関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

榎本優也調教助手

ハーツクライ産駒のパイオニアとして

-:ちょうど1ヶ月くらい前にセレクトセールがあって、“ハーツクライ産駒はどれくらいの人気かな”と思っていたらかなり値段が上がって。

榎:結構、上がっていましたもんね。

-:ジャスタウェイのオーナーの大和屋さん、買えなかったみたいですね。

榎:そうなんですよ、買えなかったみたいで。

-:ハーツクライ産駒を何頭か狙っていらっしゃったみたいだけど。ハーツクライ産駒の人気に火をつけているのもジャスタウェイの活躍ですからね。

榎:そうですね。

-:しかもハーツクライ産駒も走ってきているじゃないですか。この夏もメイショウナルトとか、マジェスティハーツ。ハーツクライ産駒も頑張って来ているから、ジャスタウェイもここらで早いうちに3勝目を上げて、秋の大舞台に備えてほしいですね。

榎:ここで良い競馬ができないようでは、レースに出ることすらできないと思うので。

-:賞金加算というのもあるし、サマーシリーズというのも。

榎:狙ってないと思いますよ。次は中山になっちゃうでしょ?さすがにそこを取りに行くよりは、去年と同じ毎日王冠から天皇賞っていう。まあ、先生(須貝尚介調教師)に聞いてみないとわからないですけどね。

-:去年の毎日王冠に関しては、以前、取材させてもらったときに榎本さんが「最高のデキだ」と、その後も「過去最高のデキは毎日王冠だった」ということを言ってらしたのですが、今回のデキは当時と比べてどうですか。

榎:良い意味でですけれど、高いところで安定するようになってきた気はしますね。エプソムCの時も良かったですし。今回、最初の雰囲気は正直ちょっと……。帰って来てすぐだったというのもあるのですけれど、上手いこと上げていけたらいいな、もうちょっと良くなって帰って来てほしかったな、という雰囲気はありました。なにせ、攻め馬がまたガラッと変わったというか。今日は52秒台で上がって来たんですけれど、今までも52秒台は何回か出ていたとはいえ、そこまで行くと終いがかかるんですよね。それが今日は終いも12秒4でサッと上がって来られたので。その辺りはかなり馬が良くなっていると感じますし、目一杯に仕上げなくてもね。そういう言い方をするからと、舐めている訳ではないですけれど(笑)。

-:逆に目一杯仕上げてしまうと、エプソムCの時のように直近落ちとのバランスが取れなくなる心配もあるから、それよりはやっぱり加減して。ちょっと牝馬的な。

榎:僕も練習の意味でというか、毎日王冠から天皇賞に行くとなったら、そこも加減しないといけないじゃないですか。エプソムCはやりすぎたというか、仕上がりすぎたっていう印象もあったので、そこは気をつけてますね。



-:それで今日坂路を福永祐一ジョッキーが乗ったわけですけれど、上がって来た時の第一声をよかったら教えていただけいますか?

榎:「バッチリやったね」って。「もしかしたら、少し体が重い感じもするかもしれないけれど」とは言っていましたが、動きを見たら全然良かったので。今日はしっかりやりましたし。

-:それで少し絞れて、新潟までの輸送でちょうど良くなると。

榎:そうですね。

-:今回は初の500キロ台というのもあり得ますか?

榎:あり得ると思います。

-:あっても別に気にしなくていい。成長期というか、筋肉量が増えている証拠だと。

榎:そうですね。

-:福永ジョッキーは日本のジョッキーの中では一番馬場を分析している人で、競馬場に朝早く行ったら、福永ジョッキーが芝コースをチェックしている姿を度々見るので、新潟でも一番おいしい所にジャスタウェイをエスコートしてくれるかどうかも楽しみですね。では、最後に、オーナーの大和屋さんと応援してくれているファンにメッセージをお願いします。

榎:毎回、「馬が良くなっている、良くなっている」と言っていますけれど、勝つところまで行けていないので。今度こそはしっかり勝たせてあげられるようにエスコートしたいです。秋に繋がる競馬をさせてあげたいですね。

-:ハーツクライ産駒なのでこれから本格化するでしょうし、体を見てもまだもうちょっと成長する余地を残してそうな感じがしますので。

榎:まだ4歳ですからね。

-:そのためには怪我をしないように走ってほしいね。それも祈っています。それと、レース前日の8/10(土)は榎本さんの誕生日とのこと。ダブルでいい結果になるといいですね。またよろしくお願いします。ありがとうございました。

榎:ありがとうございました。『トレセンLIVE!』でも直前の状態を書かせてもらいます。

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【榎本 優也】Yuya Enomoto

競馬ラボでは『トレセンLIVE!』のコーナーでコラムを担当。
大の競馬ファンである父親の影響で、幼い頃から阪神、京都競馬場へ足を運ぶと、武豊騎手に憧れてジョッキーを志すように。視力が足りず受験資格をクリア出来ず、断念せざるをえなくなったが、競馬関係の仕事に就きたいという思いに変わりは無く、牧場勤務を経て、25歳の時にJRA厩務員課程へ入学し無事卒業。
しばらくの待機期間を過ごし、09年5月に須貝尚介厩舎で待望の厩務員生活をスタート。 7月には持ち乗り助手となり、それ以来、2頭の競走馬を担当している。

調教助手としては、アスカクリチャン、アスカトップレディ、クリーンエコロジー、コレクターアイテムなどを手掛け、2012年上半期には担当するジャスタウェイがアーリントンC(G3)を制して人馬ともに重賞初制覇。NHKマイル、日本ダービーとG1の舞台を経験した。

現在は厩舎の屋台骨を支える傍ら、趣味である一眼レフカメラで厩舎の愛馬たちを撮影。関西のトップステーブルに登り詰めた須貝尚介厩舎のスポークスマン的な役割を果たしている。