
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
夏の終わりの夢の続き
2025/8/26(火)
皆様、こんにちは。夏の甲子園、今年も熱戦の末に幕を閉じました。沖縄尚学の優勝、本当におめでとうございます。ニュースで見たのですが、沖縄では決勝戦の日に街から人が消えるほど、多くの人々がテレビに釘付けになったそうです。ひとつの高校に県民全体が夢を託し、熱い声援を送る。その一体感こそ、甲子園が持つ最大の魅力ではないでしょうか。白球を追いかけ、汗を流した全ての高校球児に心からの拍手と感謝を贈りたいと思います。

球児たちの熱い夏が終わったと思いきや、競馬の世界でも熱い戦いが繰り広げられました。札幌競馬場で行われた、まさに競馬の甲子園ともいうべきワールドオールスタージョッキーズ。今年こそ坂井瑠星騎手の優勝を期待していましたが、見事な手綱捌きを見せたドイツのルーカス・ハマーハンセン騎手が栄冠を手にしました。惜しくも優勝は逃したものの、日本人最上位(第3位)という結果を残した坂井騎手。その堂々たる戦いぶりから、来年こそはという期待が膨らみます。

同じく熱戦が繰り広げられた新潟競馬場。新潟2歳Sではリアライズシリウスと津村明秀騎手のコンビが圧巻の走りで勝利を掴みました。デビュー戦は7馬身差という圧倒的な強さを見せながらもタイムはさほど速くなかったため、2戦目の走りには注目していました。しかし、その懸念は杞憂でしたね。スタートで少し出遅れながらもすぐに先頭に追いつき、後続を突き放していく姿はまさにG1級の素質を感じさせるものでした。
2着のタイセイボーグと田口貫太騎手のコンビも、まだトモが緩く幼さが残る馬を巧みに導いた印象です。3着のフェスティバルヒルも同様に若さを感じさせる走りでしたが、それを差し引いてもリアライズシリウスの強さは群を抜いていました。この先どこまで成長していくのか、非常に楽しみです。

夏最終週の新潟競馬場では新潟記念が開催されます。注目はなんといってもエネルジコ。同じ3歳の勝ち馬ブラストワンピースがここをステップに同年有馬記念を制したように、秋の大飛躍を予感させます。また、前走で進路を失い不完全燃焼に終わったシランケドに新しく坂井騎手が騎乗することも楽しみです。最後まで、夏競馬の熱気を味わい尽くしましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。