関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

田重田 裕生

お父さんはキズナの担当厩務員

-:ちなみに、お父さんから教わることや学ぶことはありますか?

田:そんなに聞かないんでね。言ったら教えてくれますけど、職人肌なんで。厩舎の人にも「田重田さんはやってることがよう分からへんから聞いたりするけど、それを聞いて、ああ~、と納得する」と言われます。

-:お父さんは、今の現状だけを見るのではなくて、未来図をちゃんと見た上で、今の仕事をされているという感じですか?

田:ハイ。

-:今年は、自厩舎のオルフェーヴルも凱旋門賞に行き、自分の親父さんも(キズナの担当で)凱旋門賞に行きました。田重田さんにとっては、どんな凱旋門賞でしたか?やっぱり、親父さんが行ったという誇らしさはあったでしょう。ニエル賞は勝ちましたし。パドックを回っていても、中間のシャンティイの調教風景でも、普段通りの姿のままでいかにも田重田さんらしいなと思いました。

田:そうですね。まあ、元気でやってるなと(笑)。メールはちょくちょくしていましたね。 “楽しくやっているかな?”と思って。元気でやっていたみたいですね。

-:食べ物のを心配されていましたけどね。

田:その辺はあんまり聞いてないですね。「帰ったら話したるわ」とは言っていましたけど、昨日(10/16)帰ってきたんで。「来年も行きたい」と言っているかもしれないですね。行く前はあれだけ「行きたくない」と言っていたけど(笑)。

-:その時は一緒に行ける馬に出会えると良いですね。

田:そう思っています。



宝塚記念2着の実力を証明する舞台

-:最後に、天皇賞(秋)でダノンバラードを応援しているファンにメッセージをお願いします。

田:宝塚記念の2着がフロックじゃないということを証明するためにも、良い走りができるよう、こっちも頑張って仕上げていきたいと思います。レースでも応援して下さい。

-:長い直線で懸命に走る姿を見せたいですね。

田:そうですね。

-:今日(10/17)の1週前追い切りは川田ジョッキーが乗って、坂路で走りました。動き自体はどうでしたか?

田:馬場が重かったので、時計的にはそんなに出てなかったですけど、53.5秒の終いが12.9秒でした。

-:あの馬場で53の終い12を出したら、動いている方ですか?

田:ハイ。ジョッキーも「馬場が悪いけど、動いてた」と言っていて「右にモタれる感じも、出だしの一瞬だけ少し見せて、それ以外はそんなに気にならなかった」と言っていました。

-:宝塚記念よりも落ちるコンディションではないですか?

田:そうですね。安定していい状態を維持できています。秋もいい競馬をみせられるよう頑張りますので、応援してください!

←ダノンバラードの田重田裕生調教助手インタビュー(前半)はコチラ

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【田重田 裕生】Yuki Tajyuta

佐々木晶三厩舎でキズナ、アーネストリーなど幾多の名馬を担当する多重田静男厩務員の長男。父の影響を受け、小学校5年生から騎手を目指して乗馬を始める。その後はグリーンウッドに3年弱勤務し、競馬学校入学を経て池江泰郎厩舎に所属。厩舎解散後、担当のダノンバラードと共に池江泰寿調教師のもとにやってきた。思い出に残っている担当馬は「阪神ジュベナイルFでG1に初めて出させてくれた」というメルヴェイユドールで、馬に乗るときのモットーは「馬の邪魔をせず、指示された通りに乗ってくる」。


【高橋 章夫】 Akio Takahashi

1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて17年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。