関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

榎本優也調教助手

かねてからのライバルらが安田記念に出走する中、1週スライドしてエプソムカップに出走するジャスタウェイ(牡4、栗東・須貝尚厩舎)。しかし、そこは昨秋の毎日王冠で12番人気ながら2着に激走した舞台であり、このコースを制することが今秋へと繋がることにもなる。同馬を担当するのはお馴染みの榎本優也調教助手で、今回は「トレセンLIVE!」では活字にし辛い部分などを、オリジナルインタビューとして伺ってきた。

昨年秋を凌ぐ状態で帰厩

-:今年3戦は人気を集めるものの、残念ながら結果が出ていなくて、ファンもヤキモキしていると部分があるかと思うのですけれど、ここ最近のトレセンに戻ってきてからの状態を教えてください。

榎本優也調教助手:前走は道中で落鉄をして、長めに休みを取ったんですけれど、スゴく良い感じで帰ってきてくれましたね。

-:良い感じというのは体重的に?

榎:体もだいぶフックラと見せるようになりましたし、ちょっと背も伸びたような感じで、全体的にしっかりとして帰ってきてくれました。

-:先週、今週と乗った感じで、何か変化はありましたか?

榎:元気が良過ぎるというか、今までで一番乗り辛くなって帰ってきたんですよね。ちょっと引っ掛かるようなところもありましたし、スピードの調節が難しいというか、ちょっと行かすとスゴい時計が出てしまったりして。元気が良いから、というのもあるんでしょうけど、パワーアップもしています。

-:乗りにくさというところはネガティブな方に取らず、馬の前向きさが前面に出てきているという風に解釈して良いんですね。

榎:そうですね。しばらくそういう感じはなかったんですけれど、やっぱり良いことだと思います。今までを振り返っても、やっぱり休み明けで良い競馬をしてくれているイメージがあるので、これぐらいが一番良い状態なのかなという感じはしますね。

-:2歳時から走っているので、少なからず疲れもあったと思うし、そういう意味で心身共にリフレッシュして、もう1回ジャスタウェイが持っている元気なところが戻っているということですね。

榎:そういう感じだと思います。昨年秋ぐらいの状態にはあると思います。

-:秋に比べた状態というのは毎日王冠で好走した時の?

榎:毎日王冠と天皇賞(秋)の雰囲気に近い……。もしかしたら、上かもしれないぐらい良い感じです。


フレッシュな状態でこその馬

-:前回の中日新聞杯は2番人気で8着。落鉄が敗因と言われているのですが、落鉄がなかったら、もうちょっとソコソコやれていたという手応えはあったのですか?

榎:正直に言うと、やっぱり蓄積された疲れみたいなモノがあったのかなと思うし、追い切りなんかでバルジュー騎手を乗せた時も、もうひとつの感じがありましたしね。ダービーの時もそうだったんですけれど、多分、疲れが来ていて競馬に行くと、ゲートで横に出よるんですよね。そんな仕草があったので、「ああっ」と思って、レースを見ていたんですけれどね。実際にやっぱり、スムーズに回ってきたかなと思ったけれど、伸びなかったですから。ちょっと疲れもあったのかなと思います。

-:ジャスタウェイはフレッシュな状態で走った方がいいということですか?

榎:そう思いますね。今さらというか、2年ぐらい扱ってきて、やっと(わかりました)……。

-:そんなに回数をメチャクチャ使っている訳じゃないから、馬券を買ったりするファンからしても、馬体を見てもツボが分からないというか、マイラーなのか、2400で買ったら良いのか、ユックリなのか、流れた方が良いのか、それすら分からないという未知の部分があって、だからこそ期待してしまうんですけれど、1800の府中というのは合っている舞台と思って良いですか?

榎:僕の中では毎日王冠がベストレースかなと思っているので。

-:あまり前半は行かさないで、終いの脚を活かした方が良いのですかね。

榎:そう思いますね。今年の3戦はどちらかと言うと、しっかりと(ゲートから)出していって競馬をしてみたんですけれど、やっぱり我慢させた時に比べたら、終いの脚がもうひとつかなと思って見てたので。

-:しかも、そんなに出して行かなくても、府中の1800なら最後の脚が活きそうな流れになりそうですからね。

榎:あとはやっぱり、コーナーの回数とかも……。(コーナー4つの競馬は)あんまり上手じゃないんでしょうね。コーナーからスピードを上げていったりだとか、ちょっとそういうのが。

-:個人的には2400でもう1回見たいですね。ある程度、ゆっくりと流れて、終いでビューンと一気に来るのが持ち味かもしれないじゃないですか。今までは成長的に同期に比べて、メチャクチャ体がしっかりとしている訳じゃなかったし、だからそう思ってましたけれど、これぐらい成長してきたとしたら違う結果が出るかもしれないですね。

榎:そうですね。その辺も楽しみです。


パワーアップ分のプラス体重

-:馬体重は前走が486で、現時点ではどれぐらいですか?

榎:今朝(5/30)で508です。20キロぐらい増えてるので。水曜日の追い切りが昨日で3回目で、ほぼ目一杯やってるんですけれど、今のところカイバも落ちてませんし、どれぐらいで行けますかね。輸送でも大きく減るタイプじゃないので、どう間違っても500は切らないと思うんです。良い体で行けそうですね。

-:つまり、プラス14キロぐらいは覚悟しておいた方が良いと?

榎:そうですね。太目ということじゃなく、良い方に。

-:パワーアップをした新生ジャスタウェイを見れると思っていいですか。

榎:と思うんですけどね。空回りするのが怖いですけど、ハハハ(笑)。

-:パドックで注目しておくことは何かありますか?

榎:どっちかと言うと、チャカチャカしやすい方なんで、リップチェーンとかを着けるようにして対策はしてますけれど、しっかりと歩けてるかどうかですかね。

-:逆に大人し過ぎたら心配ですけどね。

榎:そのバランスは難しいですね。曳っ張っていたら、“今日は良い感じやな”というのは分かるんですけれど、見てる方はどうですかね。やっぱり、今は普段から活気がスゴくあるので、大人し過ぎたらダメかもしれないですね。

-:その集中して歩けるというところでは、ファンから見たら、キョロキョロしている馬はあんまり良くないイメージがあって、集中している馬というのは、視線を色々なところにもっていかなくて、ちゃんと歩くことに集中しているという感じがします。時々お客さんの方をキョロキョロ見たりだとか、色々なモノに散漫になっている馬もいますけれど、ジャスタウェイはあまり散漫にならない方が良いタイプですか?

榎:どうでしょうね。それは結構、僕はあんまり悪い方には捉えてなくて、まだパドックでは余裕があった方が。地下道に入ってからは、どうしても気合いが入っちゃう子なので、若干キョロキョロしていても、競馬に行ったらしっかりと走ってくれるので、それはあんまり気にしてなかったですね。


-:イレ込んで、鞍の下に白い泡のような汗を一杯かいているよりはキョロキョロしつつも、ちょっと余裕がある仕草を見せている方が良いと?

榎:良いと思いますね。

-:そこから地下馬道に入って、気合いが乗って返し馬に出ていく訳で、ジャスタウェイの良い時の返し馬、毎日王冠の返し馬はどうでしたか?

榎:実際にあの時は気合いも乗ってたんですけれど、ちょっと我慢をしてからキャンターに下ろしたんですよね。それができるかできないかで、結構違いますね……。毎日王冠、天皇賞(秋)はちょっと我慢をさせてから出して、良いキャンターをしてたかなと思いますし、中日新聞杯の時なんかは出したらドーンと行ってたので。

-:内に秘めて、あんまり気合を発散させ過ぎないで、一呼吸置いてから下ろせるような返し馬の方が良いと?

榎:やってくれれば、はい。

-:その時点ではもう馬券を買っているファンが多いと思いますけれど、買った後で、より馬の変化を楽しんだり、ジャスタウェイの特性を覚えておくことにおいては、そういうところもポイントとして見て欲しいですね?

榎:それは言えますね。

ジャスタウェイの榎本優也調教助手インタビュー(後半)
「実りの秋に向けて賞金を加算」はコチラ→

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【榎本 優也】Yuya Enomoto

大の競馬ファンである父親の影響で、幼い頃から阪神、京都競馬場へ足を運ぶと、武豊騎手に憧れてジョッキーを志すように。視力が足りず受験資格をクリア出来ず、断念せざるをえなくなったが、競馬関係の仕事に就きたいという思いに変わりは無く、牧場勤務を経て、25歳の時にJRA厩務員課程へ入学し無事卒業。
しばらくの待機期間を過ごし、09年5月に須貝尚介厩舎で待望の厩務員生活をスタート。 7月には持ち乗り助手となり、それ以来、2頭の競走馬を担当している。

調教助手としては、アスカクリチャン、アスカトップレディ、クリーンエコロジー、コレクターアイテムなどを手掛け、2012年上半期には担当するジャスタウェイがアーリントンC(G3)を制して人馬ともに重賞初制覇。NHKマイル、日本ダービーとG1の舞台を経験した。

現在は厩舎の屋台骨を支える傍ら、趣味である一眼レフカメラで厩舎の愛馬たちを撮影。関西のトップステーブルに登り詰めた須貝尚介厩舎のスポークスマン的な役割を果たしている。