現役関係者コラム

松田幸春の競馬なんでも相談室

この度の東日本大地震、大津波で被災された多くの皆さまにお見舞い申し上げます。

私もドバイ出張中(ヴィクトワールピサ)の長男、東京在住で本人もかなり怖い思いをしただろう次男から「大丈夫?生きてる?」と言う短いですが安否を気づかうメールが届きました。彼らの優しさになんだか胸が熱くなったのは、年のせいでしょうか?

一日も早い復興を心よりお祈りいたします。


さて、今回は競馬ラボに質問が多いという、馬のプールについてお話したいと思います。
競走馬にプール調教が取り入れられるようになったのは1988年8月頃からです。馬は浮力によって浮くことができます。人間でいう「カナヅチ」は、動物にはないと言われていますが、以前誘導の失敗で溺れた馬がいました。なので、50mあるプールに入る時の誘導はゆっくり静かに行います。

水を怖がったり入場を拒否する馬もいますが、無理やり入れる事は避け、もう一度やり直して時間をかけ、水に慣らしてから入る事が大切です。プールから上がる時には退出路に入り前肢が底に着いた事を馬に確認させ、勢いを抑え静かに誘導し水泳姿勢のまま突進したり、横転などによってケガや事故を起こさぬよう全ての事に細心の注意を払わなければいけません。

水圧によって胸を圧迫し水中で息をするために呼吸は深く激しいものとなります。この事により肺機能が高められ、さらに血液循環が促進され、心臓機能も同時に鍛えられるのです。推進力で水中を進むため筋力アップにつながります。また調教後のクールダウンとしてリフレッシュ効果を高めたり、故障明けの馬の脚元に負担をかけぬようメニューに取り入れられたりと、プール調教は様々な効果が得られるのです。

★犬かきならぬ馬かき(笑)