計23鞍で勝ち星を積み重ねたい。東京・京都開幕週の今週は3日間開催。月曜には盛岡で南部杯も行われることもあり、3日間の中で騎乗場所を転々とするジョッキーもいるが、戸崎騎手は東京に腰を据えて臨むことになる。秋のG1向けて始動する馬もいれば、賞金を加算した馬など見どころの多いラインナップ。活躍を期待したい。

不運重なったスプリンターズS 今週は戦いの場を東京へ!

-:中山開催最終週の先週はスプリンターズS(G1)が行われましたね。今年はレッドファルクス(牡7、美浦・尾関厩舎)と共に挑まれ、10着。現場でもレースを拝見しましたが、戦前は「暗雲」も立ち込めていた感がありましたが…。

圭太:条件的にはそうですね…。段々と悪いほうに向いているな、とは思いました。先にいった馬、内枠が有利な馬場になってしまいましたから。状態そのものは悪くないと感じていましたし、前目につけられたらとは思っていたのですが、普段差す競馬をしているような馬でしたから、なかなかそうもいきませんでした。

戸崎圭太

-:その直前の勝浦特別を逃げ切り勝ちされたわけじゃないですか。あれを観て、前が有利だと感じるファンもいたと思いますし、実際乗って勝たれているわけで、嫌な予感はあったのでは、とレース前は感じましたよ。

圭太:普通なら雨が降れば、内側を避けるものなんですけどね。それだけ中山の馬場状態といいますか、路盤の水はけもいいのでしょうね。水分は含んでいて、緩さは確かにあるのですが、路盤の水はけでカバーされてしまう感じでした。日曜午前などは重馬場でしたが、良馬場のようでしたから。サフラン賞もスローとはいえ、逃げ切りでしたよね。

-:しかも、故障した香港の馬のアオリを多少受けるところもありましたね。

圭太:そうですね。さすがに1200mは忙しい感はありましたが、走っても不思議ではない雰囲気を感じていただけに残念でした。不運続きだったと。

-:話題はかわって今週は3日間開催ですね。今週は扱う頭数が多いこともあり、駆け足になりますが、解説いただければと思います。土曜、サウジアラビアRC(G3)は騎乗予定馬が残念ながら回避とのこと。日曜の2R(2歳未勝利)にはウインレフィナード(牡2、美浦・畠山吉厩舎)が出走。これは初勝利のチャンスが近い存在じゃないでしょうか。

圭太:毎回、いい競馬をしてくれますよね。これだけ使っているので疲れがないか心配ではありますが、現状なら東京の方がいいんじゃないでしょうか。競馬が上手な馬だと思います。

-:7R(3歳上500万下)のフィスキオ(牡4、美浦・栗田徹厩舎)は前走で勝利されて、降級というパターン。ただ、展開も向いたのではないでしょうか。テレビ静岡賞のイーグルフェザー(牡5、美浦・小笠厩舎)も同様に前回騎乗されています。約4ヶ月ぶりのレースです。

圭太:フィスキオについては、それはいえそうですね。中間の状態も分からないですが、今回も流れが向いてくれれば。いい末脚のある馬ですね。東京が合う印象です。

戸崎圭太

-:毎日王冠(G2)にはサトノアーサー(牡4、栗東・池江寿厩舎)が登場。エプソムカップを制して以来のレースではありますが、同じコースだけに力の入るところですね。

圭太:前走のレースからも楽しみにしていました。今回は馬場もよさそうなだけに、どんな競馬になるかは未知数ですが、前回の雰囲気からはまだ伸びしろがありそうですからね。コースは問題ないと思うのでいい競馬をみせてほしいです。

-:月曜では2R(2歳未勝利)にアントリューズ(牡2、美浦・栗田徹厩舎)が出走。血統だけみると、決して前走のような競馬にはならないと思うのですが…。

圭太:素質はある馬だと思います。ただ、前回も言ったかもしれませんが、ノドの課題がある馬で、そこさえよければ…。先週乗せてもらったところ、良さは感じましたよ。

-:新馬のダノンキングリー(牡2、美浦・萩原厩舎)にも追い切りで乗られたそうですね。

圭太:乗せていただきました。緩さはありますが、フットワークがよくて、いい馬ですね。攻め馬では身体のこなしもいいのですが、すごく元気で落とされそうになるほど。レースではいい方に能力を発揮してほしいです。

-:六社ステークスのルックトゥワイス(牡5、栗東・藤原英厩舎)、グリーンチャンネルCのサンライズノヴァ(牡4、栗東・音無厩舎)などはおなじみの存在ですね。

圭太:ルックトゥワイスは力的には勝っておかしくない存在。コーナーで急かされることのない東京のこの距離はいいですね。サンライズノヴァは能力上位ですから。あとは流れが向いてくれれば。

惜しい!中山最終週は4度の2着

-:その他のレース回顧もお願いします。スプリンターズS直前の芝1200m戦、ラフィングマッチ(牡3、栗東・北出厩舎)で逃げ切りでしたね。

圭太:逃げる形がいいかなと思っていました。他にも速そうな馬はいましたが、スタートも速くて上手く自分の形に持ち込めましたね。

戸崎圭太

-:サフラン賞のブルーグローブ(牝2、美浦・矢野英厩舎)は中1週。新馬戦では折り合い面やテンションを懸念されていたようですが、スローペースながらも克服しましたね。

圭太:初戦がいい勝ち方をしていましたし、素質もあると思っていました。折り合いの心配もありましたし、位置をとりにいくことはなかなかできませんでしたが、スローの中でも我慢してくれましたよ。テンションも上がることなく、こらえてくれましたね。

-:テンワールドレイナ(牝3、美浦・矢野英厩舎)は惜しくも2着。勝ち馬が強かったかな、と思いました。

圭太:いい競馬をしてくれました。なかなか上手くいったと思ったのですが…。

-:新馬戦のエクリリストワール(牡2、美浦・田中博厩舎)は2着でしたね。

圭太:追い切りにも乗せていただき、素質は感じていました。芝にいってよさそうなタイプでしたね。返し馬も元気なところをみせたり、追ってから頭が高かったりと課題はあるので、そこがよくなってくれればと思います。

-:タイキメサイア(牡3、美浦・高橋祥厩舎)も最後突っ込んできての2着でした。

圭太:イメージでは東京の13や1400が合いそうな馬と思っていましたが、中山の1200は合いますね。ただ、休み明けの分、序盤で行き脚がつかなかったです。このクラスを勝てる能力はあるはず。今後も楽しみです。

-:フリージングレイン(牡4、美浦・古賀慎厩舎)も惜しい競馬でしたねえ。

圭太:いい馬ですね。スローペースの中、上手く立ち回ってくれました。勝ち馬には上手いことやられてしまいましたが、フットワークもいい印象ですよ。

-:ヒカリトップメモリ(牝5、美浦・池上和厩舎)は何度も話題にしてきた馬でしたが、久々の騎乗でしたね。

圭太:う~ん、いい頃に比べると少し反応が鈍くなった感は正直受けました。昔はもっとセンスのよさがありましたからね。厩舎にも、今後は13や14、1700mなどを試してもいいんじゃないか、とは話をさせてもらいましたよ。

戸崎圭太

-:ミッキーマンドリン(牝3、美浦・萩原厩舎)は3歳未勝利戦最終週をモノにしましたね。

圭太:正直、弾け方は前回のほうがよかったですね。ただ、しっかり差し切るあたり、ここでは力上位だったということでしょう。

-:そして、火曜日は金沢で騎乗。白山大賞典(Jpn3)ドンフォルティス(牡3、栗東・牧浦厩舎)は距離の問題でしょうか?

圭太:いや、どうもレースでの集中力がひと息でした。返し馬ではいい雰囲気を感じたほどだったので、これはチャンスがあるかなと思ったのですが。

-:今週は関西では火曜に競馬が行われる変則開催。東京は3日間連続となるわけですが、改めて3日間開催はすきなものですか?

圭太:楽しいですね。それだけレースに乗れるわけですから。南関東の時のように毎日だと、なかなかメリハリがつかないところもあったのですが、これくらいならどうってことないです(笑)。

-:来週からは再び国内G1。京都への遠征も続くと思いますが、改めてよろしくお願いします。

圭太:ありがとうございます。

(聞き手:競馬ラボ・小野田)

※次回は10月12日(金)に更新予定です!