森泰斗騎手独占インタビュー(1P)はコチラ⇒

第2章


-:達成しているのに達成感がない。“NOT FOUND”状態ですか。

森:もちろん年間300勝は目標だったので嬉しいのですが、それより毎日、毎日の悩み・試行錯誤の方が大きいですね。乗り方などもちょっと変えてもみたりしながら、それで上手くいく時もあるのですが、それがダメな方に行ってしまう時もあるので、ホント難しい。

-:言える範囲でどんなことを変えられたりしていますか?

森:ちょっと鐙を延ばしてみたり、延ばして抱えるようにして乗ってみたりなどはしていますね。あとは手綱も短めに持ってみたりしているのですが、良くないのかなと。所詮そんなの付け焼刃じゃないですか。自分のスタイルを貫き通す方が良いのかと思いますし、正解が分からないですよね。誰も教えてくれないし、まだまだ試行錯誤している段階です。

-:初歩的な質問で申し訳ないのですが、鐙の長さって馬によってある程度変えることはありますよね。

森:もちろん。あとは乗った感覚ですね。“今日は何か右の方が短く感じるな”と思ったり、その日によって違ったりするので、そこで延ばしたり、それは状況においてですね。あと、僕はけっこう鐙を深く踏んでしまうので、それもちょっと浅くしてみたり。

森泰斗

-:南関の人でも、近年は浅い人が多くなってきていて、逆に珍しいとも言えますよね。

森:そうですね。例えば石崎(隆之)さんは深くまで踏んでいますね。そうした方が力は入るのですが、バランスを取るということで言うと、浅く踏んだ方が乗りやすいと思うんですよ。ただ、深いほうが最後の一押しに繋がるんじゃないかと思って踏んでいるのですが、人それぞれですよね。

-:ムーア騎手もすごく深いイメージがありますね。浅いことによるデメリットはどんなことが挙げられますか?

森:う~ん、あまり僕はJRAでのレース経験がないので、JRAで求められる芝のレースのことは分からないですが、南関のダートで言うと、けっこう腰を入れて、グッ、グッと押すことが必要ですよね。浅くてもきちんと鐙を踏めていれば良いですが、やっぱりズルッといってしまったりなどもあるし。

-:雨の日なんかは滑って落ちるという話も聞いたことがあります。

森:それもありますよ。簡単にツルッと落ちてしまうことは。あとは自分が乗りやすいというのが一番だと思いますね。この前(12月17日)のように中央に行ったら少し鐙を短くしてみたりしていますけどね。深く履いた方が安定感も感じますから。

森泰斗なりの勝てる馬と巡り会うための準備

-:先程は300勝の話題から伺いましたが、重賞での結果についてはいかがでしたか?

森:2016年は8つ勝たせてもらいましたが、これは巡り合わせもありますね。前ほど1人に乗り馬が集中しているような状況でもないですし、8勝という数字に関しては上手くいったなと。でも、これは運もあります。去年は2勝しか出来なくて「重賞で勝てないな……」みたいなことを言われたのですが、年間で重賞を2勝することもそう容易いことじゃないと思いますよ。南関だと特に。だから、僕はあまり気にしていなかったのですが、2016年は勝つ馬に乗せてもらったという、それに尽きると思います。

-:たしかに4年前までや10年前のように圧倒的に馬が集まっている印象はありませんね(笑)。そして、東京ダービーを目標にしていたとのことですが。

森:300勝と東京ダービーを目標にしていました。やっぱりそういう馬が出てきた時に指名してもらえるように。その為にも、もちろん結果も出していかなきゃいけないし、普段からちゃんと乗っていかなきゃいけないと思います。

-:世代を問わず、現段階でファンに紹介できるような期待している馬も教えていただけますか?

森:セイスコーピオン(牡7、川崎・八木正厩舎)は重賞も2つも勝っていますから注目ですよね。3歳ではグラッブユアハートの子で、グラッブユアダイヤ(牝3、船橋・川島一厩舎)という馬がいたのですが、2戦2勝ながら骨折してしまいました。あとは北海道からヒガシウィルウィンが船橋に入ってきて、それも騎乗依頼を受けているので、なんとか上手く育てていければと思います。

森泰斗

▲JRA在籍時代のラップタイムから素質を見込んでいたセイスコーピオン

-:セイスコーピオンですが、そして、ジャパンCのイベントの際、雑談で伺いましたが、セイスコーピオンがJRAから移籍する際にラップを見極めていたとのこと。どういったところを見るのか、改めて教えていただけますか?

森:最初のテンの3ハロンのラップ、終い3ハロンのラップが新聞に載っているじゃないですか。セイスコーピオンを目安にすると38の36秒。中央の競馬は分からないので、僕の個人的な考えですが、こういうラップの馬は絶対に時計も詰まって来るし、成績を見た時にこっちで絶対に通用するなと感じていました。同じクラスで同じ着順でも、こっちに持ってきて重賞を勝てない馬もいるんですよ。多分、引っ掛かるので、中央では終いに徹した競馬をしていたのでしょうし、乗ってみても確かに引っ掛かるんですよ。だから、こっちでは馬場的にも時計は掛かるし、上手く出して行ってみようと思って。

-:そこら辺の折り合いがカバー出来たのは、どういった要素ですか?

森:1600mを使ったということでしょうね。1800mの勝島王冠はちょっと引っ掛かりましたが。

-:その他のレースでは、中央から来る馬のどういったポイントを見られるのですか?

森:ラップも見ますし、あとはレース内容を見て、(砂を)被って大丈夫なのかチェックはしますね。他には、騎手の手応えを見て、乗りやすさも把握しますし、追ってからビュッと動くタイプなのか、ジワジワと動くタイプなのか、そこも見ますね。ジョッキーの中ではけっこうチェックしている方だと思うんですよ。南関東の映像もけっこう観ますよ。時間がないので合間、合間で全部は観られないけど、気になる馬をね。いまはパソコンやスマホ、何でも観られるし、朝に確認したりしていますね。

-:ちなみに、イベントの際にもおっしゃられていましたが、以前よりもダートなのに馬場の変化、伸びる場所があるように感じます。そこはいかがですか?

森:明らかにありますね。

-:大井だと特にある感じが。

森:僕が馬場管理員じゃないのでわかりませんが、その時の天気、水分量などによって変わっていると思います。その傾向は間違いなくありますね。だけど、外が伸びているから外に行きたいと思っても、競馬だから行けない場合もありますし、内に入りたいと思っても、外枠でずっと外を回らされたりしますから。ジョッキーはその辺りのことは頭に入れて乗っていると思うので。真相は知りませんが、昔、大井はインベタだったんですよね。急にここ最近……。

-:ここ何年間かというところですね。

森:ここ2~3年。なぜでしょうね。

森泰斗騎手独占インタビュー(3P)
「第3章:国際化の時代 外国人騎手に負けないために⇒