2017年新春SPインタビュー第2弾後編(1P)はコチラ⇒

第4章

-:産駒の違いを教えていただきましたが、キングカメハメハ産駒と似た点はありますか?

三:ある意味、見た目にハッキリした特徴がないところかもしれません。脚の白い部分がなかったり、流星がなかったり、という意味では似ていますよね。わかりやすい特徴がないんですよ。

-:普通の鹿毛の馬ですね。

三:そうですね。カメハメハの子も多いですね。見た目の派手さがないという意味では似ていますね。ただ、個体としては、代々ちゃんとシッカリ似ている面はありますね。

-:来年デビュー組での現時点での評判の高そうな馬はいますか?

三:ネームバリューを考えると、トゥザヴィクトリーでしょうか。それに、ヴィートマルシェの産駒は去年の(キャロット)クラブ(募集)などですごい人気でしたよ。ワイルドラズベリー(2015年セレクトセールの当歳馬取引において6600万円で落札)のような、字面や姿を見るだけで、短距離のトップクラスになれそうな馬もいますね。

-:来年のトゥザヴィクトリーは今から評判だとウワサで耳にしました。

三:期待度は大きいですね。


「期待するのはやっぱりスプリンターズSをレコードで勝つような馬が出てくればと思いますね。カナロアでダービーを目指すよりは、スプリンターズSのレコードホルダーを出したいというか、出て欲しい、という思いがあります」


-:まだ産駒は走っていませんが、芝、ダート並びに距離適性はどのような感じでしょうか?

三:芝、ダートはマルチに走ってくると思いますね。ただ、距離に関しては、私は種牡馬って個性が強調されるべきだと思うので、結果的には中距離で走る馬も絶対に出てくると思いますが、期待するのはやっぱりスプリンターズSをレコードで勝つような馬が出てくればと思いますね。カナロアでダービーを目指すよりは、スプリンターズSのレコードホルダーを出したいというか、出て欲しい、という思いがあります。ただ、結果的には気性も良いですし、距離が延びても走る馬が絶対に出ると思うのですが、望むべきはというか、個人的にはそういうスプリンターですね。

-:サクラバクシンオー的な。

三:ええ。強い個性を持って活躍してほしいです。近年の香港スプリントを勝った馬はセン馬ばっかりですから。そういう馬が血を残すことが珍しいことなので、適性の広さを期待するより、突き詰めていって欲しいという思いは個人的にはありますすね。

-:短距離のスペシャリストですね。

三:ええ、それが一番ですね。これだけ多様な種牡馬がいて、そういう個性が強調されて欲しいと思います。

ロードカナロア

-:キングカメハメハの代表的な後継馬として、大きな期待が集まっていますが、種牡馬としての才能はどのように感じられていますか?

三:どう考えても高いと思いますね。まあ、サンデーサイレンス系と交配できるだけでも、まず恵まれていて、チャンスが多いです。さらに子供が期待通りに生まれてきているという時点で、一般論から見ても、成績が出ないことはないはずだと思いますし、有力後継になってくると思いますよ。もちろんルーラーシップドゥラメンテなどもいますし、強烈なライバルにもなってくると思いますが、キングカメハメハ系は明らかに父系が将来的に強く発展しますからね。その意味でも色々なジャンルの後継種牡馬を出しているキングカメハメハなので、その役割としては、将来的にキングカメハメハ系のスプリントなど、短い距離部門を担う役割を担ってほしいです。

-:キングカメハメハ系でサンデーが入っていないのがルーラーシップとこの馬で、ドゥラメンテは入っていますものね。

三:はい。そういう意味でもルーラーシップと担当を分けてですね。

-:サンデー系のお母さんが集まりそうですものね。

三:そうなんです。そういう事情もあって、ずっと交配頭数が多いので。

-:香港スプリント連覇を果たしており、海外からの注目も高いと思うのですが、海外の生産者の方からの注目度はどのような感じですか?

三:生産では、海外の馬主さんが所有している牝馬に何頭か付けましたね。既にセリでも海外のバイヤーが買っていったりしていますから、そういう意味ではイメージは良いのでしょうね。特に香港の馬主さんが来た時に、ディープを見た時よりもリアクションが大きいですからね。


「種付け料が500万円で、スプリント種牡馬としては高かったですね。サクラバクシンオーでさえMAX400万円だったので、そう考えるとすごく高い設定での種牡馬入りだったのですが、それで(初年度は)250頭付けましたから、そういう意味では評判は良かったのだと考えるしかないというか、感謝ですね」


-:ウワサではオーストラリアの競馬界もカナロアに注目しているとも聞きました。

三:世界的にも注目度は高い馬だと思います。体を見ていても、どこの国でも短い距離を走れそうな気がしますからね。

-:産駒を見て、比較的シッカリしたイメージがあるのですが、成長をしていく中で、他の種牡馬と違う点はありますか?

三:スプリンターというのもありますし、やっぱり他の馬より筋肉量が豊富で幅があるのではないですか。そういう意味では違う点ですかね。一般的なサンデー系のしなやかな、素軽いというのとはまた違って、すごくキビキビして機敏なのですが、筋肉の幅もあってというタイプなので、そういうところはやっぱりサンデー系とは違う成長ですかね。

-:種牡馬入り前の馬産地の評判はいかがでしたか?

三:もう良かったです。種付け料が500万円で、スプリント種牡馬としては高かったですね。サクラバクシンオーでさえMAX400万円だったので、そう考えるとすごく高い設定での種牡馬入りだったのですが、それで(初年度は)250頭付けましたから、そういう意味では評判は良かったのだと考えるしかないというか、感謝ですね。

-:今年もかなりの数につけられていますか?

三:263ですね。

ロードカナロア

-:ということは、良い子が生まれているということですね。ちなみに、一方で「ロードカナロアは中距離もこなせた」という陣営からの言葉を、現役時代に耳にしましたが、産駒は中距離まで持ちそうですか?

三:持つ馬は持つと思いますね。ただ、短距離で行って欲しいというか、狙ってはどうですかねぇ……。それならルーラーシップで目指すというのもあるので。得意になるということはないと思いますが、中には絶対出てくるとは思いますよ。

-:繁殖側で長距離馬につけるケースなどは少ないですか?

三:もちろん中和しようという配合がありますが、基本的には地で行く感じですね。例えば、これからダイワメジャーの繁殖牝馬などが増えてきたら、ドンドン行って欲しいですね。メジャーエンブレムみたいな馬と交配して、生まれたての時点で一際目立つような筋肉隆々の、みたいな馬が出て欲しいですけどね (笑)。

-:最後に改めてロードカナロアのアピールポイントを教えて下さい。

三:とにかく短距離が得意なことはすごく大事なことだと思います。要は、ディープインパクトと違う路線を歩めたりするので、そういう意味ではアピールポイント、メリットではありますよね。吉田沙保里さんと戦わずに違う階級でオリンピックに出たりできるというか、代表になれるという感じですかね、ハハハ(笑)。でも、たまに同じジャンルで勝てたりするのでしょうし、とにかくスプリント力がアピールポイントですね。

-:スプリンターの種牡馬はそんなにいないですものね。

三:はい。とにかくこの馬で、日本のスプリント界を盛り上げて欲しいということですね。

-:ありがとうございます。

2017年新春SPインタビュー第2弾前編(1P)はコチラ⇒