
'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!

10月6日時点1677勝
JDCをナルカミと制覇!今週末は東京と京都で騎乗!
2025/10/10(金)
今週水曜に行われた3歳ダート3冠最終戦のジャパンダートクラシックを勝利!ナルカミとのコンビで連勝を伸ばし、年長馬との争いにも期待が膨らむ結果となった。今週末の3日間は東西で騎乗することになるが、勝ち星加算となるだろうか。
3冠を阻止する快勝!
——まず、ジャパンダートクラシックをナルカミで勝利、おめでとうございました!非常に強い内容でしたね。
ありがとうございます。まだ揉まれる競馬をしていなかったですし、枠も枠だったので、結果にこだわるなら砂を被るリスクは避けたいと思っていました。それに、この馬にとっては、こういう競馬が合うんじゃないかと感じていました。

——それにしても、ハイペースで押し切ったので強いレースぶりでした。
時計自体は砂の質の違いもあると思うので、一概に額面通りとは言えないかもしれませんが、いい走りでしたね。本来はもっと遅いペースでも折り合えるようになれば、競馬の幅も広がるかもしれませんが、この流れの中で道中はしっかり折り合えていました。本音を言えば、ハイペース任せの競馬は自分としては好きな戦法ではありませんが、今回は馬の状態も上がっていて、落ち着きもありました。
——確かに映像を観る限り、返し馬では精神面の課題を挙げられていたとは思えぬほどリラックスできているのかと思いました。
前走よりも良かったですからね。素軽さなんかも出ていましたね。

——それだけにあとは前半の入りが重要でしたか。
そうですね。出遅れることなく、揉まれずに行ければというところ。無理せずスピードの違いで行けて、申し分ない走りだったと思います。万が一遅れてもリカバリーが利きやすい点では外枠がいいと思っていましたが、問題なかったですね。
——2冠馬、海外遠征帰りなどダートにも3冠ができたことでメンバーレベルも上がっていた中での勝利。今後にも期待が膨らみますね。
力をつけていますし、あとは精神面も良くなっていければ。まだ経験していないシチュエーションもありますから、そこで対応できるといいですね。
3日間開催は日曜と月曜で重賞に騎乗!
——今節は土日が東京、月曜が京都での騎乗ですね。土曜からビップムーランはいかがですか。
中山ではいいスピードを見せてくれました。ワンペースなところがあって、もう少しメリハリがついてくるといいですね。
——ノンスタンダルドは関東へ移籍してきましたね。
乗り味は良い馬ですね。以前は線が細いところがありましたし、精神面の成長があればいいですが、このクラスでもやれていいと思います。
——レッドリベルタは2走ぶりのコンビです。
この条件は合うと思います。ムラがあるのは否めませんし、できれば外枠が理想ですね。
——サンタアニタは中山で連対しましたね。
1200mでは忙しい面もありましたし、1400mになるのは良さそうですね。このクラスも突破できると思います。

——アイルランドトロフィー(G2)ではアンゴラブラックに騎乗されます。
レースが上手な馬で連勝を飾ってくれました。今度は重賞に入る分、力関係が鍵になりますが、競馬のうまさを活かしてほしいですね。
——この3日競馬全体にも言えますが、テン乗りが多い中で月曜はスワンS(G2)でワールズエンドに騎乗されます。
前走では行く馬がいれば前に置いていいと思っていました。結果、ハナを切りましたが、いいスピードで強い内容でしたね。重賞になることで試金石の面はありますが、京都にも実績があるようですから期待したいです。
——一戦しか乗られていないですが、どんな馬でしたか。
元気が良くて、走ることに一生懸命な印象でした。それだけに距離も1400mはベストと感じましたね。良馬場が向くタイプだと思います。
東京開幕週は2勝
——先週のレースについても振り返っていただくと、アージェントはどうでしたか。
左に行く癖が強い馬なんです。1枠は正直、厳しいなと思っていました。外に馬がいたことで、余計にラチにもたれてしまって、レースにならなかったですね。
——前走はハイペースで馬群がバラけたことも良かったんでしょうか。
そうですね。能力そのものは通用していいのですが。
——毎日王冠(G2)のチェルヴィニアは実戦で初騎乗でした。

返し馬ではすごく乗り味が良くて、G1馬らしさを感じたほどでした。折り合いもついて、「普通に弾けて伸びてくるだろうな」と思ったくらいです。ただ、今回は条件云々ではなく、ギアが変わってこなかったですね。
——テリフィックプランはどうでしたか。
そんな素振りを見せていたわけではないものの、こちらも内枠で嫌気を差したとまでは言いませんが、勝負どころからひと息でした。
——パワースナッチはゲート入りに時間を要していましたね。
ゲートの入りから気分が乗らず、走る気を害してしまったようです。行きっぷりも本当のものではなかったと思いますよ。
——ジャサルディアは昇級初戦で連勝を決めました。

乗り味が良かったですし、あとは折り合いだけだなと感じていました。1800mでもゆったり走ってくれましたね。フットワークだけならもっと距離が延びても良さそうですが、気性面との兼ね合いでしょうか。
——新馬のアッパーウォーターはどうでしたか。勝ち馬は強い内容に感じましたが、3着に入りました。
レース自体は上手に走ってくれました。ワンペースなところがあって、線も細いので、これから力をつけていってくれればいいですね。
——ラフターラインズの勝ちっぷりは良かったのではないでしょうか。

まだ緩さもある中でこれだけの内容ですから、今後が楽しみですね。精神的にも繊細なところがあって、ゲート内ではまだおどおどしていました。良くなる余地は十分あると思います。
——惜しくも敗れてしまいましたが、ヘリテージブルームの走りは目立ちましたね。
スタートの行きっぷりから全く違いましたね。これはデキなのか、発走地点がダートだったからなのかはわかりませんが、うまく流れに乗れましたし、後続をあれだけ千切っているので、順番は近いと思います。
——エポナはどうでしたか。
ペースも遅く、乗ったことのある馬が途中で動いて押し切っていたので、もっと動かしていっても良かったですね。ただ、ワンペースな面はありますし、初出走で乗せていただいた時と比べても、大きな変化は感じませんでした。もう少し成長してくると、より良くなりそうです。

——ピコテンダーは距離延長で望みました。
いい雰囲気で運べました。メリハリがつくと、より理想的ですが、1400mの方が乗りやすいですよ。
——改めてジャパンダートクラシックを勝利されましたが、前身のジャパンダートダービーでは2勝、このレース自体は3勝目となりました。久しぶりの勝利でしたが、そこに対してはどうでしょうか。
(2020年から)5年ぶりと聞いて、「そんなに勝っていなかったんだ」と思いました。やっぱり大井で勝てることは嬉しいですよ。ただ、レース後のインタビューでも言ったように、場所こそ変わらないものの、レース後の導線が変わっていて不慣れでしたね。
——そして、ナルカミを担当していたのはおなじみの田端誠調教助手でしたね。

大井では新聞記者をされていて、そこからの関係でもありますからね。田端さんも大井ではG1を勝っていないですよね?(担当していた)レモンポップは大井で勝っていなかったですから。そういう意味でも、お互い勝てたのは何よりです。本当に特別な勝利でしたね。
——レモンポップと言えば、馬主はダーレーさんでの勝利ということで関係者とのやり取りも気になるところですが(笑)。
ハリー(・スウィーニィ)さんとは話しましたよ。レースのことやら色々ですけどね。
——そのあたりも今後、明かされるかと思いますが、先々へつながる一勝でしたね。また、フリオーソ産駒クロジシジョーの回顧については改めてお願いします。今週もありがとうございました!
ありがとうございました!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。2025年5月よりYoutubeチャンネルを開設。