関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

久保公二調教助手


サクラバクシンオー産駒にしてマイル王、好凡走がとにかく極端で個性的なグランプリボス(牡5、栗東・矢作厩舎)。ついには前走でまるで苦手だった休み明けまで克服してしまったが、どうやらそれには秘密があった模様。今回は競馬ラボに初登場となる久保公二調教助手に、等身大の愛馬と豪華メンバーが揃った安田記念に向けての本音を、包み隠さず語っていただいた。

ダブルジョイント(ハミ)の効果アリ!

-:グランプリボスは前走のマイラーズCは苦手としていた休み明けを克服しての勝利でしたね。

久保公二調教助手:ファンの方はよくわかってらっしゃる人気(5番人気)だと思いましたけど(笑)。嬉しい誤算ですね。実はマイラーズCを使う前からハミを換えまして、ディープブリランテも使っていたハミ当たりが柔らかいダブルジョイントにしたんです。レースを見ていても折り合っていましたし、いい効果が出ていましたね。

-:これはレースだけ使っているんですか?

久:いや、普段の調教から使っています。乗っている渋田助手も「普通のエッグバミよりは柔らかくなって、前よりはいいと」と。

-:その休み明けを叩いての安田記念、期待も膨らみますね。

久:膨らんでたんですけどね……。ロードカナロア、ヴィルシーナ、カレンブラックヒル。グロリアスデイズなどの香港馬もいるし。膨らんだ期待がちょっと萎んでます(苦笑)。身内からもライバル(ダイワマッジョーレ)も出ましたし、3歳馬のエーシントップは54キロだし。

-:中距離路線からショウナンマイティも出ますし、超豪華メンバー。ファンからしたらワクワクドキドキもんですね。

久:なんで、みんなそんなに安田記念に出たがるんだと。



-:昨日22日の追い切りが一番時計で、人気に火がつきそうな要素ですね。

久:それだけの時計が出るって事は、調子が良いって事でしょう。いつもの仕上げ方法なんですけど、1週前はCWでびっしりやって、競馬の週は併せ馬で折り合い専念、という形ですね。

-:来週の追い切り時計で、調子を判断しなくていいですね?

久:一週前の時計が本追い切りなんで、その時計で状態はわかると思います。

-:馬体重は前走でプラス10の522キロでしたね。

久:東京までの輸送もありますし、だいたい木曜の体重発表よりも10キロは減ると思っていただければいいと思います。レース当日は520キロを切るくらいの感じで。でも、馬もまたひと回り大きくなってきているんで、体重の事は気にしていません。

-:何か気にしている事はありますか?

久:枠順かな。また外枠引きそうですし……。この馬の“外枠率”は異常なので(笑)。



個性的なグランプリボスの特徴

-:この馬の馬体以外の特徴はどこですか?

久:馬運車を怖がる!輸送で乗るのは大丈夫なんですけど、見るのがすごく怖いみたい。積んだりするのは平気なんだけど、止まっているのを見るのも異常に怖がる。トレセンなんて馬運車だらけなのにね。

-:引き運動の時はどういう対話をして歩かせているのですか?

久:「おとなしくしていて欲しいな、馬運車は来て欲しくないな」とかですね。

-:歩くペースとかは?

久:馬に合わせてです。とにかく人参を食べさせながら。そうでないと、襲ってくるので(笑)。ポケットに大量な人参を忍ばせて、「 (厩舎周りを)1周に1回はくれ!」って言ってくるので、馬のご機嫌を窺いながら、引き運動しています。

-:性格的には、気分を害すと手がつけられなくなるタイプなんですか?

久:けっこう暴れる時は派手に暴れますけどね。周りに迷惑かけないように気をつけています。そのあたりは母系にサンデーサイレンス系が入っている影響もあるかもしれませんね。

フランケルと対決したイギリス遠征

-:グランプリボスといえば、海外に行って、あの馬とも戦っているじゃないですか!

久:そう!これはちょっと自慢できるんですよね(笑)。馬番号がフランケルの真後ろだったんです。よし!この馬を負かしてやろうと思っていたんですけど……。簡単に負かされてしまいましたね。

-:真後ろで見たフランケルはどうでした?

久:普通の馬でした(笑)。別にガリレオ産駒っぽくなかったです。

-:僕もフランケルはガリレオっぽくないと思っていて、メンディザバル騎手に言った事あるんですよ。彼には否定されましたが。

久:ガリレオはスラっとしていましたけど、フランケルはムチっとしていますね。でも、すごく綺麗な馬でしたよ。ベストターンドアウト賞も受賞していましたしね。

-:フランケルで一番驚いたのは返し馬なんです。先行するのに返し馬がすごくゆっくりなんですよね。

久:そうそう、そうでした。

-:ゲートが開いて、「先行できるの?」って思っていたら、全然大丈夫でしたね。

久:あのレースも、グランプリボスが2番手につけていて何の抵抗もできない内に交わされて行ったんですよ。

-:逆にグランプリボスは返し馬でおとなしすぎるように見えました。

久:あの時は、イギリスの環境が良すぎて、馬が放牧に出たと思ってたみたいです。追い切りとかは時計はすごく出るんだけど、精神的にリラックスしすぎてたんかな。いつものギラギラした顔じゃなく、優しい顔でした(笑)。

-:レースモードにはならなかったという事ですね。

久:レース前日に、馬が沢山いる時間に調教して、気合いを出させようとしたのですが、施設は広いし、静かだし、飼い葉もおいしそうに食べていましたし、馬運車も来ないし(笑)。調教も一番乗りでやっていたので、他の厩舎の馬が全然いなくて、用意してくれた帯同馬と、だだっ広いニューマーケットの丘に2頭だけだったんで、ボケちゃったんだと思います。フランケルと対決できたのはいい思い出ですが。

-:勝負の世界は何があるかわからないという事ですね。



マイルG1 完全制覇を狙う!

-:枠順も決まっていませんが、レースのポイントを教えてくれますか?

久:たぶん、外枠を引くと思います(笑)。レースは乗り役さんと調教師に任せるしかないですけれど、NHKマイルCも勝っていますし、去年も2着で左回りも走っていますしね。

-:パドックでの好調時のこの馬の様子などは?

久:あまりイレ込まなく、二人引きで適度に落ち着いていれば大丈夫だと思います。馬場入りはたぶん、一番、最後に出ると思います。なるべくゆっくりとした返し馬ができればいいなと思います。

-:好走時はけっこううるさめな感じを返し馬で出しませんか?

久:最近は後ろから行くようにしているんで、だいぶ落ち着いてはいます。マイラーズCの時も外枠だったので、浜中騎手が最後の方から出て、軽い返し馬をうまいことしてくれましたので。今回も乗りなれている内田博幸騎手ですからね。

-:この豪華メンバーの安田記念でどれだけやれるかですね。

久:このメンバーで勝てれば、価値はありますね!去年も2着と悔しい思いもしてますしね。春と秋で2着続きでしたので……。

-:去年は13番人気でしたね。

-:前哨戦は走っていませんでしたし、あの時は“3走目のボス”でしたし。言い続けてたんですよ、「3走目は絶対に走る」って。でも、あんなに人気がなくって……。

-:斤量の58キロはどうですか?

久:慣れているから大丈夫です。普段は体重が重ためな自分も乗っていますし。馬格から斤量負けする訳ないですし、1キロ2キロの差はないですよ。

-:それよりはコンディションですか?

久:そうですね、良くしていきたいですね。できれば、枠も良いところが欲しいです。真ん中から内の一桁番号ですね。たまには良いところ(枠)をお願いします!生涯の枠番を足していったらすごいですから。

-:レースでのポジションなどは?

久:そんなにこだわる馬ではありません。差す脚もありますし。多少の不利があっても伸びてきますから。

-:競馬ファン出身の久保さんなら、このメンバーがどれだけファンにとって楽しみかわかりますよね。

久:わかりますね。担当者としたら、「なんで、こんなにメンバーが揃うんだ!? 」と思いますけれど。でも、このメンバーで勝てれば、もっと馬の価値が上がりますね。安田記念を勝って、秋にマイルCSを勝って、マイル4冠(朝日杯FS、NHKマイルC、安田記念、マイルCS)を目指したいですね!できれば、あと香港マイルも勝ちたいです(笑)。欲張りですから。

-:高校生からの夢をそのまま実現させましたからね。

久:そうですねぇ。

-:最後にグランプリボスを応援してくれるファンに熱いメッセージをお願いします。

久:今年は超豪華メンバーの安田記念なので、競馬ファンの皆さんは馬券を買って、グランプリボスを買って応援してください。休み明けを勝って、2走目で状態も上向いているので、みなさんのお力で一番人気にして下さい!

-:馬券を買う方にしたら、人気はしてほしくないですけれど……(笑)。

久:ねぇ(笑)。でも、一番人気で勝ったら気持ちいいですね。

-:強い馬の強い競馬、マイラーの真骨頂を見せたいですね。

久:中距離の強敵や、ロードカナロアもいますが、マイル王を目指したいです!

-:あと1週間あるので、少しでも良い状態で出れるように頑張って下さい。

久:はい。ありがとうございます。




【久保 公二】Koji Kubo

高校1年の時に、笠松から中央に転厩してきたオグリキャップに憧れて、この世界に入ることを決意。それを親に納得させるため、高校2年の夏休みに北海道の荻伏牧場(ブルー印スターズの前身)に一ヶ月間、丸々アルバイトに行き、なんと卒業後は同場に就職して2年間勤務。当時の思い出の馬はシルクムーンライトで、1歳の馴致で入ってきたウイニングチケットにも跨ったことがある。トレセン勤務は吉永猛厩舎からで、定年解散後は伊藤雄二厩舎に8年間勤務し、ニホンピロニールやメイショウカチドキ、ロードアトラスなどを担当。現在は矢作芳人厩舎に所属して快進撃を支えている。