菊花賞馬の甥・ラストインパクトが本領発揮
2013/10/20(日)

神戸新聞杯では夏の上がり馬、秘密兵器的な扱いを受けながらも7着。しかし、文中にもあるように敗因は明確で、これまでもどちらかといえば不運に見舞われているようなフシがある。付きっ切りで担当しているのは元騎手の野元昭嘉調教助手。2歳時にはレースでも自ら跨っていた愛馬について、大一番での激走の可能性を探ってきた。
圏外の2戦には明確な敗因あり
-:ラストインパクト(牡3、栗東・松田博厩舎)についてお話を伺います。菊花賞に向かう馬にしては珍しいですが、夏は7、8、9月と1回ずつ使って変わりなく来ていますね。有松特別では、スタートをして1コーナーに行くまでに内に入れないシーンがあって、そこでちょっと引っかかっているような仕草を見せたのが意外でした。有松特別での4着を振り返っていただけますか?
野元昭嘉調教助手:いつもテンは引っかかるところがあって、今回は頭を振った時にタイミングが悪くハミが全部抜けたんです。1コーナーからずっとその状態で走ってきてコンマ1秒での4着だったので、もったいないレースでしたね。
-:珍しいことですね。
野:そうですね。いつもと同じ馬装でやっていたんですけどね。ハミを噛んでいない状態であそこまで走ってくれるとは。
-:その辺はファンもわかり辛いところかもしれませんね。4着は力負けじゃないということです。それを証明するかのように、次の1000万のシンガポールターフクラブ賞では快勝でした。神戸新聞杯では3番人気で7着でしたが、位置取りが “思ったより後ろから行ったな”という気がしました。
野:その時も、パドックで落鉄するアクシデントがあったんです。だから、ラストインパクトの能力を全部発揮しきれなかったです。
-:馬場入りで、最後までなかなか出て来なかったですね。菊花賞では人気の盲点になりそうです。
野:馬自体は本当に良いので、僕は菊花賞で巻き返してくれると思っています。
-:春から見ていて、ディープインパクト産駒でありながら、正直そんなにメチャクチャキレるようなタイプではない半面、乗りやすそうな馬だなと思っていました。菊花賞のような混戦となる舞台では、乗りやすさが一番の武器になると思うんです。今回、順調に夏を越してようやく本番を迎えるということで、野元さんから見た春からの成長度合いや、変わってきたところを教えて下さい。
野:春から、結構しっかりとしていた馬でした。自分が調教で乗っていても、乗りやすいなと思います。調教と競馬は違うので、競馬になると馬のテンションも上がって、やっぱりかかるところも見せますけどね。
-:この馬は、掛かると言っても、ずっと掛かっている訳ではないじゃないですか。最後のスタミナロスを最小限に抑えられると思います。
野:どこかでハミはポンと抜けますけどね。賢いと言えば賢いですね。本当に競馬も上手いし、スタートの時も大人しいし、パドックも落ち着いています。
-:菊花賞で穴を開ける条件は揃っている訳ですね?
野:僕は、ちゃんと走ってくれるんじゃないかな、という期待は大きいです。

自由自在な脚質が最大の武器
-:今週の水曜日(10/9)に、CWでアドマイヤスピカとの2頭併せが行われました。時計は遅かったんですけれど、逆に言うと、長距離仕様の調教ができたのかなと思います。
野:「アドマイヤスピカと併せ馬で、最後まで同入してくれ」と先生に言われたので、指示通りにしました。「追い切りは動く馬なんで、最後まで併せるように」と。
-:むしろ時計の速さよりは、折り合いが付いたというところが評価できるのでしょうか。
野:直線はやっぱり馬が行きたがりますので、抑えたままです。それでも2周目からは掛からないんでね。調教では、本当に何の問題もない馬なんですけどね。
-:調教で乗っている時のフットワークは、どんな感じですか?
野:「安定感がある」としか言いようがないです。
-:どちらかと言うと、トモだけで走るディープインパクトのような感じではなくて、前も効いている感じですか?
野:馬には、背中がすごく柔らかい馬と、安定感がある馬がいるのですが、ラストインパクトは安定感がある馬です。脚を蹴り上げたりもしてこないですし、安心して乗っていられる感じの馬です。

10/9(水) CWコースでアドマイヤスピカと併せ86.4-69.3-53.8-40.0-12.9秒(馬なり)をマークした
-:松田厩舎には、あんまり柔らかい馬がいるイメージがないです。キッチリと調教をして、筋肉にもしっかりと負荷が掛かっているから、硬めの馬がいるようなイメージがあります。ラストインパクトも、柔らかさやユルさよりも、シッカリ感とかパワーがあるタイプだと思って良いですか?
野:でも、この馬は柔らかいですよ。そんなゴトゴトしないし。
-:その辺は、さすがにディープインパクトという感じですか?
野:取りあえず乗りやすいですね。乗っていて手間が掛からないですね。
-:それを証明するかのように、体重が3戦続けて482キロですね。
野:小倉に行っても、こっち(トレセン)にいても、大体同じような体重でいてくれているんで、調整はしやすいです。
-:前走は落鉄があったから度外視するとして、先行して3番手からレースをしていることもあれば、後ろからレースをしていることもあったり、位置取りに関して自在性があるのがこの馬の武器ですね。菊花賞でどうなるかは、ジョッキーでないと分からないのでしょうか。
野:それはユウガ(川田将雅騎手)に任せます。乗り慣れたジョッキーですし、先生の指示もあるはず。前に行っても勝っているし、中京では後ろから行って差し切っているし、青葉賞では好位につけて、上がり33秒台の脚を使っていました。だから、キレてないという訳ではないんですよね。終い3ハロンも1番のタイムで勝ってもいますし、自由自在でしょうね。
-:3着や4着には来るけど、ちょっと勝ち身に遅いようなところもあるのでしょうか。
野:超ドスローで行く馬は楽に折り合いが付きます。やっぱり、スローペースで好位から後ろに行く馬は、多少ハミを噛むところがあるし、力負けという感じは僕はしてないんですけどね。
-:“この馬の力をちゃんと出せたら”という感じでしょうか。
野:そうですね。僕は馬場で放すまでが仕事なので、後はジョッキーに任せます。
ラストインパクトの野元昭嘉調教助手インタビュー(後半)
「馬場状態不問で安定感がある馬」はコチラ⇒
1 | 2

|
|
