたね。
-:正直、あのレース前にサマリーズの能力をそこまで評価してなかったのでびっくりしました。レース後にパトロールビデオを観た時、普通の馬だったら勝ってないだろうと。
佑:僕もそう思いました。道中でもスムーズだったかというと、そうでもない。内を回れたというアドバンテージはありましたが、手応えが悪くなって1回追っ付けたら、今度はハミを取り過ぎた感じもあって、ロスの多い競馬ではありました。それを最後、牡馬とブツかり合いながらバランスを崩してでも前に出たというのが凄いなと思いましたね。普通はあそこで萎みそうなものですけど。しかも次のレースでもキッチリ走り切ったというところに能力の高さを感じました。
-:次のレースが川崎の全日本2歳優駿でしたね。あのレースではカラ馬が直線で前にいて、馬によっては気にすることもあると思うんですけれど、あまり影響はなかったんでしょうか?
佑:全く気にしてないですね。ジョッキーの方が気にしてました、カラ馬を(笑)。さすがにちょっと危なかったのでね。でも、サマリーズが冷静に走ってくれてたので、割と見た目よりは冷静にというか、落ち着いて乗っていられました。
-:それぐらいサマリーズはドッシリとした安心感を持てる馬なんですね。
佑:そうですね。

期待を持っての再挑戦
-:そこまでの流れを見ると只物じゃないぞ、という匂いは持っていますし、フィリーズレビューの16着という1回だけの敗戦で見限る訳にはいきませんね。キッチリと準備ができれば、変わってきておかしくないなと思うんです。もし、変わってくるとしたら何が必要ですか?
佑:体調面の上昇も含めて、すごく賢い馬でもありますし、前走で芝を走ったことによって適性が出てくる訳じゃないですけれど、慣れは見込めると思います。まだ若い馬なので、そのへんは柔軟に対応してくれるんじゃないかなという気もします。まあ、期待というか、そういう域を出ないですけれどね。
-:一概にダート馬と言っても、中央のダート、地方のダートでは砂質も全然違います。サマリーズは、それを両方こなしてますし、もうちょっと奥のある馬だなと思うので桜花賞では密かに期待しているんですけれどね。
佑:全くチャンスがないと思えば使わないでしょう。これだけダートで結果が出ている馬が、芝のスペシャリストかと言うと、そうではないと思うんですけれどね。普通G1と言うと、その道のスペシャリストじゃないと手が届かないタイトルだと感じてはいるんですけれど、今年の3歳牝馬路線は春の時点で混戦ですからね。スピードの絶対値に関しては十分に上位の力がある思いますし、芝のスペシャリストじゃないとしても、ある程度は良い競馬ができるんじゃないかなという手応えもあるので。
-:そういう風に感じるのも、阪神開催が始まって、ずっと芝コースが柔らか目だからです。昨年暮れの阪神JFの時とは違う馬場だと思います。
佑:特に京都の芝に比べるとかなり柔らかいです。
-:馬場の硬い京都で、上がり33秒で走れるような馬が、阪神を苦手にする可能性があると思います。だったらサマリーズみたいなパワーがあって、スピードの持続性があるタイプが紛れ込んでもおかしくはない、という考えなんです。乗っていてもスピードの持続性とか、パワーは感じますか?
佑:あります、あります。それこそ全日本2歳優駿の時もかなりのロングスパートになっていますけれど、ゴールまで手応えも衰えなかったですしね。本当に前走の結果が大敗なので、強気には出れないですけれど、僕自身はあの1回で見限ることはできないと思いますし、十分にチャンスがあると思って臨むので。
-:逆に言ったら、あそこから上がり目しかないと?
佑:と、僕は思っています。
-:フィリーズレビューの後は調教で乗られましたか?
佑:僕はまだ、跨ってないですけれど(3/27の一週前追い切りに騎乗)、調教で乗った助手さんからは「目論み通り、良くなっている」と言ってもらっているので楽しみにしています。
佑:全くチャンスがないと思えば使わないでしょう。これだけダートで結果が出ている馬が、芝のスペシャリストかと言うと、そうではないと思うんですけれどね。普通G1と言うと、その道のスペシャリストじゃないと手が届かないタイトルだと感じてはいるんですけれど、今年の3歳牝馬路線は春の時点で混戦ですからね。スピードの絶対値に関しては十分に上位の力がある思いますし、芝のスペシャリストじゃないとしても、ある程度は良い競馬ができるんじゃないかなという手応えもあるので。
-:そういう風に感じるのも、阪神開催が始まって、ずっと芝コースが柔らか目だからです。昨年暮れの阪神JFの時とは違う馬場だと思います。
佑:特に京都の芝に比べるとかなり柔らかいです。
-:馬場の硬い京都で、上がり33秒で走れるような馬が、阪神を苦手にする可能性があると思います。だったらサマリーズみたいなパワーがあって、スピードの持続性があるタイプが紛れ込んでもおかしくはない、という考えなんです。乗っていてもスピードの持続性とか、パワーは感じますか?
佑:あります、あります。それこそ全日本2歳優駿の時もかなりのロングスパートになっていますけれど、ゴールまで手応えも衰えなかったですしね。本当に前走の結果が大敗なので、強気には出れないですけれど、僕自身はあの1回で見限ることはできないと思いますし、十分にチャンスがあると思って臨むので。
-:逆に言ったら、あそこから上がり目しかないと?
佑:と、僕は思っています。
-:フィリーズレビューの後は調教で乗られましたか?
佑:僕はまだ、跨ってないですけれど(3/27の一週前追い切りに騎乗)、調教で乗った助手さんからは「目論み通り、良くなっている」と言ってもらっているので楽しみにしています。


-:サマリーズを応援する穴党のファンも喜ぶでしょうね。その人達にメッセージをお願いします。
佑:前走の大敗で多くの人が芝適性はないんじゃないか、と判断されると思うんですけれど、僕自身は大いに可能性を感じて挑みます。“どうせダメだろう”というスタンスで乗るつもりは一切ありません。十分に可能性のある馬だと信じて騎乗するので、同じ気持ちで応援していただけたら、乗っている僕としては嬉しいです。
-:最後に『雨が降った芝』は未知数なんですけれど、どう思われますか?
佑:まあ、マイナスにはならないと思いますよ。やっぱりパワーがあるのは間違いないので、ダメということはないと思います。
-:何かを秘めていそうなサマリーズなので応援させてもらいます。ありがとうございました。
佑:こちらこそありがとうございました。頑張ります。
<関連リンク>
(フィリーズR前)
サマリーズについての藤岡健一調教師インタビュー→
4月中旬よりフランスでの長期遠征を決意した藤岡佑介騎手。新天地に懸ける思いに迫るインタビューは4月14日(日)に更新予定です!

|
||
■最近の重賞勝ち |
||
父は藤岡健一調教師、弟は藤岡康太騎手。2004年に栗東の作田誠二厩舎所属としてデビュー。2年目には父の管理馬であったアズマサンダースで重賞初勝利をあげ、スーパーホーネットとのコンビでG1で幾多の好勝負を繰り広げるなど、若手有望格として活躍。 昨年も地方交流の全日本2歳優駿をサマリーズで制し、JRA重賞も4勝をマークするなど、ビッグレースでも存在感を放ったが、突如としてフランスへの長期滞在を表明。デビュー10年目の節目の年に、更なる飛躍を求めるべく、この春から新たな環境に身を置くことが決定している。 |
