
'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!

10月6日時点1677勝
毎日王冠はチェルヴィニアと初コンビ!またも4歳有力馬に騎乗
2025/10/3(金)
中山開催もコンスタントに勝ち星を重ね、開催リーディングに輝いた。そして、今週からは舞台は東京に移る。開幕週で注目といえば毎日王冠のチェルヴィニアだろう。追い切りも含め実戦で初コンタクトとなるが、好結果を期待したいところ。また、次週は交流重賞にも騎乗。こちらも見逃せない。
チェルヴィニアは東京替わりで復活なるか
——さあ、今週から東京開催。東京競馬場は上半期以来となりますね!
場所が替わっても心構えとしては変わらず、ですね。ただ、気候もだいぶ涼しくもなってきましたし、人にも馬にもいい天候になりそうなのは何より。あとは当日の天気も心地よい状態でできればと思います。
——まず、土曜の騎乗馬からガードオブオナーはどうでしょうか。
新馬前の追い切りも乗ったところ、若さがあって使って良くなりそうな雰囲気でした。今回は帰厩当初になりますが、帰ってきてから一度乗せてもらったところ、体が引き締まって良くなっていますね。レース運びも含めて前進できればと感じています。
——昇級初戦となるエポナは3走ぶりの騎乗です。
初出走の時も既走馬を相手にいい内容でしたね。使って良くなっていると思いますし、当時の感触から言えば昇級ですが、通じていいんじゃないかと思いますよ。
——アルゲンテウスは追い切りに乗られましたね。
追い切りでは調子が良さそうでした。映像を見ている限りポジションをとれるタイプではないので、開幕週がどうか、というところでしょうか。

——シンバーシアは上半期に連勝しましたね。
レースセンスのある馬ですね。自分から競馬が作れるのが強みだと感じています。前走は他のジョッキーが乗っていましたが、昇級しても頑張っていたのでね。
——ヘリテージブルームはダートにも対応していましたね。
初動が遅くてポジションがとれず後手、後手の競馬でした。東京替わりでカバーできればいいですね。
——ラフターラインズは新潟で連対しました。
新馬戦ながらすごく内容が良かったです。4角を回るときには勝てるかなというほど。あとは使って良くなればと感じます。
——アッパーウォーターは今週の追い切りに騎乗されていましたね。
動きは良かったです。仕上がりも早そうですし、新馬向きと感じます。
テリフィックプランの前走は力を発揮し切れませんでしたが、ポテンシャルは高いと思います。東京替わりはいいと思いますよ。アージェントは勝たせていただいた前走も地方帰りながら能力を感じる、勝ち方、乗り味でした。あれなら昇級してもと思いますね。

——毎日王冠(G2)はチェルヴィニアに騎乗されます。
(ステレンボッシュに騎乗していた)オークス、秋華賞と対戦して悔しい思いをさせられましたね。もちろん強さを感じていたのは事実です。そういう馬に乗せてもらえるありがたい気持ちです。楽しみでもありますし、この馬の力を出し切れれば。
——あくまで客観的な意見で、このコースはどう思いますか?
向くんじゃないかと思いますね。客観的に観ていても、ゆったりとした走りなので広いコースは合うと思います。
——それにしても、戸崎さんは現4歳世代のG1出走馬、上位入線馬によく騎乗されますね(笑)。ダノンデサイル、ジャスティンミラノなどなど。
そうなんですよね~。本当にありがたい限りです!
ナルカミ、クロジシジョーと楽しみな交流重賞
——先週のレースでは、スプリンターズS(G1)のカピリナはどうでしたか。
戦前は外枠になったことで、後ろからになるだろうと感じていました。さすがに前にはつけられないと見ていたのですが、具合の良さとスピードの乗りが良かったのが、思っていたよりも流れに乗れましたね。これは良かったと感じています。
ただ、行けた分、内に入りづらかったですね。G1としてはペースが速くはなかったにしても、この相手でも先行できたことは歓迎すべきことですが、外枠もあって苦しい展開になってしまいましたね。
G1でもこういう競馬ができたことは今後に向けては良かったと思います。スプリンターズSで戦うなら内枠、中京なら多少外めの枠でもいいのかもしれませんね。
——昨年、中山で勝った時や函館の走りから、理想は内枠ですか。
外々回ると走り切れないですからね。条件はつきまといますが、内枠が理想ですね。ダートもいいかなとは今でも感じています。
——キタノソワレはどうでしたか。
映像を観ると、あまりついていけないイメージはありましたが、ついていった分、いつもは最後の伸びじゃないのかなと思います。ただ、安定して走れる一方、勝つならああいう競馬にも対応できるとより良くなるんじゃないかと思います。
——ブラックルビーは状態の問題ですか。
いや、全くです。馬も良くなっていましたよ。調教師にも言われたのですが、現状では距離がどうかなと。馬が変わってきていて、今なら1600mでもいいのかなというくらい。条件変えて改めて頑張ってほしいです。
——ハイライトニングで勝たれましたね。

ゲートも遅く、行き脚もつかないと聞いていて、後ろからの展開を覚悟していました。それがスタートも良く、スピードの乗りも良かったです。このギャップがあった理由はわかりませんが、追ってからはしっかりしている馬だと思っていました。
——グーテンベルクは初の中山だったとしても崩れてしまいましたね。
返し馬で少し硬さがありましたね。背中の使い方がいいのに、縮こまっていましたね。ゲートの中もうるさくて集中しておらず、レースは後ろからになりました。外々を回ってロスは大きいにしても、それにしても…というところはあります。感触としてはこの馬の素質を発揮できる雰囲気ではなかったですね。
——ザーフィルはどうでしたか。大接戦で一時は勝ったかと思いましたが。
馬は引き締まって良くなっている感触はありました。レースも流れに乗れましたし、タイプ的にも長くいい脚を使えるタイプ。そのあたり展開の助けは必要ですね。
——新馬のフィンガーは惜敗でした。
調教の動きとしては当初は重たくて、動き切れなかったのが徐々に良くなっている段階だったようです。乗り味もよく、道中の感じも大きいのですが、ゆったりとしたトビ。サッと動けるタイプでないですが、展開は向いたかと思っています。内容的にも良く、チャンスは近いはずです。
——そして、次週のジャパンダートクラシック(JDC)ではナルカミと臨まれます。
前走よりも馬は良くなっているようですし、さらに楽しみですね。もう相手関係というか、未知な面はありますが、高いポテンシャルはあります。強い相手が揃いますが、力を出し切れれば。
——あとはモマれず競馬ができれば、ですか。
まだモマれたことのない不安はありますが、やってみないとわからないことがあるのは事実。それでも本当に楽しみです。
——将来を抜きに言えば、今回、結果を出すだけなら外枠がいいですか?
外枠の方が良さそうですね。大井の条件も合うと思っています。
——東京盃にはクロジシジョーが挑みます。
前走は具合が良かったぶん、距離が裏目に出てしまったところはありますね。もう1200mは確実な馬。あとはずっと暑い中で頑張っていますから、状態次第でしょうか。
——次週は東京と京都での騎乗ですね。引き続きよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。2025年5月よりYoutubeチャンネルを開設。