競走成績は公営3勝、中央入着、再転入後はまったくといっていいほど結果が出ませんでしたが、調教はとても良かったそうです。前走の様子を見ても押っ付けて好位をとろうとするも、外からかぶされると自分から競馬をやめてしまっているようにも見えます。実力というよりは気性のほうの問題、つまりやる気を出してくれなかったということなのかもしれません。

3回走ってまったく結果がでなかったうえに結果が出る気配すらなかった現状では、このまま現役を続けていくのも難しいだろうという判断のもと、さらに言うと現在繁殖シーズンまっただなかということもありまして、引退を決断することにあいなりました。今後は繁殖牝馬として第二の人生を歩むことになります。

2月17日の東京競馬(4歳上500万下戦)がラストランとなったイイナヅケ

　イイナヅケ号、足元がずっと不安がある状態でしたので思うような調教がうてない上に、走っていると突然すべるような感じになるので、思うように馬を追えないとのコメントを各所からいただきました。それでもまったく期待されていなかったデビュー戦では3着に。実力の片りんを見せてはくれました。その後、未勝利戦がある期間はあっという間にすぎてゆき、2着、3着とあと一歩のところまではいったのですが、勝利をもぎとるところまでにはいきませんでした。

そこで、中央での再転入を目指し地方競馬へと移籍することになりました。移籍先は笠松競馬、馬主はプロソフトクリーマーの森川さんとなり地方での競走は初戦圧勝、すぐに戻ってこられるかと思いきや、体調不良が起きたりで年内2勝はかなわず。年明けて3勝を目指すことになりました。

残る2勝も人気でよもやの敗戦だったり、調整に手間取ったりと3勝目をあげることができたのが7月初旬、そして中央再転入し調整を経て出走にまでいたったのが10月、その走りを含めて3戦、残念ですがまったく結果がともなうことがありませんでした。

楽しかった思い出としては森川さんと一緒に笠松まで応援に行けたことです。名古屋を経由し現地まで応援に行き、勝てはしませんでしたがイイナヅケとの再会を果たし、現地の美味しいごはんを食べて帰ってまいりました。あれは楽しい思い出といえるでしょう。

　そんなイイナヅケちゃんですが、もともとはジャスタウェイの嫁を探そうという趣旨の元、セレクトセールにて選定し落札した経緯がありました。ジャス君のお嫁さんを是非自分で持つことができればと思い2100万円で落札、このころはまだノーザンファームの牝馬が二千万円で買えていたんだなぁとしみじみ思います。

もともとジャスタウェイと交配できる馬ということでカタログをチェックしたときに、いかに今の馬たちがサンデーサイレンスの血を受け継いでいまくっているのかを再確認し、インブリードなしでの交配ができる牝馬をセレクトセールで買うのがいかに難しいかを思い知らされました。そんな記憶があったりなかったりしましたが、無事当初の目的であるジャスタウェイの許嫁としての馬生を歩むイイナヅケに、ちょっとしみじみ来るものがあるのです。

　イイナヅケ、父ワークフォース、母カイゼリン、母父がアドマイヤベガでジャス君と交配するとサンデーサイレンスの3×4になります。母の母はあの名牝ブロードアピール、イイナヅケ自身は結果が出ませんでしたが、この血統背景を見れば子供に期待しないではいられません。これからはジャス君の嫁としての馬生を歩んでいくことになります。初年度の交配相手は言うまでもなくジャスタウエイとなるはずです。

常に好調というわけにはいきませんが、かなり順調な馬主人生を送れていられていると日々感じております。現在は勝ち星から遠ざかっておりますが、オツウに続きイイナヅケも繁殖としての生活を開始します。順調にいけば彼らの子供が来年には誕生していることでしょう。彼らの子供の活躍が、今から待ち遠しくて仕方ありません。

了