'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!

11月3日時点1682勝
アルゼンチン共和国杯は初タイトルが懸かるホーエリートに騎乗!
2025/11/7(金)
今週から秋の東京も後半戦へ差し掛かる。夏から秋の中山までは順調に勝ち星を積み重ねてきた一方、4回東京はとにかく2着が多かったことは事実。開催替わりで心機一転となるだろうか。
ホーエリートは今のデキでどれだけやれるか
——今週もよろしくお願いします。今週末は比較的、騎乗経験のある馬に乗られる印象ですが、まずは土曜のビップムーランやグリーンエナジーはどうでしょうか?
戸崎:よろしくお願いします。ビップムーランは前走が東京でも走れたのは良かったですね。相手が強かったですが、同じ条件ですし、同様に走れればと思います。
グリーンエナジーの新馬に関しては、体の緩さも感じながらの出走。間を空けて、成長をしていればと思います。当時の印象ではいいモノはありますが、成長や完成にはちょっと時間が掛かるかなとも感じましたが、どれだけ変わっているか楽しみです。
——プラネタリーアワーは最終追い切りに騎乗されましたね。
戸崎:すごく走る気持ちもある一方、繊細なところもありました。追い切り自体はいい動きはしていたよ。
——トニケンサンバは継続騎乗、エストゥペンダは2走ぶりのコンビですね。
戸崎:トニケンサンバの前走は道中で力んで、リズムを崩してしまいました。距離も短くなる分がいい方に出ればと思います。1200mだと忙しすぎるのですが、この条件なら期待したいです。
エストゥペンダの2走前は強い内容でしたが、休み明けで少しスイッチが切れていたと言いますか、入り切っていなかった感があり、それがいい方に出たと思います。今回、追い切りでは気持ちが入っていたのが心配ですね。脚力、能力はあるのですが。
——モンドデラモーレは上半期にも見せ場を作りましたが。
戸崎:ダートに関しては、やってみないとわからないという感触です。それよりも、追い切りでは組み立てが難しい印象を受けました。レースに行って、上手に走ってくれればいいのですが…。
——京王杯2歳S(G2)ではフクチャンショウと挑まれます。
戸崎:前走はいい内容で勝ってくれました。距離もこの条件も大丈夫だと思っています。あとはこの時季の2歳重賞でもあり、相手関係が未知数な面はありますが、健闘して欲しいです。
——アセンブリールームは勝った際の脚、前走もいい伸びでしたね。
戸崎:正直なところ、現状はそういう競馬になるのかと思います。能力自体はあるので、その戦法がハマる条件になってほしいですね。
——日曜のフィンガーは新馬に続いての騎乗、ラディアントスターは新馬で騎乗されて以来ですね。
戸崎:フィンガーの当初は追い切りも動けない感だったようで、レースにいってどうかというムードで臨んだようですが、背中の動きなども返し馬で良さを感じて、レースでもしっかり走れましたね。大型で器用さに欠けるでしょうし、いい展開になれればと思いますが、力はありますね。
ラディアントスターの追い切りに騎乗しました。走る気持ちが出て、しっかりしてきています。あとは重心が低いので起きて走ってくれるとよりいいですね。
——ソナタンは引き続き騎乗されます。
戸崎:前走は短期間ながら随分成長したなと感じました。ただ、相手が悪かったですね。それでもひと叩きした効果を含め期待したいです。
——コンテネレッツアは2走ぶりの騎乗ですね。
戸崎:気性が難しい印象ですが、ここ最近は安定して走れています。リズムを大事に、バランスよく組み立てていければと思います。
——アルゼンチン共和国杯(G2)はホーエリートに騎乗されますね。
戸崎:2走前ですが、東京で走れたことは成長だと思います。同じ条件ですから、同じように走れればと思うのですが…。ここ最近はすごく状態の良さを感じていました。それと比較すると、どう表現すればいいか難しいですが、絶好調と言えるくらいの迫力には劣るのかなとも感じました。そのあたりはレースに行ってどう出るかですね。
——目黒記念は個人的には注目していたのですが、ペースも遅く、戸崎さんのアシストも良かったのかなと思います。
戸崎:それはあると思いますけど、それができない馬はできないですから。折り合いは大丈夫ですし、ある程度、動きやすいタイプ。ただ、東京では瞬発力が足りない分があるので、そこを補えるような展開になってほしいですね。
勿体ない競馬になってしまった天皇賞・秋
——先週の振り返りもよろしくお願いします。アリエスキングはここ最近の内容が物足りないように感じますが…。
戸崎:以前の素軽い走りがなくなってきているかなと感じました。それに気持ちが入り過ぎているといいますか、前の方が良さを感じましたね。
——天皇賞・秋(G1)ではブレイディヴェーグに騎乗されました。
戸崎:安田記念より状態がいいことはお伝えしました。理想としては、いいスタートを切って、無理せず、いいポジションで折り合いをつけて…というイメージでした。ただ、出遅れてしまいましたね。ゲートの中がうるさくなっていた分、スタートを決められなかったです。後ろからになったこともあり、道中のリズムは良かったですね。
——あとは直線の進路選択でしょうか。
戸崎:伸びるだろうと思っていたので、外を回せば無難に伸びてきていますが、あれだけのドスローですからね。勝つには内を捌いた方がいい、と判断しました。ただ、捌けなかったですし、選択ミスではあったと思います。勿体ない競馬になりました…。
戸崎:ドラゴンウェルズはいいスタートを切ってくれて、良さは出ましたが、1200mの方がいいですね。
フォルテアンジェロは失敗してしまいましたね。乗ったことのある馬もいて、後ろばかり気にして、後ろの馬を意識し過ぎて、前をとらえられなかったです。
——オメガディコンは調教の感触よりは走ったのではないでしょうか。
戸崎:1週前追い切りよりしっかりしてきた、とは聞いていて、そのとおりに変わってきましたね。ただ、イレ込みを気にしていたくらいで、もう少し落ち着きがあって良さそうでしたよ。
——ヘリテージブルームは前走もいい走りでしたが、それ以上でしたか?
戸崎:すごく良くなっていましたね。これなら前走でも勝ててたのかなと思いました。
——マリアイリダータは好タイムで走っていますが、いかがだったでしょうか。
戸崎:けっこう返し馬では行きっぷりもいいくらい。それがペースが速かったとはいえ、1800mでも促しながらついていくくらいでした。2400mでもいいくらいじゃないかなと感じましたね。
——バトルクライは勝ち馬が強かったとはいえ、もう少し頑張れるかと思いましたが…。
戸崎:休み明けでボーっとしているところがありました。そういうところもある馬ですが、反応がなかったですね。叩いて。
——カニキュルはどうでしたか。
戸崎:相変わらず引っかかるのですが、距離を縮めればいいというタイプではないだけに難しいですね。最後に来られているのですが。
——ダカラフェスティヴは再コンビでした。前有利の馬場でしたがどうでしたか。
戸崎:勝負どころ、コーナーを左手前で刺さることがあったのですが、以前よりその傾向が出ていました。勝負どころでついていけないですし、追走しづらかったですね。
——モルニケで勝利されました。
戸崎:馬も良くなっていましたね。いい切れ味で、強い内容でしたね。
——先日のJBCスプリントではクロジシジョーに騎乗、距離が長い可能性は懸念されていましたが…。
戸崎:懸念していた通り、距離は短かったですね。体調は良く感じて、しっかり伸びてきているのですが。
——当時は風も強くて追い込みづらかったですね。
戸崎:ちょうどいい馬場コンディションでしたが、風もきつかったですね。この馬の良さを出せればとは毎回思っているのですが、なかなか条件がもう一つ噛み合うところが難しいですね。どこかで重賞を勝ってほしいとは常々思っているのですが。
——そして、先日は日本のフォーエバーヤングがBCクラシックを勝利という快挙を達成しましたね。
戸崎:矢作先生にはお父さん(大井の矢作和人元調教師)にもお世話になりましたし、(坂井)瑠星は昔から知っているのでより嬉しいですね。
——また、先日の船橋では地方競馬教養センター時代の同期である森泰斗調教師の開業初出走に騎乗されて勝利されましたね。
戸崎:騎乗依頼をもらえて良かったですし、自分も乗りに行くタイミングだったのでいい時に乗せてもらえましたね。責任の重いレースでしたが、勝てて良かったです。
——次週はエリザベス女王杯(G1)でレガレイラに騎乗。次週もよろしくお願いします!
戸崎:よろしくお願いします。
プロフィール

戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。2025年5月よりYoutubeチャンネルを開設。





