この週のメインは桜花賞。詳細は他に任せ、このコーナーのメインは忘れな草賞。3歳牝馬戦線の序列を根本からひっくり返す可能性を秘める大物候補が登場する。2歳新規入厩では、木村厩舎が複数入厩。一昨年の6月デビューにはステルヴィオがいたので、ここにも当たりが含まれているかも。そして手塚厩舎には、あの大物牝馬の全弟が入厩した。

4月6日(土)

【阪神】

◆500万下(芝1600m)

トロイメント(牝、ダイワメジャー×トラウム、栗東・西浦厩舎)
3走前にマイルの未勝利戦を4馬身差の楽勝。時計も速く、500万でも通用するかに思えたが、1400mの500万なずな賞は6着。マイル戦に戻った前走で巻き返したかったが、スタート後に他馬と接触すると、馬がカッとしたか終始力んだ走りになり、最後の伸び脚は見られなかった。再度のマイル戦。しっかり脚を溜める競馬ができれば、勝った未勝利戦の時のような脚も出せるだろう。

【福島】

◆ひめさゆり賞(芝2000m)

レターオンザサンド(牡、ゴールドヘイロー×スモーキークォーツ、栗東・藤岡厩舎)
2走前の500万つばき賞は、1000m58秒6のハイペースの逃げ。展開利のあった差し馬勢に捕まったが、すぐ後ろを追走していた断然人気のサトノウィザードには先着し4着。前走の500万はザダルに僅かクビ差敗れ2着も断然人気のヴァンランディに先着と、好内容のレースが続いている。前で競馬ができるので、小回りコースは有利。そろそろ順番が回ってきてもいい頃だ。

ジュピターズライト(牡、ハービンジャー×サトノジュピター、美浦・金成厩舎)
年末最後の開催でメンバーが揃った、中山芝2000mの新馬戦を勝った馬。その後、背中や腰に疲れがあったのでケアに時間をかけ、復調後はここを目標に作ってきた。「まだ稽古でさほど動けないが、それでも新馬戦は突破してくれた。良くなるのは先々もどんな走りを見せてくれるか」と金成師。放牧先の天栄でも乗り込んでいたので、久々でも仕上がりの不安は無い。

グロオルロージュ(牡、ジャスタウェイ×アウトオブタイム、美浦・斎藤誠厩舎)
新馬戦は勝ち馬から0・1秒差の3着。それでも次走の未勝利戦は10番人気と評価は低かったが、混戦の2着争いを尻目に快勝している。人気になりにくいタイプなので、馬券的に妙味がある。

【中山】

◆未勝利(芝2000m)

エムティーカイザ(牡、ルーラーシップ×ライトウェイレフト、美浦・加藤士厩舎)
近親にオープン馬ミッキージョイ(5勝)がいる。「素直で操縦性が高い。デビューが遅れて経験馬相手になるが、いい馬なので期待を持っている」と加藤士師。1週前の坂路では52秒5-12秒5(一杯)の好時計。既走馬相手でもいいレースができそうだ。

【福島】

◆未勝利(若手騎手限定、ダート1700m)

ブーケオブジュエル(牝、キングカメハメハ×ザッハーマイン、美浦・国枝厩舎)
1月20日の中山ダート千八戦でデビューしたが、道中気の悪さを見せて大敗している。そこから間隔を開けての出走。新馬戦で3番人気になった馬なのだから、走る下地はあるだろう。鞍上は藤田菜七子騎手。

◆未勝利(芝1200m)

シャンデフレーズ(牝、エイシンフラッシュ×フラゴリーネ、美浦・中舘厩舎)
デビューから3、2着と来て、3戦目の前走はルメール騎手に乗り替わり。初勝利へ準備は万端だったが、逃げて粘り切れず4着に敗れている。今回は新馬戦3着時に騎乗した藤田菜七子騎手に乗り替わり。400キロそこそこの馬なので、減量の恩恵は大きい。福島コースも有利で、今度こそ逃げ切りを図る。

4月7日(日)

【阪神】

◆忘れな草賞(芝2000m)

ラヴズオンリーユー(牝、ディープインパクト×ラヴズオンリーミー、栗東・矢作厩舎)
全兄にリアルスティール(ドバイターフ勝ち馬)、ラングレー(6勝)、プロディガルサン(現3勝、重賞2着2回)がいる良血。セレクトセールに上場され、1億7280万円(税込)の高額で、DMMドリームクラブに落札されている。新馬戦も強かったが、驚いたのが2戦目の500万白菊賞。大外から一捲りで勝った内容も強かったが、時計がかかり気味の馬場でマイル1分33秒6の時計も秀逸だ。一頓挫明けなので100%の出来ではないかもしれないが、この状態で勝つようなら、オークス候補の筆頭格にもなる。

ランブリングアレー(牝、ディープインパクト×ブルーミングアレー、栗東・友道厩舎)
休養明けとなったフラワーCは、コントラチェックには完敗だったが、1番人気のエールヴォアとはハナ差の3着。惜しくも賞金を積むことはできなかったが、3歳になって更に成長が見られた。厩舎、血統からキャリアを積む毎に良くなるタイプ。500万白菊賞ではラヴズオンリーユーに完敗しているので、リベンジを果たしたい。

キラープレゼンス(牝、ハーツクライ×キラーグレイシス、栗東・高野)

2戦目に勝ち上がり。格上げ初戦の500万下は6着だったが、1着サトノルークスはオープンすみれS勝ち、3着カントルは500万セントポーリア賞勝ち、5着ヴィッテルスバッハは500万下を上り32秒9の脚で勝利と、上位陣は強い馬ばかりだった。久々だが、もっと早くに復帰の予定もあったほどなので、仕上がりは悪くない。

テイクザヘルム(牝、ノヴェリスト×ヴェラブランカ、栗東・安田翔厩舎)
母はPOGでも人気になった馬。母の姉にトールポピー(オークスなどG1で2勝)、フサイチホウオー(重賞3連勝)、母の妹にアヴェンチュラ(秋華賞優勝)がいる。2月東京マイルの新馬戦でデビューし、見事に勝利をおさめている。相手は強いが、2戦目の変わり身で対抗したい。

【中山】

◆デイジー賞(牝、芝1800m)

シーオブザムーン(牝、ブラックタイド×ムーンフェイズ、美浦・金成厩舎)
半兄はオウケンムーン(共同通信杯勝ち馬)。12月の新馬戦は1番人気に応え、好位から抜け出し快勝している。その後は、まだ馬体に緩いところがあり更なる成長を促すため放牧。ここが復帰戦となる。その甲斐もあり、デビュー前はあまり負荷をかけられなかったが、今はウッドで5F68秒台、上り12秒台後半の時計を出すまでになっている。どれだけ成長しているか、レースが楽しみである。

クィーンユニバンス(牝、ヴィクトワールピサ×レディスキッパー、美浦・田村厩舎)
半姉にアドマイヤミヤビ(クイーンC勝ち馬)がおり、デビュー前から評判の高かった一頭だが、現状は期待に応えられていない。休養明けの前走も、勝ち馬から離された5着。ただ一叩きで調教も良くなり、変わり身は感じられる。中山向きの脚質なので、ここで結果を出したい。

グレイスアン(牝、ディープブリランテ×ケイティーズベスト、美浦・斎藤誠厩舎)
新馬勝ちし、続くフェアリーSも3着好走。エルフィンSも期待されたが、直線で失速し7着に敗れている。前走の敗因がはっきりしないところは不安だが、フェアリーS3着から、500万クラスでは上位のはずだ。

◆500万下(ダート1800m)

ポートロイヤル(牡、キングカメハメハ×グレナディーン、美浦・高柳瑞厩舎)
2戦目で勝ち上がり、500万では連続3着。ともに勝ち馬から離されているが、その時の勝ち馬がデアフルーグ、ダイシンインディーとオープン級の素質を持つ馬では仕方あるまい。時計的にも、上位争いには加われる。

◆未勝利(芝2000m)

グロリアーナ(牝、ハーツクライ×ベネンシアドール、美浦・木村厩舎)
7月8日の新馬戦2着後に骨折が判明。それ以来のレースとなる。「少しずつ幼さが抜けてきた。初戦も走りは良かったし、この先もっと良くなってきそう」と太田助手。長期休養明けだが、天栄で1か月ほど調整してトレセンへ入り、その後も順調に調教が行われていることから、仕上がりは悪くはない。能力から、いきなり勝ち負けも望める。

【阪神】

◆未勝利(芝1800m)

クロランサス(牝、ディープインパクト×クリアンサス、栗東・松永幹厩舎)
3月10日の中京未勝利戦で、既走馬相手にデビュー。POGでも人気になったロードゼウスをクビ差まで追い詰める好内容のレースだった。一叩きされ、ここはしっかり勝ちたいところだ。鞍上は福永騎手。

フランクリン(牡、ディープインパクト×ロベルタ、栗東・音無厩舎)
全兄は6戦3勝のフランツ。母の兄にリンカーン(G1で2着3回)、ヴィクトリー(皐月賞馬)がいる良血で、POGでも人気になった一頭。9月阪神の新馬戦でデビューも4着。その後、喉の手術を行ったため、約半年ぶりのレースとなる。1週前調教ではCWで79秒台、5F65秒台半ば、1F12秒台後半の速い時計を出し、古馬500万の馬に先着と動きは良好。近親で、同じ音無厩舎所属のアドミラブルも、新馬大敗後、喉の手術をして復帰戦を楽勝。その後に青葉賞を勝ち、ダービーで3着に来ている。まずは復帰戦を勝てば、夢は広がる。

▼2歳馬入厩情報

ブルトガンク(牡、ディープインパクト×タピッツフライ、美浦・手塚厩舎)
全姉は桜花賞有力馬のグランアレグリア。この時期で500キロを超える大型馬だが、それでも早期入厩できるのだから、相当動きはいいのだろう。実際に評判も上々だ。

マチカネチコウヨレ17(牡、リアルインパクト×マチカネチコウヨレ、美浦・木村厩舎)
半兄サトノティターン(マーチS勝ち馬)、マチカネニホンバレ(エルムS勝ち馬)。

ゴルコンダ(牡、ヴィクトワールピサ×ゴレラ、美浦・木村厩舎)
半兄ネオウィズダム(5勝)。

ヘイルメリー(牡、オルフェーヴル×クーデグレイス、美浦・木村厩舎)
半兄ブラックプラチナム(現3勝)、グレイシア(デビューから2連勝)。

スタインウェイ(牡、ジャスタウェイ×ジュエルオブザナイト、美浦・古賀慎厩舎)
半姉ディープジュエリーは、新馬、500万デイジー賞、オープン・スイートピーSとデビューから3連勝した馬。