現役関係者コラム

松田幸春の競馬なんでも相談室

3月19日から被災地支援競馬が開催されています。
それに先立ってJRA理事長の土川健之氏をはじめ、武豊騎手の応援メッセージが放映され、各地でも様々なイベントが催されています。
ドバイ遠征中の日本人スタッフは、背中に日の丸をプリントしたポロシャツを着用して作業しています。また、遠くイタリアで修行中の松田大作騎手も現地で募金活動をはじめたと聞きました。このように支援の輪が日本のみならず、全世界に広がりつつあります。
先日、私も阪神競馬場にて募金をしてきました。これからも微力ではありますが、被災された皆様のお役に立てる様、お手伝いしていきたいと思います。


今回と次回は坂路調教についてお話したいと思います。
栗東の坂路馬場は1985年11月にできたのですが、その後2回の延長工事を行い1992年11月に現在の馬場が完成しています。

坂路ができる以前は逍遥馬道(馬の散歩道)をその代わりとして利用している厩舎もあり、ファンドリナイロ(1978年中山大障害優勝馬)などは障害コースを想定して調教されていたのを記憶しています。また、私もミヤマポピー(1988年エリザベス女王杯優勝馬)をリラックスさせるためによく利用しました。

その後、ミホノブルボン(1992年皐月賞・ダービー制覇)が、当時最新の施設でもあった坂路と平地のインターバル調教を取り入れ、事故発生率が低く前肢への負担が軽い坂路調教馬がレースにおいてよい成績を残すようになり、その効果が実証されていったのです。ちなみに同馬は、分厚いトモを持ち機械のように正確なペースで逃げを打つことから「坂路の申し子」・「サイボーグ」という異名もありました。

しかし、坂路調教が万能というわけではありません。体力・気性は個々の馬で異なるため、その全てに適しているとは断言できないからです。運動に耐えられる骨や筋肉、腱が成長しないうちに強い負荷をかけてしまうと、当然障害を起こしやすくなります。個々の発育を充分に把握して、各馬場の特性を上手く使い分ける事によって障害を防止する事ができるのです。
次回は坂路調教の効果についてお話しますね。

★逍遥馬道(しょうようばどう)



さて今週3月26日、ドバイのメイダン競馬場でドバイワールドカップデーがあります。日本からも5頭の精鋭馬たちが大レースに臨みます。今とても厳しい状況の中、被災された方々に元気や勇気を与えられるようなレースを見せてくれるでしょう。
がんばれ!チーム・ジャパン!!

★ドバイ メイダン競馬場


ヴィクトワールピサを担当している息子の全史(まさふみ)が現地から送ってくれました。