
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
秋競馬、いざ本格始動
2025/9/9(火)
秋の気配が少しずつ深まり、新米や梨といった旬の味覚が店頭に並び始めました。あの酷暑が嘘のように過ごしやすくなってきたこの季節は、私たちの心を自然と高揚させてくれます。そして、何より待ちわびたG1シリーズの幕開けが、その興奮を最高潮へと駆り立てます。

長かった夏競馬も札幌開催の終了とともにフィナーレを迎えました。今年のサマージョッキーズシリーズは松若騎手が苦しい時期を乗り越え、見事優勝賞金100万円を手にしました。彼の揺るぎない精神力と周りの支えがもたらした優勝は、是非パーティーではなく支えてくれた人のために使ってほしいなと思います。
先週、阪神競馬場で行われたセントウルS。川田騎手が騎乗したカンチェンジュンガは、まさに完璧の一言に尽きます。自らが騎乗していたママコチャを打ち破っての勝利は川田騎手自身も最高のパフォーマンスを見せつけたと胸を張れるでしょう。ペースを見極める冷静さと、ここぞという時の剛腕。彼だからこそ成し得た、まさに至高の騎乗でした。

今週から舞台は中山・阪神の2場開催へと移ります。3日間にわたる開催の中で私が最も注目しているのがローズSです。女王カムニャックの登場はもちろん、パラディレーヌやタガノアビーといった有力馬たちの成長ぶりも見逃せません。
鷲頭騎手や田山騎手の重賞初騎乗にも期待が高まり、見所満載のレースとなるでしょう。いよいよ本格的に始まる秋競馬。情熱と興奮が渦巻くこの舞台を、ぜひ競馬場で体感してください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。