関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

河嶋宏樹調教助手

どのクラスを走っても堅実な反面、詰めの甘さがその個性でもあるダコール(牡5、栗東・中竹厩舎)。しかし、河嶋宏樹調教助手よりここで明かされるエピソードを知っているファンはどれだけいるであろうか。運命的な出会いから、ノースヒルズ一丸で臨んでいるという背景、更には佐藤哲三騎手とのコンビで築かれた土台など、新潟記念で重賞初制覇を願わずしてはいられないインタビューをお届けする。

牧場で運命的な出会いから担当に

-:ダコールは入厩当時からかなり期待されていた馬だったと思います。僕が2歳の春に大山ヒルズに行った時に、首にケガをしていたのですが、注目の馬として紹介いただいて、その時からすごくバネがあって、弾むような動きをしていたのを覚えています。

河嶋宏樹調教助手:「(怪我の影響で)競走馬になれないだろうな」と言われていた馬で、2歳馬の一覧の登録名簿があるんですけれど、そこの名簿にも入っていなかったんです。2歳の6月ぐらいに僕が大山に乗りに行ったんですよね。ダコールにも乗って、“素軽い馬やな”と思いました。一緒に隣で乗っていたのが、僕の(ノールヒルズ勤務当時の)昔の上司であり先輩で、今ではキズナにずっと乗っている方なんですけれど、その人が「首も大丈夫そうやし、コレはひょっとしたら走るぞ。多分、無事に行ったら走る」と言っていました。

-:2歳の6月に大山ヒルズに乗りに行った時は、自分が担当するとはわかっていないですよね?

河:全然、わかってないです。

-:その状態で初めての出会いだったのですか?

河:いえ、初めて出会ったのは当歳でケガをした時の夏ですね。僕は北海道に出張に行っていて、その休みにノースヒルズに顔を出しに行ったのですが、中竹厩舎の馬を一通り見ようと思って馬房を見に行ったんです。そうしたら、みんな放牧されてるんですけれど、1頭だけ小さなパドックで放牧されて、厩舎の馬房に帰っていて、そこで横になっていたのがダコールだったんです。首を骨折したということは聞いてたので、競走馬にはなれないかと思いましたが。

-:その時はギブスは外れていました?

河:ギブスとかはしてなかったですね。そのままずっと横になっていたので。しんどいのか、遊び疲れたのか知らないですけれど、砂だらけになってたので、初めは芦毛だと思ってました。お姉ちゃんが芦毛やから、この馬も芦毛なのかなと思って。顔はすごく可愛かったので、可愛い馬だなと思いましたね。

-:2年前に大山ヒルズで見た馬がダコールだとはわかったと思うんですけれど、その当歳の時に見たのも同じ馬だとはわかりました?

河:わからなかったですね。似ても似つかないじゃないですか。当歳の生まれたばっかりと2年前では形も大きさも全然違いますし。まあ、よく無事にここまで来たなと。

-:それで、無事に大山ヒルズから中竹厩舎に入厩して、担当が自分だと知った時はどうでした?

河:その時、僕は北海道にいて、別の人が代わりに担当していたんです。僕が帰ってきたら担当することになっていたんですけれど、「向こうに入ってきたのが、お前の担当になるぞ」と言われて、初めダコールという名前を聞いた時は“どんな馬や?”と思って調べたんですけれど、あの大山ヒルズにいた馬だと知って“ああ~”となりましたね。その時点で縁があると思っていたので、引退するまでやろうかなと。その夏、初めに担当していたジャックボイスという馬がレース中に亡くなってしまって、そういう縁もあって……。

-:それと入れ替えでダコールがきたわけですね。

河:そうですね。チャームペンダントという馬がいて7月に1勝してくれたんですけれど、ずっとやっていこうという馬がその馬だけになって、その時にダコールが入ってきたのです。

-:入厩してきた時に馬名が決まるじゃないですか。ダコール(フランス語でOK、了解の意味)というのは「ケガが完治してOK」という意味なんですか?

河:そう言われるとそうかもしれないですね、OKやったと。僕が来た時に担当していた人が「あれは走るぞ。大人しくて良い馬や」と言ったんです。その後1回放牧に出して、10月前くらいの、僕が帰ってきて2回目の入厩の時には全然大人しくなかったんです。夏バテしていたんでしょうね。

-:良い意味で、2回目に入厩した時はダコールに元気があったと。

河:元気で初めの頃は常歩も出来なかったので、ずっと速歩をやったりしていました。ちょっと物見をしたらブッ飛んでいかれるし。

-:それが新馬戦を迎える頃にある程度は期待はあったのですか?

河:みんな半信半疑なところがあって、「これ、勝つぞ」とは誰も言ってなかったです。

-:実際にそこからデビューして、同世代ではトップクラスの馬ではないですか。

河:走りましたね。走ってくれて、あんな脚を使ってくれるとは。新馬戦は優等生みたいな競馬をして、2戦目の東スポ杯は四位さんが「引っ掛かる雰囲気があったので、後ろで待って、いざ直線になって追い出したら、耳を絞って反抗をして、残りの200でやっと(走った)……」と言ってたので、そういう気難しいところがありますね。

-:気難しいところもあるし、今振り返ってみると、2戦目で東スポ杯、新馬からいきなりステップアップをしましたね。

河:勝ったサダムパテックは強かったですけれど、普通にスンナリといけば、2着ぐらいはあったような。残り200だけで5着まで来たので、能力はあるんだと思いましたね。その後も勝ち切れず、前に行ったら差され、後ろから行ったら届かずという。それで雨が降ることも多い。そういうところですね。



ダコールが走る理想の条件

-:最近は軌道に乗ってきていますが、ダコールのパターンはレースの10日前に大山ヒルズから栗東に来るという?

河:はい。それは最近ですね。

-:最近のパターンとして、ここ2回は10日前に大山ヒルズから入って競馬、というので、競馬をやっている時(週末)に追い切りの日が多いじゃないですか。今回もそのパターンで?

河:今週の土曜(8/24)に軽めでに馬ナリで追い切って、来週の水曜になると思いますけれど、1本追い切ります。それが馬場になるか、坂路になるかわからないですけれど。

-:昨日(8/21)、帰ってきたところで、体を見てどんな印象ですか?

河:“大山でキッチリとやってくれているな”という感じですね。別にゆるくもないし、これできっちりと仕上がると思います。

-:ただ、朝に見せていただいた時は、新潟に輸送するために余裕は残してある感じでしたね。

河:そうですね。まあ、全然細すぎるということはないので。そんなに体重の増減がある馬でもないし、しっかりと食べるので、環境が多少変わっても大丈夫かと。

-:輸送はドンと来いと?

河:そうですね。輸送でどうこうなるということはもうないですね。

-:しかも右も左も満遍なくとは言わないまでも、左回りも結構使ってますもんね。

河:左も悪くはないですし、堅実です。中京はあんまり合わないですけれど、新潟は合いますね。

-:それは馬場が硬いからですか?

河:芝の硬さとか、丈の長さ、そこが一番大きいと思いますね。



-:やっぱりディープインパクト産駒だけあって、すごく時計が出る軽い馬場の方がいいですか?

河:軽い馬場の方が合いますね、確実に。調教でもそうですし、ポリトラックやったら一番時計が簡単に出るんですけれど、坂路やったらそんなに出ないし。

-:雨が降ったCWとか?

河:そうですね。平坦だったらキッチリ出るんですけれど、軽い馬場の方が良いですね。

-:ここ7走ぐらい勝ち星から遠ざかっているじゃないですか。でも、2着、3着の堅実度は増しているんですけれど、この歯痒さはどうやって解消したら良いと思いますか?

河:重賞では敗因がハッキリしているところがありますね。大負けした2回は原因がわかっています。オールカマーでは大雨が降ったのと、日経新春杯は内外の馬場差が激しかったということですね。それ以外は確実にきていますけれど、まあ、走る時に雨は多いですね。完全に力負けというか、力を出し切って負けたというのは小倉大賞典でヒットザターゲットに負けた時だけだと思います。

-:その時が2着で。

河:そうですね。内外の差はありましたけれど、あの子なりにスムーズに一生懸命走った上での2着だったので。日経新春杯は内の3頭分ぐらいにグリーンベルトが出来ていて、1・2・3番枠の馬で3着以内が決まりました。

-:内外の馬場差があり過ぎたんですね。

河:外枠だったので、良い位置を取りに行こうと思って、4コーナー辺から進んでいったんですけれど、内がどこも開かなくて、結局悪いところしか走れなかったです。

-:そう考えたら1600万で勝った後からは堅実ですよね。

河:そうですね。ホンマに堅実ですね。重賞のオールカマーと日経新春杯しか掲示板を外してないですから。

-:1600万を勝ってからは全部、重賞ですものね。

河:「オープン特別は使わなくていいかな」という話になったんです。使えるなら重賞を使っていった方が、それぐらいやれるやろと。哲三(佐藤騎手)さんが乗ってくれていたんですけれど、哲三さんも「重賞でも良い」と言ってくれました。

ダコールの河嶋宏樹調教助手インタビュー(後半)
「チーム・ノースヒルズで悲願のタイトルを」はコチラ→

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【河嶋 宏樹】Hiroki Kawasima

兵庫県小野市出身。小学校低学年の時に有馬記念のパドックをテレビで見て競馬に興味を持つ。「メジロパーマーとライスシャワーが面白い名前だったので覚えてます」。6年生で厩務員という仕事があることを知り、高校3年で乗馬クラブで乗馬を始め、卒業後はノースヒルズに入社。3年半勤めた後に競馬学校に入り、中竹厩舎に所属して5年目を迎える。これまで持ち乗り助手としてチャームペンダント、ジャックボイス、ダコール、先日引退したタマモブラウンという4頭をメインに担当。馬に乗っている時に心掛けていることは「やるべき時にはやって、やらない時にはやらないようにする。馬の気分に合わせてメリハリをつける」。