
初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『エルデストサン応援北海道遠征記』
2025/7/30(水)
皆さん、こんにちは。ライター大和屋です。先日北海道へ行ってきました。その目的はエルデストサンの復帰戦を見に行くこと。そしてジャスタウェイをはじめとした我が愛馬達の顔を見に行くことでした。
2年7か月という長期の休養を経て、ようやく競馬場へと戻ってきたエルデストサン。もうそれだけで感動なのですが、今までの関係者の皆さんの苦労と努力が積み重なっているだけに、もうこれは勝って皆で喜びを分かち合うしかなかろうもん。みたいな感じで盛り上がってしまい、いてもたってもいられなくなって北海道へ向かいます。
いつ使うのかわかっていない段階で旅行の計画を立ててしまったのですが、予想通りに火曜日のレースに出走が決まります。火曜に出発し、軽く馬達を見てから夕方にホッカイドウ競馬へと向かいます。
千歳空港で友人であり私の馬のマネージメントもしてくださっているNさんに今回もアテンドをお願いし、前回同様空港で拾っていただきました。そのままノーザンファームへ向かいます。
去年セレクトセールで購入したバトーデュシエルの24、父ドレフォンの牝馬とご対面です。

ご対面の前に気になることが、地面に毛虫が大量に転がっていました。話を聞くと今年は十年に一度の大量発生の年らしくそこかしこにうにょうにょしていてとても危険な感じがします。
サンダルで行っていたら軽く悲鳴をあげていたかもしれません。なんとか毛虫をよけながら厩舎の前に到着するとバトーデュシエルの24さんが待っていてくれました。
まだまだこれから成長してくるとのことですので、その言葉を信じて来年を待とうと思います。本当に私の馬達は怪我が多いので健康に過ごしていただき競馬場まで無事にたどり着いて欲しいです。
その次の移動先にはヒヒーンがいらっしゃいました。

丁度競馬を使ってノーザンファームに放牧に出ていて入場して二日目だそうで、やはり現役の競走馬と比べるとバト―さんはまだまだ子供な感じです。
ヒヒーンさんは元気そうで何よりですが1勝クラスで足踏みしているような子ではないはずなので、次の勝利を期待しています。とはいえまずは健康第一でお願いいたします。
ノーザンファーム3頭目は高速に乗って一時間くらい移動した日高分場にいるマジカルステージの初子に会いに行きます。まだ当歳ですのでマジカルさんも一緒に会うことができました。


ルーラーシップの男馬で先日骨折してしまったそうですが、今はもう普通に放牧しているので心配無用ですとのことですが、まあ心配ではありますね。
初子にしてはとても良い感じだとのコメントをいただいていましたが当日聞いてみたところ、やはり良い感じだそうです。この調子なら来年の仔も楽しみだとのことでした。

マジカルステージ
マジカルさんも元気そうで何よりです。どことなく顔立ちも親子で似ているような気がしていますがどうでしょうか?これにてノーザンファームさんの見学は終了です。そして次に行くのはブリーダーズスタリオンステーション、ジャス君のところへ行きます。
久しぶりの再会です。この前に来たのは何年前でしたか、元気そうで何より……と書こうとしていたのですが、腰に養生テープを張り付けておりました。一体何事なのかと思っていると、「聞いているかもしれませんがジャスタウェイ、腰が少々悪くなってきています」



いや、全然聞いていませんでしたけど。でもまあわざわざ腰が悪くなりましたが、腰にテープ貼って頑張っています、という連絡を入れられてもどう対処すればいいのかわからなかったと思いますので、仕方ありませんね。鉄砲水に流されても何も言われなかったりする業界ですので気にしないことにします。
さらに話を聞いてみると長年の種付けの影響で横の動きに痛みがともないようになってきたので腰にキネシオテープを張っているのだそうです。
来年にはテープなしでまたじゃんじゃん種付けができるようになってくれていることを祈りつつ。ちょっと興奮気味のジャス君に噛まれそうになりながら、ニンジンをあげることができました。


きゅう舎から出されたので種付けかと思ってちょっと興奮していたそうですが、いつも会った時は僕のことを噛もうと狙ってきているのは知っていたので今回もなんとか噛まれずに済みました。
何度もジャス君には会っていましたがニンジンをあげることができたのは今回が初めてでした。ブリーダーズスタリオンステーションの皆さまご配慮ありがとうございました。これからもジャス君をよろしくお願いいたします。

ブリーダーズスタリオンステーションからちょっと離れた場所に移動、次はレジェンドファームでオツウさんとの再会です。前にも書きましたがオツウちゃん、度重なる出産のせいで足の健が切れてしまっています。

今は余生をここレジェンドファームで過ごしてもらっております。
余生をゆっくりすごしてもらっている現状ですが、足元は悪くなることなく推移していてまだまだ元気にやっていけるとのことです。長生きしてくださいね。


というわけで一日目はこれにて見学終了です。この旅行のハイライトとも言えるホッカイドウ競馬へと向かいます。途中で野生のシカなんかも目撃しました。目撃したりしつつ、ホッカイドウ競馬へ移動。レースを待ちます。
写真を撮り忘れたのですが名物のお蕎麦を食べたり本場の人が作ってくれるカレーなんかを皆で食べつつ、さらには競馬場をふらふらしながら過ごしていると、ちょっとずつ日が傾いてまいりました。
パドックが始まるとやってきましたエルデストサン。久しぶりの対面です。


田中先生ともご挨拶をさせてもらったところで、サプライズが、リハビリをお願いしていた辻牧場の辻助さんが応援に駆けつけてくれました。
わざわざ本当に申し訳ないです。なんか本当にすいません!ありがとうございます。さあもりあがってまいりました。これで勝ったら映画化して欲しいくらいの物語でございます。
今までずっと待ちに待っていたこの時がとうとうやってまいりました。ファンファーレが鳴ってゲートイン、さらっとスタートするとなんとエルデストサンが先頭です。
このまま逃げ切って圧勝する姿が脳裏に浮かび、喜ぶ準備はできていたのですが3コーナーで手応えが怪しくなってしまい。4コーナーでは止まってしまいました。最下位での入線となりました。
やはり競馬は甘くないですね。全部の馬が勝とうと思ってやっているのですからそう簡単には行きません。
レース後も脚元は問題なし。やはり長いブランクで息ができていなかった感じでしょうか?ちなみにこのあと中1週でもう一度使いましたが、10頭立ての7着という結果でした。
ちょっとですが前進していますのでなんとか頑張ってほしいですね。これだけ長い時間をかけて復帰させているので強い調教もやり辛いのでしょう。
ちょっとずつでも前進してくれるのを願っておりますが、目標はまずは1勝。その先には田中先生の前では言い辛いですが3つ勝って中央へ再転入が目標です。その先には中央での勝利なんかも妄想していますので、なんとか実現させてください。
とはいえエルデストサン君。お疲れさまでした。無事に走っている姿を見せてくれただけでも今日は大収穫でした。ありがとうございます。
競馬の後は宿です。なんと今回は競馬関係者や競馬ファンには有名なエクリプスホテルに泊まらせていただくことになりました。何が有名かというと、こちらです。



競馬好きにはたまらないいろいろな展示がなされているホテルなのです。期間限定でキタサンブラックやロードカナロアなど沢山の名馬の写真やカーテンやゼッケンや優勝レイなんかを特別室に展示したり、ロビー内はこのように競馬列伝のポスターで埋め尽くされております。
いるのかどうかドキドキしましたがジャス君もおりました。競馬列伝のポスターではなかったのですが、格好良いポスターが張ってあったのでよかったと思います。今はメロディレーンとタイトルホルダーがババンと展示されておりました。
そして何よりエクリプスホテルで有名なのは朝ごはん!外資系のリゾートホテルに引けを取らない充実した朝ごはんが食べられると評判のホテルなのです。
一日目はささっとシャワーを浴びてぐっすり眠り、朝一番で朝食の会場へ。最上階の朝食会場。朝食券はこのようになっております。


見せるだけで持ち帰っていいそうなので記念になりますね。入口にハンコがあって押すことができますので的中にしたい人は是非どうぞ。さあお楽しみの朝食はこんな感じです。









写真には撮りませんでしたが本当に朝一番にいったので、長打の列でした。皆が朝食をいかに期待していたのかがわかるぐらいご飯の列ができていました。
沢山の種類があってどうしようか迷ってしまう感じでしたが、私が個人的にかなり気に入ったのは狸ふりかけです。ちなみにロビーでたぬきむすびの素という商品名で売っておりましたので買って帰ったのは言うまでもありません。
これでもかという品ぞろえの朝食にお腹いっぱいになりました。美味しかったです。ごはん三杯食べてしまいました。笑
チェックアウトの時間です。言い忘れておりましたがこのホテルのロビー、お菓子やふりかけも充実していましたが、馬グッズも充実しております。
ちょっとしたターフィーショップかっていうくらい馬グッズが居並び、しかも特定の馬でないものなのでお安い値段設定です。思わず私も一頭買い。今は本棚に飾っているのがこの仔です。


二日目です。今日は辻牧場の愛馬さん達をメインに見て回ります。まずはBTCへ。コウリュウとマダムジェニファーの23(父シニスターミニスター)が調教をしています。コウリュウはまだまだ時間がかかりそう、シニスターの仔は秋になる前には移動になりそうとのことです。

コウリュウ

マダムジェニファーの23(父シニスターミニスター)
やはり屈腱炎の仔はエルデストサン同様に次壊れたら最後というプレッシャーがあるので強い調教をうち辛い、ですが、だらだらやっていても使えるようにはならないと、ジレンマな感じなのだそうです。ここは焦らずじっくりやるしかないようです。頑張ってくださいませ。
そして辻牧場さんの元へ移動です。今年あらたな厩舎を新設したそうで、そこにはすでに私の手を離れたジャスコさんがおりました。

ジャスコ
その隣には初子がいます。無事繁殖牝馬になることができました。とても可愛らしい仔馬です。
そしてエオスモンも元気です。

エオスモン
一歳の仔、そしてお母さんと一緒にいるのは当歳の仔です。そしてその後は私所有の一歳の愛馬達、マダムジェニファーの24(サンライズノヴァ)、イイナヅケの24(ジャスタウェイ)。
今写真を見返しているのですが、もうなんか数が多いのでどれがどれだかわからなくなってきています。間違っていても勘弁してください。ちなみにどちらも順調とのことです。
そして辻牧場の最後を飾るのは、とても珍しい光景です。私の繁殖牝馬が三頭居並びます。プリティジェニー(ピクシーナイト)、マダムジェニファー(ヨシダ)、そしてイイナヅケ(ジャスタウェイ)。今年のこの三頭の子供達はどれも良いとのコメントをいただいております。
二年後、さらにマジカルの初子も加えた四頭、すべてよさそうとのことですので大躍進を期待したいと思っております。今年も来年も大躍進を期待してはいるのですけどね……。

そして最後はキングロコマイカイです。屈腱炎で休養中ですが、ちょっと夏負けしているように見えました。きんた〇が大きくなっていたので暑さのせいかなあと思っています。
こちらもちょっとずつ乗り出しているそうですので秋か冬くらいには移動できたりするかもしれません。〇んたまが肥大している以外は順調に来ているようですので焦らずなおして競馬場へ戻ってほしいと思っております。

これにて終了。そんな感じで北海道にいる愛馬達の様子を見てまいりました。エルデストサンが勝ってくれていればパーフェクトな旅でしたが競馬はそんなに甘くないことはよく知っております。これに懲りずちょっとずつ前進していってくれればと思っております。
すでに8月、カリボールの1勝だけの現状です。なんとか後半戦は巻き返してほしいと願う大和屋なのでした。
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。