
'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!

6月23日時点1629勝
スプリングSはダノンセンチュリーに騎乗!
2025/3/14(金)
今週は土日いずれも中山で騎乗。予報では雨も予想されるが、日曜にはダノンセンチュリーとスプリングSへ挑む。皐月賞へ向けた争いも進んでいく最中ではあるが、新馬勝ち直後とまだ未知の存在。クラシックへ名乗りを挙げることができるか。
課題の「2戦目」も素質秘めるダノンセンチュリー
——次週は遠征もされますが、今週は土日いずれも中山での騎乗。スプリングS(G2)ではダノンセンチュリーと初コンビになりますね。実質的にはデビュー前から追い切りに乗られていて気になっていた存在でした。
新馬も乗せていただけることになっていたのですが、当時はなかなか新馬が入らない状態でしたからね。今回も1週前追い切りに乗せていただいたところ、比較はできたので良かったです。

ダノンセンチュリーの1週前追い切りに騎乗する戸崎騎手
——新馬はキング騎手の鞍上で逃げ切りでしたね。
新馬の時からポテンシャルは感じていたんです。一方で操縦性に関してはクセがあり、そのへんがどう出るかなとも感じていました。結果、逃げられたことで、そういう面を見せなかったのでしょうね。今回も右回りやコーナー4つのコースがポイントになります。
——タイプ的にはどんな馬でしょうか。
弾けていい脚は持っていると思います。以前から言うように新馬後の2戦目は馬がガラっと変わってしまうことがあり、気性的にも懸念材料もあります。追い切りでは成長も感じて、馬自体は良くなっていたので、あとは当日もいい走りをしてくれれば。やってみないとわからない面はありますが、期待しています!
——枠や馬場はどうでしょうか。
現状は内枠で壁を作れる形になった方が良さそうですね。馬場も道悪になってもこなせるんじゃないでしょうか。
——土曜はタマモカンパネラが昇級します。
新馬はモマれずにいけてスムーズに走れたのが何より。まだ色々と課題はあるかなと思いますから一つ一つクリアして欲しいです。
——レッドリベルタは距離延長になりますね。
追走が楽になるのはいいと思います。モマれ弱いところは相変わらずあるようですが、スムーズな競馬ができれば。距離が延びてもモマれ弱さをフォローするのは簡単ではないと思いますから、この馬の場合は一連よりいい位置が取れそうなことを期待したいですね。
——オメガウインクはコース替わりになりますが、楽しみですね。
このクラスを卒業できる力はあります。ずっと東京でしたので条件はどうか、ではあるのですが、もともと競馬も上手で乗りやすいんです。中山をクリアしてほしいです。
——エリカカリーナはこの条件で勝った馬ですね。
コースは合うと思いますから、あとは気持ちさえ持続できればいいですね。
——リリカルガンマンは2戦目になります。
新馬はもう少し成長してほしい雰囲気ですが、じりじりと脚を使ってくれていました。間隔が開いた分での成長を期待しています。
——グレイイングリーンは継続して騎乗されます。
少しムラがあるように感じますが、この条件で変わり身があるといいですね。
——ショウナンアビアスはどうでしょうか。
操縦性が難しく気を付けたいです。上手く流れに乗れて、あとは噛み合ってくれれば。
ホーエリートは2着惜敗も成長を実感
——先週は川崎で落馬。馬や陣営には無念の結果ではありましたが、戸崎さん自体は大丈夫でしたか。
大丈夫です!ただ、脇を打撲みたいな感じになってレース後は痛かったですが……。
——その影響で先週、お話を伺った際はテンションも低かったようですね(笑)。先週は中山牝馬Sでホーエリートが2着でした。
返し馬から雰囲気がよく、調子も相変わらず良かったです。今まではスタートしてから二の脚がひと息でポジションを獲れない面があったのが、上手く獲れるようになってきたのは大きいですね。
——直線で寄られなければ、勝っていていいんじゃないかと思いました。
そのへんはどうかなと思いますが、馬も1800mになって多少戸惑いもあったものの、しっかり対応してくれました。本当は次も乗りたかったですけどね。皐月賞の裏なんですよね。
——アオイミモザは最後に捕まってしまいました。距離でしょうか。
ちょっと長そうですね。それに、いい時よりはもう一息、状態面の差があったように感じました。
——ヴァンヤールは久しぶりの勝利です。ベテラン馬ながら巻き返してきました。

今回、「攻めてきた」と返し馬の前に聞いて、その辺りが噛み合ってきたと感じました。体の張りもあって、最後も長くいい脚を使えて、強い内容でした。追い込んだことで馬も良くなってきて、スイッチが入ったような雰囲気でしたよ。
——アドマイヤサジーはどうでしたか。
こちらは非力な分、脚をとられていました。土曜の夜に天気が悪くなって、日曜はけっこう馬場が悪くなっていましたね。流れに乗っていても3~4コーナーでいきなり手応えがなくなるケースがありましたね。
——今年は冬場が例年より雨の中での開催が少なかったとはいえ、この時季の中山開催は馬場の悪化が定番ですね。
やっぱりあの位置は乾かないのでしょうね。
——アグラードはやけに余裕のある勝ちっぷりでしたね。

ゲートを出てくれたのが大きかったです。終始、楽な手応え。ああいうポジションでも脚を使えました。
——モマれ弱さもあるようですね。
自分の印象では、モマれ弱いよりはムキになるようで、その課題も感じていました。そこも問題なかったです。
——ヤマメキングは馬場がこたえましたか。
こちらはいい運びはできたと思いましたが、弾けなかったですね。パワー型ですかから馬場が原因かもしれません。
——ミズイロホルトゥスも馬場ですか。
手応えが一気に悪くなってしまいましたね。気性的にも難さがあり、集中力を欠いていました。
——アンドアイラヴハーは乗り慣れた馬との接戦でした。

以前よりも馬の感じは良くて、軽い走りでした。手応えの割りに追ってから甘いのはまだ残りますが、よく凌いでくれました。
——レッドテリオスはどうでした。
思ったよりも終始、力んでいた。馬はすごく良くなっている分、行きっぷりも今までとは全く違ってしまったのでしょうね。
——エポナは初出走でした。相手は悪かったですが、2着を確保しています。
すごく乗りやすくてレースに行って、もう少し気持ちがあれば。そのあたりは一度使って良くなりそうです。
——そして、先週は目標とする騎手を戸崎さんと挙げる舟山瑠泉騎手が初勝利でした。
勝つことができて良かったですね。でも、まだまだ危なかっしいところもあります。自分で気づいて成長していってほしいですね。
——次週は日曜に愛知杯でカピリナに騎乗。次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。2025年5月よりYoutubeチャンネルを開設。