逆襲の宝塚記念へゴールドシップの指揮官が激白
2013/6/30(日)

無事に最終追い切りまでを終え、決戦まで数日に迫ったゴールドシップ(牡4、栗東・須貝厩舎)。同馬が大レースに出走する際は競馬ラボの密着取材が通例だが、今回も例に漏れず須貝尚介調教師が直前のインタビューに応じてくれた。オルフェーヴル回避で思う本音、週中に降り続いている雨による影響、想定される位置取りなど、敏腕トレーナーの最終ジャッジをご確認いただきたい。
最終追い切りを終えた後の展望
-:今朝(6/19)の最終追い切りはいつもより馬場状態がキレイな中でゴールドシップが走った訳ですが、動きはいかがでしたか?
須貝尚介調教師:馬場がどうのこうのよりも、勢いがもう何も言うことがないぐらいだったので。内田君が反応させる前に自分からハミを取って、併せたシルクシュナイダーを交わしていこうという、勢いある良い攻め馬だったと思います。
-:その辺は先週にはなかったところですね?
尚:うん。先週よりもそういう面がハッキリ見えたということで、本当に馬は完璧に知っていると思いますね。今週に競馬があるんだと。
-:今週末にゴールドシップを応援しているファンはかなり多いので。
尚:本当にありがたいことです。ただ、ちょっと残念なのはオルフェーヴルのファンや陣営のことを考えると、他人事ではない気持ちでいるし、また、オルフェと戦った時に、どれぐらいゴールドシップができるのかなというのもあったし、その辺は残念に思うところがあるんですけどね。残りのジェンティルドンナ、フェノーメノ、あとトーセンラーにも土を付けられているので、他のメンバーとの勝負に向けて、気を引き締めていきたいですね。
-:結果的に4強ムードが、「3強」と言われるレースになったんですけど、去年までの勢いを見ると、本来ならオルフェーヴルとゴールドシップの一騎打ちと言われていてもおかしくないと思います。
尚:いえいえ。やっぱり天皇賞(春)で土を付けられているので。しかも、あの高速馬場であんなに大外を回ったら、やっぱり馬も堪えますしね。まず、あの競馬をした時に、馬が無事で上がってきてるかな、という思いが頭をよぎったんだけど、何ともなくて、今回を迎えられるようになったんですけどね。
-:去年は皐月賞、菊花賞、有馬記念とG1を3勝したほどの馬ですから、天皇賞1回だけでファンが見限る訳がないし、すぐにでも巻き返せる馬だと思ってるので、それを証明できる宝塚記念だったら良いですね。
尚:そうですね。それだけファンが応援してくれてるから、それに応えられるだけのゴールドシップであって欲しいなと思います。

馬場が悪くなっても力は出せる
-:今回は内田ジョッキーが2週間付きっきりで調教をつけています。
尚:そうね。ビッチリやっているわけでもないんだけど、普段からのゴールドシップを知ることによって、また、新たな発見が自ずとお互いにあると思うから、そのコミュニケーションが大事だと思うんでね。もう、やるだけのことはやったので、あとは無事にレースに出走させることが一番大事になってきましたね。
-:心なしか最近のゴールドシップを見ていると、ちょっとお尻の筋肉量が増えたんじゃないかという風に見えるんですけど、先生はご覧になってどうですか?
尚:いや、そんな……。
-:大幅には変わってないですか?
尚:そうそう。
-:安定して高いレベルを維持していますか?
尚:もう、大幅に変化する、そういう年齢でもないから。
-:そして、週末は馬場状態も気になるところです。
尚:梅雨に入って、今日、明日と雨が降るみたいだけど、この馬にとったら道悪は苦にしないし、実績もあげてきてるので。ただ、脚を取られる馬もいるだろうし……。馬場が悪くなることについて、ゴールドシップの場合は能力が発揮できるんじゃないかと思います。
-:馬場が悪くなっても、極端に能力を下げることはないと。
尚:それはないと思います。
-:もちろん皐月賞でも一番悪いと言われた内から?
尚:実績は作ってるんでね。札幌2歳Sの時も悪かったしね。馬込みでも大丈夫だということだし。
-:逆に言ったら、良馬場でもゴールドシップの能力が落ちる訳ではないので。
尚:僕だけじゃなくファンもそうなんだろうけど、型にはまった見方をしないで……。現に共同通信杯の時には好位で競馬ができているんだから。本当にゴールドシップと内田君の呼吸がひとつになって、競馬をしてくれたら良いなと思います。

どの位置でも最後は絶対に伸びる馬
-:今回は位置取り云々というのが、頭数が少ないじゃないですか?
尚:そうなんですよ。枠順も特に考えることもないし、そんなに極端に縦長になる競馬でもないだろうし、内回りの阪神も頭数が少ないことによって、有利に働くんじゃないかと思うんだけどね。
-:今回は例年の宝塚記念に比べて、強い馬同士の紛れのない競馬というのが、勝負として楽しいポイントじゃないかと思うんですけど、もしも最後方になったとしても、そんなには気になるところはありませんか?
尚:18頭立ての最後方と11頭立ての最後方では訳が違うんでね。
-:先週も内田ジョッキーと話をしたんですけれど、どこのポジションで走るにしてもゴールドシップと内田ジョッキーのレースを信じて、最後は絶対に伸びる馬なんで、それを楽しみに期待して見たら良いなという話をしていたのですが。
尚:どんな所にいたって、最後はバテなくて、抜いていくという形を取って欲しいね。
-:それで結果的に1着でゴールできたら一番良いと。
尚:うん。
-:それができそうなコンディションですからね。
尚:馬はもう何も言うことがないデキだと思います。
-:あと4日、楽しみに待っていますので、当日まで頑張って下さい。
尚:本当にこれだけ支持をされる馬を預かっているということは調教師冥利に尽きますので、何とかそれに応えるだけの競馬をしてもらいたいと思います。
-:わかりました。お忙しいところ、ありがとうございました。
天皇賞(春)前・ゴールドシップについて
須貝尚介調教師インタビューはコチラ→

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■最近の主な重賞勝利
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父は定年により引退を迎えた須貝彦三・元調教師。自身は騎手として4163戦302勝。うち重賞は01年のファンタジーS(キタサンヒボタン)など4勝。 09年から厩舎を開業し、初年度は年間10勝だったが、年々勝ち星を伸ばし、昨年はゴールドシップ、ローブティサージュ、ジャスタウェイを筆頭に勝ち星を量産。先日はあの矢作芳人厩舎の記録を塗り替え、史上最速でJRA通算100勝を達成。一躍、関西のトップステーブルにのし上がった。 「トレセンLIVE!」でコラムを掲載している榎本優也調教助手が在籍していることでも、競馬ラボではお馴染み。 |
