関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

河嶋宏樹調教助手

チーム・ノースヒルズで悲願のタイトルを

-:今回の新潟記念に向けて、何かこれまでと変えていることはありますか?

河:この10日間では特にないですけれど、10日競馬が2回続くのはどうでしょうね。今まではレースまで2ヶ月あると、1ヶ月くらい前には入れて仕上げていましたし、前の週に入れるようになったのは小倉大賞典の時からなんです。ただ、その後も2ヶ月空いていますし、10日競馬が続くのは久しぶりで、重賞では初めてなので、それがどう出るかなと。

-:前回も上がり33秒台の脚で4着?

河:ただ、前はもう勝負が決まってたので。

-:ダコールが善戦するにはある程度は流れた方が良いのか、それともドスローの瞬発力勝負で、終いの一瞬の脚を活かせた方が良いですか?

河:結構、スローペースでよく走っていますね。でも、ペースが流れたら流れたで、確実に突っ込んで来るので、それよりも自分のリズムで走れるかだと思いますね。

-:話の前半で「耳を絞っていた」という話があったんですけれど、それは今のところは解消していますか?

河:そうですね。それは東スポ杯の1回だけです。その後は1400mを使ったんですけれど、その時は勝ち馬をマークしてて、勝負どころでついていこうとした時に、デムーロ騎手が乗っていても反応が悪くて、何テンポか遅れての3着だったんです。その時も反応に対しては従順ではなかったですね。

-:そういうタイプは距離の融通が利くというか、反応が良すぎる馬よりちょっとゴネる馬の方が1800とか2400までも通用するじゃないですか。そこが、この馬がいろいろな距離をこなせるポイントなんですかね。

河:いや、(佐藤)哲三さんの影響が一番大きいですね。今まではジョッキーがボコボコ替わっていて、みんなそれぞれ勝ちに行くようにはしてもらっていたんですけれど、哲三さんになって、「コーナー4つで、終いの脚を活かすようにして行った方が良いんじゃないか」ということで中距離を多く使うようになりました。まあ、この前の新潟はコーナー2つでしたけれど、それでも全然、対応できたいたので。

-:今回はコーナー4つでベストの条件と?

河:そう見て良いと思います。

-:枠の内外はどうでしょう?

河:結局は後ろからになるので、それ程は気になりません。

-:時々、道中で引っ掛かる馬は外枠がダメじゃないですか?

河:引っ掛からないので大丈夫です。基本、自分のリズムでゴーサインを出した時に一脚しか使えないんです。そのゴーサインを出したら、良い位置を取りに行って我慢できるというタイプではないので、初めはある程度、後ろでも前でも、自分のリズムで走った上で、終いの一脚に賭けるような。

-:要は中京みたいな風になびく芝丈がダメなんですね?

河:ダメですね。洋芝とか芝が長めのとか、あとは坂があんまり良くないのでね。まあ、今は力を付けてきたので、どうにかなると思いますけれど、あんまり向いてはいないと思います。

-:そういう意味でも、新潟記念はベストですね。

河:新潟はベストですね。春の新潟大賞典も芝を刈り込んであって良いなと思っていました。まあ、不利を受けて、それでも3着に来てたので。



-:ファンが注目するパドックですが、良い時はこういう仕草をするというポイントがあったら教えて下さい。

河:聞かれるんですけれど、毎回、変わらずですね。ないかなあ……。

-:うるさいか大人しいかといったら、大人しいタイプで?

河:それはやっぱり、マイペースはマイペース。キョロキョロしたりもしますし、ただ、あの馬はジョッキーが乗って馬場に入ったら、ある程度は集中するので。

-:それまではリラックスしていますか?

河:所々、我が強いところがあって、結構、装鞍所の馬房に入らなかったり、それも外で装鞍するようになって。あとゲート裏の待機馬房はゴネる時に行かないので。そういう時は前の方でやったりはします。

-:ゲートの後ろで他の馬に離れた所で待機しているのですか?

河:ゴネたら、絶対に行きたがらないのでね。ジョッキーが何回か無理くり行かそうとしたら、振り落とそうとして。そういう我が強いところがあるので。ゲートの入りは全然、悪くはないので。

-:ジョッキーが乗って、馬場に入る時にある程度、良い意味の気合乗りが?

河:気合乗りで、落ち着いて出るかぐらいで。いつも最後に出すので。それは昔の名残で、馬場に入った時に1回ゴネまくってたので。今はそういうことはないんですけれど、他の馬に絡まれたり、他の馬に迷惑を掛けるよりは、という名残で。

-:今回は念願のダコールの重賞初制覇にしたいですね。

河:そうなってくれるといいですね。うちの厩舎ではノールヒルズの馬で重賞を勝っていないので、ノースヒルズの馬で勝ちたいです。牧場の人も、オーナーも、先生にもみんなお世話になっていて、関わってきたみんなの顔がわかるので勝ちたいです。

-:珍しいパターンですものね。生産から育成まで一直線に関わっているという。

河:短期放牧を頻繁に出しているのもありますけれど、コミュニケーションが取れますし、使うところも全部、コミュニケーションを取って、乗ってる人から何から、みんな顔を知っている人なので、その辺は信頼関係でキッチリと仕事をして、こちら側に送ってきてもらってますし。

-:そういう信頼関係のあり方は普通ないですからね。

河:やっぱり結構、厩舎と牧場やったら、正直、コミュニケーションは取りづらいものじゃないですか。僕は牧場のこともわかるから、お互いに建設的な話もできますし、普通に考えたら言いにくいことかもしれないですけれど、それはお互い様で、良くしていくための段階として、やるべきことというのは言えるようにはしています。そういう意味でも、恩返しの意味もありますし、どうにか重賞を勝ちたいです。



影の恩人は佐藤哲三騎手

-:ダコールはディープインパクトの初年度産駒ですよね?

河:初年度産駒です。スゴいですね。今までも堅実には走ってくれますけど、重賞を取りあえず一つは獲りたいなと。

-:休んでいる哲三ジョッキーがこの馬を作ってくれたと?

河:完全にそうで、それだけにずっと乗って欲しかったというのはありますけれど、それは仕方ないことなんで……。まあ、1年ぐらいのコンビがホンマに大きかったですし。

-:軌道に乗せてくれた恩人というか?

河:そうですね、恩人ですね。

-:最後にダコールを応援するファンにメッセージをカメラ目線でお願いします。

河:馬券としては買い辛い馬ですし、走る時はしょっちゅう雨も降りますし、後ろからの脚質的にアテにし辛い部分もありますけれど、馬はいつも一生懸命走ってくれてます。僕ら厩舎も、牧場もやれる範囲でやれることをしっかりとやって、レースに臨んでますので、勝てるように、雨が降らんように願ってます。



-:てるてる坊主を作って?

河:それは作っても効果がなかったんですよねえ~(笑)。てるてる坊主を作って、3回連続フラれ、七夕賞では尾っぽに付けて行ったら、装鞍所で雨が降っていたので。

-:邪念を捨てろということですかね?

河:雨が降るのも、もしかしたら脚元が無事に行けるということかもしれないですね。あんな大ケガをしている馬が無事に27回も走れてるんでね。雨に泣かされているかもしれないですけれど、逆に言ったら、そういう風に(馬場が柔らかくなって)脚元を助けてくれている部分があるのかなと。

-:当歳の時にケガをして、そこから競走馬になれて、活躍して27回走れているというのはやっぱり違う意味でノースヒルズさんが評価されるわけですよね?

河:そう思いますね。本当に普通に考えたら、あんなケガで競走馬になった馬なんかいないですし、獣医さんに聞いても「神経に触ってしまって、どうにもならん」と言って。それでも、オーナーが「頑張れるだけやってみよう。あれだけの血統の馬やし、やれるだけやってみよう」と言って。牧場の人からしたら、とんでもなく怖いでしょうからね。初めて跨って、首の骨が折れてるとなって、もし乗っている途中にどこか神経に触って、バタッと倒れられても怖いですし、ホンマに追い切りで“15-15”をやった人なんかは、普通の精神状態じゃ乗れないはずなんですけれど、そういうことを乗り越えて、厩舎まで送り出してもらったというのはね……。

-:そういう一つ一つの積み重ねをしてくれたスタッフがいたから今があると?

河:完全にそうですね、本当に。ここまで来てもらったので、どうにか結果を出したいというのは、自分が結果を出したいということよりも、その人らが喜ぶなり、社長や調教師が喜んでいるのをみたいな、という思いが大きいですね。だから、どうにかこうにか、ホンマに……(結果を残したいです)。

-:“奇跡の馬”ダコールを応援します。

河:そうですね、応援よろしくお願いします。

←ダコールの河嶋宏樹調教助手インタビュー(前半)

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【河嶋 宏樹】Hiroki Kawasima

兵庫県小野市出身。小学校低学年の時に有馬記念のパドックをテレビで見て競馬に興味を持つ。「メジロパーマーとライスシャワーが面白い名前だったので覚えてます」。6年生で厩務員という仕事があることを知り、高校3年で乗馬クラブで乗馬を始め、卒業後はノースヒルズに入社。3年半勤めた後に競馬学校に入り、中竹厩舎に所属して5年目を迎える。これまで持ち乗り助手としてチャームペンダント、ジャックボイス、ダコール、先日引退したタマモブラウンという4頭をメインに担当。馬に乗っている時に心掛けていることは「やるべき時にはやって、やらない時にはやらないようにする。馬の気分に合わせてメリハリをつける」。