
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
一流たる理由
2025/5/8(木)
皆様、こんにちは!春の陽気な気候はどこへやら、朝から肌寒さが続いています。まだまだ毛布が手放せない気候で本当に5月?と疑ってしまうほどです。体が慣れている日本の四季ではなく、二季として身体も頭もバージョンアップをしていきます。

世間はゴールデンウィーク真っ只中だった先週、京都競馬場で天皇賞(春)が行われへデントールと来日してすぐのD.レーンのコンビが見事な勝利を挙げました。長距離は騎手の腕といいますが、まさに彼の細かな技術が詰まっていたと思います。
まず目に留まったのは返し馬の丁寧さです。馬の気持ちを作るため、返し馬に入る前に長く時間をとると、フィーリングがよくなったタイミングで開始しました。これにより馬の集中力がガッと上がったのを感じました。長距離では馬の気持ち、集中力の持続が重要になります。それを理解し、実行した巧みな技でした。
競馬はレースだけが注目されますが、陣営の組み立てに騎手が跨った瞬間から色々な試作や取り組みができて初めて一流になります。モレイラやレーンが乗ると何故か走るのにはこういった理由もあると思っています。人馬一体の素晴らしいレースでした。

今週は東京競馬場でNHKマイルCが行われます。3歳馬のマイル王者を決める戦いになります。欧州ではマイル三冠もある中で日本では唯一となっていますが楽しいレースになる傾向があり期待しています。注目は朝日杯フューチュリティSを制したアドマイヤズームになるでしょうね。前哨戦も安定したレースをしていましたし、川田君のメンタルが戻っていればと思っています。
ルメールとの新コンビ、イミグラントソングの切れ味にも期待しています。他にも若武者・吉村君が史上最年少G1制覇を狙うランスオブカオスにマジックサンズやアルテヴェローチェなど展開ひとつで着順が変わりそうなメンバーですが、読み切って馬券勝利をもぎ取りましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。