平林雅芳の目

トピックス

日曜中山11R
AJCC(GⅡ)
芝2200m外
勝ちタイム2.13.9

勝ち馬:ネヴァブション(牡6、美浦・伊藤正厩舎)

・・・号泣する担当さん。馬上から握手の横山典J!!

戦いを終えて引き上げてくる馬。
入賞した馬だけが検量室前の枠場へと入ってくる。
勝った馬はゴール過ぎてもかなり遠くへ流して行っている加減で、一番遅く入ってくるケースが多い。
でもネヴァブション横山典Jは、ほとんどの馬と同じ時間帯に戻ってきた。
その1着馬が入る枠場の前で号泣している担当さんがいた。
関東の厩舎なのであまり見識もない。しかし、だいたい重賞とかではけっこう見たことがある人が多いのだが、このようにあたり構わず泣いている人は見たことがない。
鼻面を目の前へ持ってきた横山典Jが、体を下へ折り曲げて握手しているのが見えた。勝者だけに許されるシーンである。
ひとつの勝利に、いろんな思いが詰まっている。
また新しいヒストリーが生まれたようなシーンを見た思いだった・・。

パドックで各馬を、逆光を手でさえぎりながら見廻した。
目当てのアルナスラインは数字こそ減ってはいるが、見た目にまだ増えているかのような馬体である。心なしか毛艶さえもあまり良く見えない。ちょっとガッカリ。
もう1頭の関西馬ドリームジャーニー
いつも小柄な体を大きく見せる馬で、数字ほど小粒には見せない馬。
今日は過去最高の馬体重の434キロである。
でもなんだか覇気というものを感じさせない。なにか優等生っぽい感じである。
ネヴァブションは数字より細身に見える感じの馬だが、いいなと思った。
追い切りの動きがいいのも当然だなと・・。

スタンドの影はゴール前1Fまで。
スタート地点のゴールまで2Fのあたりは、西日が燦然と照りつけてまばゆいばかり。
注目の先手はメイショウレガーロがいいスタートを切ったが、先手を主張する気持ちはなさそうだった。
外からダッシュつけて、キングストレイルが内へと切れ込んできて先手主張。 サンツェッペリンも行き脚をつけて2番手をうかがった。
最初のコーナーはキングストレイルサンツェッペリン
そして内から、出が鈍かったネヴァブションが押して押して前へと進めてきていて、コーナーリングで内々から3番手へ。
メイショウレガーロは4番手あたりである。アルナスラインがその後ろあたり。
ドリームジャーニーはいつものポジション最後方で1角を廻った。

2コーナーを過ぎて向こう正面に入った。
先頭から3馬身ずつ等間隔で続く、ちょっと縦長の流れとなった。
ドリームジャーニーが後ろで1頭順位を上げているのが確認できた。
前は緩みのないペースで進み、3角を廻っても大きな変化はなかった。
中団の5、6番手にラチ沿いにトウショウシロッコ、その外へエアシェイディが続いた。
4角手前では逃げるキングストレイル
だが、その後ろにつけていた赤い帽子のネヴァブションの勢いが良かった。
横に広がった大外へ、黄色い帽子のエアシェイディが1頭分間隔をあけた感じで勢いづいてきているのがわかった。

直線での攻防。
逃げるキングストレイル
内ラチ沿いから、手綱で馬首を外へと立て直して追い出すネヴァブションが、前との差を詰めていった。
その後ろをトウショウシロッコが上手く内から抜けてきた。
外からはいい脚でエアシェイディが進出。
アルナスラインの伸びは、ちょっと他馬に比べると見劣っていた。
ドリームジャーニーはと見ると、弾ける感じでなく伸び脚が今ひとつだった。
キングスを抜いて、そのままゴールを目指すネヴァブション
もう勝利は確定であった。焦点は2着争いとなった。
トウショウシロッコが上がったと思ったら、外からエアシェイディの勢いが優り、2番手に上がったところがゴールだった。

ゴール板を過ぎて、横山典Jの左こぶしが横へ水平にあがった。
伊藤正厩舎のワンツーフィニッシュであった。
後で見てみると、最後の1Fが12.6とかなりかかっている。
9R前ぐらいから馬場発表は良馬場となったが、渋めが残るコンディションだったようだ。
前々で競馬をして、能力を完全に出し切れたネヴァブション横山典J
1番人気ドリームジャーニーは流れも馬場も向かなかったのだろうが、まだまだ安定感のない処を見せてしまった。
関西馬は2頭の参戦であったが、出番が少ない競馬でだった。
そして冒頭の号泣のシーン。
今度横山典Jに逢ったら是非、そのいきさつを聞いてみたいものである・・。


土曜京都10R
若駒S(OP)
芝2000m
勝ちタイム2.02.2

勝ち馬:アンライバルド(牡3、栗東・友道厩舎)

10頭の出走をみたが、正直に言えば、メイショウドンタクアンライバルドのどちらが勝つのだろうかと思える競馬だった。
前走快勝のドンタクだが、この馬もテンションの高い時がある。
京都コースで3戦前に見せた若さは大丈夫なのか、そして一息入れてやり直したアンライバルドだが、前走折り合い面で苦労した点が解消されているかの二つのポイント。
正直ここでは負けていられないぐらいの2頭の陣営であったのではなかろうか。

前走逃げて3着だったコパノカミが今日も先手を取った。
キャリア2戦目のコンゴウが2番手。
この2頭が前で後ろを離していくペース、でも千通過は1.01.1だから速くはない。
3番手を行くメイショウドンタクが、ポツンとした位置でハナに行っているようなポジションとなった。アンライバルドは後ろの方だ。
最後方にガウディ、新馬戦と同じような競馬っぷりに位置どりだった。
3角過ぎから、先頭から後続まではそう差がなくなる。
4角入り口では一気に後続馬も追い上げてきて、殆どの馬が差がなくなった。

メイショウドンタクの手応えも悪くはないが、アンライバルドの勢いが違った。
アッと言う間に前の馬を呑み込み、1F手前で前を行くメイショウドンタクを抜き去ると、あとはもう独壇場となった。
みるみる差が開き、そのままジッとしたままゴールへ入った。
2番手は、外を追い上げてきたガウディの脚色も良かったが、何とかメイショウドンタクが粘り2着。
1馬身差なくガウディが3着。
そこから3馬身離れて、トップクリフォードが4着であった。

あの衝撃のデビュー戦。10月26日の新馬戦
リーチザクラウンブエナビスタを完封したアンライバルド
その後の京都2歳Sでは、岩田Jが落馬して乗り替わるアクシデント。
前半折り合いを欠く競馬で、能力を出し切れずに3着に終わった。
だが一息いれてやり直してのここで復活。クラシック戦線にまた名乗り出た。
まだまだ今日でも返し馬で先出しと、若さが前面に出ているこの馬。
秘めたるエンジンはなかなかのもの。今後が注目となるのは当然だろう。