この週より新馬戦が無いので、例年通り3歳戦の注目馬をお伝えしていくが、他で採り上げられることが少ない500万クラスや未勝利戦の馬を中心に紹介していく。POGファンだけでなく、馬券派の方々にも是非参考にしていただきたい。

3月23日(土)

【阪神】

◆君子蘭賞(牝、芝1800m)

リャスナ(牝、ディープインパクト×ココシュニック、栗東・高野厩舎)
デビューは新馬戦ではなく、既走馬相手の未勝利戦。そんな不利を覆し、メンバー最速上りで差し切った。しかも決して相手が弱かったわけではなく、この時の2着ナリス、4着のダノンテイオーは次走で快勝。3着ブルーエクセレンスは池江厩舎期待のディープインパクト産駒で、その後走っていないが、新馬戦で良血ヒシゲッコウ(ステルヴィオの半弟)の2着に来ている。全兄にG1で2着2回のステファノスがおり、この馬もここを勝ったらオークスを目標にしたローテーションが組まれることになるだろう。

◆500万下(芝1400m)

ブルスクーロ(牡、キンシャサノキセキ×ダークサファイア、栗東・池添学厩舎)
前走のフローラルウォーク賞はマイペースに持ち込み逃げ切り目前だったが、ピースワンパラディが33秒0の鬼脚を繰り出し、一気の差し切り。相手が悪かったとしか言いようがない。連闘でファルコンSの選択もあったが、回避して堅実に500万平場戦へ。鞍上に川田騎手を予定しており、2勝目に王手だ。

◆未勝利(芝1400m)

アルティマリガーレ(牝、ハービンジャー×アルティマトゥーレ、栗東・佐々木晶厩舎)
母はセントウルSなど重賞2勝、半姉アルティマブラッドは6勝。昨秋デビュー予定も、捻挫で休養。そのため、ここまでデビューが延びてしまった。1週前調教は坂路54秒9-12秒5(強め)。昨秋の調教でもCWで上り1F12秒台前半の時計を出しており、脚力はある。

【中山】

◆ミモザ賞(芝2000m)

エアジーン(牝、ハービンジャー×ラスティングソング、美浦・堀厩舎)
9月末の中山の新馬戦を好タイム、しかも加速ラップを刻んでの勝利。前走は5か月ぶりのレースも、初戦の内容から休養明けのハンデを覆すと思っていたが、残念ながら見せ場なく4着だった。叩き2戦目で真価を発揮してもらいたい。

メッシーナ(牝、ディープインパクト×シユーマ、美浦・萩原厩舎)
新馬は好位から伸びきれず3着も、上位2頭は素質馬で、結果は悪くない。2戦目の未勝利戦は初戦より大幅な相手弱化。中団から難無く抜け出し、堅実に勝利を収めている。全兄のヘリファルテ、ブレステイキングは体質が弱いため、この馬もじっくり成長を待ち、初勝利から3か月半休養。ここが復帰戦となる。現状は切れる脚が無いので、中山2000mは合いそうだ。鞍上はデムーロ騎手。

◆未勝利(芝1600m)

ダンスロマネスク(牝、シンボリクリスエス×ダンスファンタジア、美浦・戸田厩舎)
母はフェアリーS勝ち馬。祖母ダンスインザムードは桜花賞、ヴィクトリマイル勝ち馬。先週予定も、まだゲート練習を積む必要があるということから1週延ばした。「この時期のデビューになったが、入厩後はじっくり乗り込んだ。稽古も動いており、血統馬らしく雰囲気がある」と戸田師。1週前調教はウッド5F69秒台、1F12秒台半ばの時計を抑えたままマークし、動きは良化している。既走馬相手でも好勝負を期待して良さそうだ。鞍上は武藤騎手。

パロネラ(牝、ロードカナロア×モシーン、美浦・木村厩舎)
半姉はプリモシーン(重賞2勝)。「稽古は相変わらず動く。気性的に前向きなので、そのあたりのコントロールが利くように調整していきたい」と太田助手。初戦は2着も、勝ち馬ザダルは500万も連勝、3着ニシノカツナリ、4着フォルコメンも次走を勝っていることから、この馬も勝利は近い。なお芝1800m戦にまわる可能性もある。

スイートセント(牝、ワークフォース×ヒカルアマランサス、美浦・栗田徹厩舎)
母は重賞1勝、G1で2着1回。半姉ギモーヴ(4勝)。「フットワークの柔らかい馬で、やはり芝の走りは良かったし、悪くない内容。2戦目のここは何とかしたい」と栗田徹師。その前走は、勝ち馬が桜花賞候補アクアミラビリスでは運が悪かった。1週前調教も動いており、久々でも好勝負を期待できる。鞍上はデムーロ騎手。

◆未勝利(芝1800m)

セイウンシェリー(牝、キングカメハメハ×ニシノアカツキ、美浦・武藤厩舎)
母はオークス4着など、重賞戦線で活躍。初戦は7着も、スタートしてすぐに好位を取るセンスを見せた。一叩きと中山コース変わりでチャンスが出てきた。

【中京】

◆未勝利(牝、芝2000m)

テメノス(牝、ハーツクライ×セレスティアルキャット、栗東・松下厩舎)
新馬戦は小回りの小倉で、中団以降から最速上りで追い込み3着。中京の前走も同じような形で伸びてきて2着。デビューから2戦連続上り最速を出しており、末脚は確かだ。前回は中京開幕週、今度は開催3週目で、差し脚質のこの馬には有利になる。

◆未勝利(芝1600m)

ハッピークラッカー(牝、マンハッタンカフェ×ランフォーイット、栗東・高橋義厩舎)
祖母は北米のG1勝ち馬。母からは目立った活躍馬は出ていないが、名門下河辺牧場が輸入した繁殖牝馬で、日本に来て最初につけたのがディープインパクトということからも期待は大きいはずだ。ここがデビュー戦となるが、1週前調教はCW6F82秒、5F67秒、1F11秒後半と速い時計が出ており、初戦から動ける態勢だ。

3月24日(日)

【中京】

◆大寒桜賞(芝2200m)

サトノソロモン(牡、ディープインパクト×イルーシヴウェーヴ、栗東・池江厩舎)
セレクトセールで3億240万(税込)と、2016年当歳セールで最も高額だった馬。1月13日の京都2000m戦でデビュー。好位から抜け出すと、トーセンスカイ、レッドジェニアルの追撃を半馬身抑えて勝利。この2頭が既に勝ち上がっていることからも内容の濃い一戦だった。当然クラシックを狙っており、7年前に勝った同厩のトーセンホマレボシ(この後、京都新聞杯1着、ダービー3着)に続きたい。

ルヴォルグ(牡、ディープインパクト×キトゥンカブードル、美浦・藤沢和厩舎)
10月末の東京の新馬戦を4馬身差の楽勝。東京スポーツ杯2歳Sでは1番人気に推されたが、スタート後から行き脚がつかず見せ場のないまま終わっている。その後は一度北海道に戻って再調整し、ここが復帰戦。調教で圧倒していたランフォザローゼスが京成杯で2着していることから、この馬も500万にとどまる器ではない。

クールウォーター(牝、ディープインパクト×クロウキャニオン、美浦・堀厩舎)
カミノタサハラ(弥生賞勝ち馬)をはじめ、ボレアス(レパードS勝ち馬)、マウントシャスタ(毎日杯2着)、ベルキャニオン(共同通信杯2着)など兄姉は活躍馬が多数。この馬も中京の新馬戦を3馬身差の楽勝。11秒8-11秒3と加速ラップを刻む強い内容だった。410キロ台と小柄だが、もう少し馬体の成長があれば、この馬もオープンクラスが見えてくる。

ダノンバリアント(牡、ディープインパクト×リップルスメイド、栗東・高野厩舎)
半姉はミッキーチャームは、秋華賞でアーモンドアイを焦らせた馬。姉はデビューが3歳2月と遅く、弟も同じく2月。ただ姉は4戦目の7月に初勝利だが、こちらは新馬戦で見事に差し切りを決めた。好調ダノックスの馬ということでも怖い一頭だ。

【中山】

◆500万下(芝1800m)

フォルコメン(牡、ヴィクトワールピサ×イマーキュレイトキャット、美浦・堀厩舎)
3代母は欧米でG1を勝ちまくった名牝ミエスク。デビュー戦は4着も、メンバーはかなり濃いもの。2戦目の未勝利戦は、好位からあっさり抜け出し快勝。中山マイル1分34秒9の時計も上々だ。3歳世代が優秀な堀厩舎。また一頭、楽しみな馬が増えそうである。

ハーメティキスト(牡、ロードカナロア×ミスティックリップス、美浦・木村厩舎)
半兄に3戦3勝のミスティックグロウがいる。新馬は4着も、2戦目に勝ち上がり。向正面から動く厳しい競馬だったが、最後まで脚色は乱れず2馬身半差の勝利は強い内容だった。その後、ソエが出て間隔が開いたが、それも癒えての復帰戦。まだまだゲートに不安はあるが、能力は500万でも足りる。

【阪神】

◆未勝利(芝2400m)

レッドエンヴィー(牡、ジャスタウェイ×スタイルリスティック、栗東・須貝厩舎)
芝2戦で馬券圏内に入れず、ダートへ転向して3着も、その後成績は降下。再度芝に戻すと2戦連続3着と上昇を見せている。半兄にレッドアンシェル(アーリントンC2着)、他にも3勝馬が3頭おり、この馬もまだまだ上昇の余地はある。

【中京】

◆未勝利(芝2000m)

セントレオナード(牡、ディープインパクト×リリーオブザヴァレー、美浦・堀厩舎)
全兄に青葉賞を勝ったヴァンキッシュランがおり、POGでも上位人気になった馬。新馬戦はルヴォルグの3着。2戦目は、ヴァンランディのレコード勝ちに少差の2着。続く未勝利戦は相手にも恵まれ単勝1・2倍の圧倒的人気に推されたが、まさかの2着に敗れている。2走前の内容から、前走がこの馬の姿ではない。本来の力を発揮できれば、未勝利戦は楽に勝てるはずだ。鞍上はルメール騎手。なお同日の中山芝2200m戦に出走の可能性もある(その時は石橋騎手騎乗)。