
'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!

6月23日時点1629勝
【対談:安藤勝己×戸崎圭太】
頂点を獲るための最強の騎手理論 Part.1
2013/9/21(土)

リーディングへの道をみんなで一緒に駆け上がろう!
競馬ラボ独占コンテンツ「週刊!戸崎圭太」では、JRAのトップジョッキーとして活躍する戸崎圭太騎手の生の声を毎週発信!レース・騎乗馬の話題はもちろん、“ポスト・アンカツ”としての活躍が期待される中、その安藤勝己さんから直々に叱咤激励のコーナーも!?
他にも、定期的に展開するQ&Aコーナーでは、ファンからの質問にもお答えいただきます!ファンと本人の架け橋となるコーナーとして、どこよりも「ケイタ情報」を発信いたします!
地方No.1ジョッキーの名前を欲しいままにし、JRAへ電撃移籍。新たなステージで頂点を目指す戸崎圭太騎手を競馬ラボでは徹底!応援宣言します。目指せリーディング!そして、もっともっと戸崎圭太を応援しましょう!

競馬ラボで3月に実現した対談以降も、プライベートでの親交の場を設けた安藤勝己元騎手と戸崎圭太騎手。その際、「次は重賞を勝ったらメシを食おうな」という安藤氏の誘いにより、対談を兼ねた祝勝会が実現!今回の【週刊!戸崎圭太】は、「番外編」として両氏の対談を掲載!奇しくも、その当日に戸崎騎手が京成杯AHを制し、宴に華を添える形になった祝勝会。戸崎圭太が標榜する大騎手・安藤勝己、名手が認める後継者・戸崎圭太。互いを認めあう二人だからこそ、リラックスムードの本音で語り合える濃密なトークをお届けします!
(京成杯AHレース後。都内飲食店にて、まずは乾杯の掛け声で祝杯をあげる両者)

戸崎圭太騎手:しかし、雰囲気の良い店ですねえ~。興奮してきましたよ。
-:そんなに行かないんですか、こういうところ?
圭太:逆に居酒屋とかの方が好きですからね、ワイワイガヤガヤした方が。
安藤勝己元騎手:こういう雰囲気が合わねえなあ。地方出身騎手には合わねえ、ハハハ(笑)。カッコつけたところはダメだわ。
圭太:僕も落ち着かないです(笑)。
勝己:似合わねえもん。地方は周りの人間がそういうヤツばっかりだから。ましてやシャンパンなんか合わねえよな、ハハハ(笑)。生ビールとか焼酎だよ。シャンパンの後にワインなんてなあ。そういうコースじゃないよな。
圭太:1回、何かの食事で普通にビールを飲んで、「焼酎お願いします!」と言ったら、焼酎を置いてなくて。雰囲気の良い店で、すげえカッコ悪かったんです。
勝己:夏に新潟とか行くと焼酎だな。
圭太:こっちとは全然、(味が)違いますね。
勝己:今年は函館に行くの不便やったやろ?飛行機が函館~新潟だと嫌になるわなあ。
圭太:函館から新潟はまだ、飛行機の乗り換えで早かったんですよ。新潟~函館が間に合わなかったですね。1泊してきましたけれど。というより、今年は函館の馬場がグチャグチャで。
勝己:ヒドかったなあ、最後な。
-:「重賞の祝勝会」と銘打った会の日に、圭太さんは京成杯AHを勝たれるとは。おめでとうございます。安藤さんはレースを見られて、どうでしたか?
勝己:今日はすごく流れに上手く乗って、楽な展開やったな。オレは、あの馬の競馬をしっかり見たことなかったんやけど、あんなにスムーズにスッと動いていくんやね。
圭太:そうなんですよね。
勝己:ちょっと気が良過ぎるかもしれんな。
圭太:元々、そういうところがあったんですけど、落ち着いてきたんですよね。
勝己:今日は流れも良い流れになったから、あとはスローになったときにどういう競馬になるかやろな。
-:今まで馬の特性を認識されていなくても、今日見ただけで気が良過ぎるというのはわかるものですか?
勝己:4コーナー手前から動いていく時が、楽にスッと上がっていったからな。結構な流れで行ってて、なるべくずっと我慢して、ゴーサインを出してないけど、スッと動いて行ったからね。
-:やっぱりわかるんですね。
圭太:ねえ、スゴいね。

-:圭太さん自身で、今日のレースを振り返ってもらうといかがでしたか?
圭太:やっぱり折り合いが難しい馬だったんですけれど、外に行く馬がいたので、そこは良かったですね。“ある程度ペースは流れるな”と思っていましたし、あんまり行き過ぎても、最後(脚が)なくなっても嫌なので。でも、52キロがすごく良かったと思うので、ある程度は流れに乗って、リズムを崩さないように行こうと思いましたね。
-:52キロはちょっと恵まれましたよねえ。
圭太:そうですね。“ああ、ラッキー”と思いましたね。
-:レース前に話を聞かせてもらって、「性格面が落ち着いてきた」とおっしゃっていましたよね。生のパドックで、エクセラントカーヴ(牝4、美浦・堀厩舎)を見るのは初めてだったんですけれど、それでも“本当に落ち着いてきたのかな?”という心配がありました。
圭太:そうなんですよ。結構、パドックや返し馬でも、ヤンチャでうるさいんですけれど、ゲートに入ったら大人しくて、ポーンと出ていきます。それでもペースが遅かったりすると結構、(折り合いが)キツいんですけれど、今日は(流れていたから)本当にピタッと納まりましたね。
-:戦前は「新潟・東京の方が良いんじゃないか」とのことでした。それでいても、この馬の機動力や、キレを考えると、中山でも大丈夫なんじゃないか、と期待していました。
圭太:レースがしやすいところがあったから、中山でもやれるのかなと思ってましたね。
-:レース展開であんまり戸惑うことはなかったですよね。
圭太:ああ、今日はなかったですね、流れてもくれたし。まあ、あんまりスローでゴチャゴチャすると、どうかなと思いますが、そこは流れてくれましたからね。

奇しくも、この日の京成杯AHで人気を集めていたのが、安藤勝己が手綱を取り続けてきたダノンシャーク。また、関西ではスプリンターズSの最重要ステップレースであるセントウルSにロードカナロアらも参戦。秋のG1戦線を占う前哨戦を通して、G1・22勝の大騎手が、各馬の解説、名馬に必要な要素を語ってくれた。
勝己:それと、京成杯はダノンシャーク(牡5、栗東・大久龍厩舎)が随分と成長したわ。内田(博幸騎手)がゲートで結構出していったけど、前のあの馬は、何かしたらガーンと行きよったもん。だから、スゴく軽い馬で、スゴく切れるんや。前はそういうところがあったけど、今日は上手く流れに乗ってたし、あんだけ出していって、確実に来るようになった。良いモノを持っていて、正直、開幕週の馬場とかは合うけど、スゴく軽すぎる。追ってシャッと来るだけで、もうひと伸びがないね。
圭太:そういう馬って、逆に出していって良い位置を取るよりも、タメていった方が良いと思うんですけれど、どうなんですかね?
勝己:前はそういう感じやった。やっぱり後ろからじゃ間に合わねえしな。今日は内田が結構出していってるなと思って。それでも上手く折り合いが付いたから、随分とこの馬、落ち着いたなと。だけど、もうワンパンチないな、追ってから(ワンパンチが)足りねえから。
圭太:斤量差もあったから余計ですね。あれが軽かったら、スコーンと来ちゃうんだろうけれど……。
勝己:だけど、GⅠとなると足らねえぞ、アレじゃ。やっぱり追ってから、もうちょっとある馬じゃないと。そういうところはあるよな。
圭太:上手くタメて切れる馬というのは、スッと(手綱を)放して、スッと(脚を)使うけど、そこからの脚がないですね?
勝己:一瞬だけやから。それこそ内で出られんでいる時の方が、かえって良い結果が出るから。“ああ~、出れねえ”と思って、パッと前が開いた時にビューンと。
戸崎圭太騎手マネージャー:勝つと強いように見えるんですよね、そういう馬は。
勝己:反対に外を回って自分から動くと、全然、足らないんだよな。

マネ:だから、この前のハープスターみたいに、なかなかエンジンが掛からないのがいいんですかね。
勝己:岩田のロードカナロア(牡5、栗東・安田厩舎)でも、短距離のくせに追ってから渋太いからね。だから、本来、あの馬は距離は保つんだよ。マイルとか、東京なら2000でも、それなりにもつんじゃない?そんな気がするわ。
-:それぐらい(2000m)まで、距離適性はありますか?
勝己:うん、思うな。お利口だもん。
圭太:見てて1200は逆に短いんじゃないか、という気はするんですよね。
勝己:精神的にも、そういうタイプの馬やないからね。かえって、休み明けの方が動きがモタモタした感じで、使った方が良くなってくる馬だから。
圭太:ああ、そうですね。
-:前に「ロードカナロアはちょっとズブさがある」とおっしゃっていましたね。
勝己:うん。だから、ああいう点は、(ロードカナロアの父である)キンカメがそういうタイプやもん。あの馬はズブいところを持っとるから、休み明けや新馬もそうだった。ユタカ(武豊騎手)で2戦目を勝ったけど、“それ程、大したことねえな”と思うような馬やった。それが何戦目かでコロッと変わって。本当にそういう馬の方が伸びてくるな。あんまり気の良い馬、新馬戦からブッちぎって勝っちゃうような馬は、かえって成長しねえなあ。
-:あの産駒の新馬戦だと、人気してコケるじゃないですけど、1回使って2戦目で勝ったりというパターンが多いですね?
勝己:ああ、そうだね。反対にディープの子なんかは、最初に走らなきゃあんまり大したことねえんだよ。ディープの子やったら、それぐらい気が良いんだよな。ただやっぱり、ディープに似てねえような子が出た方がいいのかもしれん。キズナなんかは、ユタカは「似てる」と言うけど……、乗った感触はもちろんわかんねえんだけど、レース振りを見ると似てねえと思うんだよな。追ってからの方が良いから。すぐに反応しねえもんな、あの馬。
圭太:エバーブロッサムも全然、反応しないんですよね。どこかモタモタしていて、(エンジンが掛かったら)良い感じなんですよね。だから、いつも不安になって、あんまり何かをやり過ぎるとカッーとなるんじゃないかと心配していたんですけれど、全然そういうところはなくて……。
勝己:中にはそういう馬いるもんな。

-:ディープ産駒の中でも、京都の芝1800ような究極な軽さを求められるところに適性がある馬と、追ってからのタイプなど、色々と出てきているというか?
勝己:色々なタイプが出てきたね。キンカメなんかも色々なタイプがいるから。あれは繁殖の方を出しているんだろうな、どっちかと言ったら。キンカメはサンデー(サイレンス)の肌が多いじゃない?血統的に付けられるから。サンデーって、ちょっとイライラとした個性的な馬も多かったし、そういう部分でキンカメもちょっとオットリとしてるから、母親のイイところを出して、短距離からダートまで色々なタイプが出とるからな。
マネ:サンデーの何がすごいって、気性ですよね。引っ掛かっていくぐらいのレースを止めない気性ですよね。
勝己:やっぱり出世する馬って、気性が一番。オグリ(キャップ)もキンカメも、気性がすごい似てる。だから、すごく安心して乗ってられる。余計なところでイライラしないし。
圭太:乗ってて安心させる馬って、やっぱり強いですよね。
勝己:何か心配がある馬って、絶対マイナスやから。ゲートでもどれだけ入っとったってジッとしてるし、開いたらボーンと出る、やっぱりそういう気性の馬でないと、ここ一番で安心して乗ってられないんだよな。みんなそれなりにセンスがあるけど、最終的にスゴい馬になるのは気性が良い馬。気が良過ぎるんやなくて、良い意味でズルさを持ってないと、ドッシリとしたところなんかね。その点、ロードカナロアなんて、そういうところを持ってると思うな。返し馬を見たって“これで何で走るの?”というカチャカチャとした走りで、全然体を使わず、脚を出さねえで走るから。それでも、レースでは出す時はサッと行くし、止めたらスッと止めるし、だから、自分の思うような競馬になるわな。
(対談はPart.2に続く)
■戸崎圭太NEWS-
・9月25日(水)発売の月刊誌「優駿」にバスケットボールの田臥勇太選手との対談が掲載されるそうです!!
・次回の「週刊!戸崎圭太」は10月2日(水)頃に安藤勝己氏との対談Part.2を公開予定です!!

プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。2025年5月よりYoutubeチャンネルを開設。