ステッキを2発、そして最後にもう1発 トーセンスターダムV!!

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13年10月20日(日)4回京都7日目5R 2歳新馬(芝外1800m)

トーセンスターダム
(牡2、栗東・池江厩舎)
父:ディープインパクト
母:アドマイヤキラメキ
母父:エンドスウィープ


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伝説の新馬戦と言われるこの一戦。制したのは、圧倒的1番人気に支持されたトーセンスターダム。セレクトセールで、夢の様な高額で買われた馬である。逃げたたリバーソウルを直線でジワジワっと追い詰めて、最後はクビ差交わしてのゴールで人気に応えた。スッキリした馬体は悪くなく、何か大仕事をする将来が見えてくる感じさえもあった…。


レースの前に、あの映像が流れる。アンヴァルトが勝って、リーチザクラウンが2着。ブエナビスタが3着に追い上げてきた、あの伝説の新馬戦が。出世レースなのである。時期的にも、秋のこの時期に期待馬をおろす傾向がある。
ここにもディープインパクトの子供が2頭。トーセンスターダムとドリームアドリーム。1番人気、2番人気である。そしてもう1頭がリバーソウル。この馬はゲートからの時計で105.6と、水準以上のものを出している実戦型である。馬場入りして返し馬に入った時のフォームからも、この3頭の勝負と観ていた。

スタートは、外リバーソウルが好発、逆にモタついたのがドリームアドリーム。この距離らしく、いきなりからユッタリの入りとなった。中からキーカレンシー、内からショウサンミーベルが出て、外のリバーソウルと3頭が並んで1ハロンを通過。様子を見ていた3頭の中から、リバーソウルが先手を取って行く。
3ハロンを37.5と遅い。そこでトーセンスターダムが上がって2番手となる。最後方のドリームアドリームまでは5馬身ぐらい。そのドリームアドリームが後ろから1頭順位を上げ、内へ入って差を詰め、3コーナーの坂へ登っていく。
外廻りと内廻りの境目ぐらいの処で、先頭のリバーソウルが少し外へ逃げ気味となる映像があった。外のトーセンスターダムは、それに反応してないのが良かった。馬群はさらに凝縮して、3馬身あるかないかで坂を下る。

ここらでのペースは14.1と、もっとも遅くなった時だった。さらに馬群は短くなって、4コーナーへと入って行く。ドリームアドリームも内ラチ沿いの3番目で、前から3馬身の差。先頭リバーソウルにトーセンスターダム、その外にディープミタカと、3頭が並ぶ感じで最後のカーヴを迎えた。
コーナーリングで、先頭のリバーソウルがまた差を開けていく。1馬身の差が出来たトーセンスターダム。その時、後ろの方でドリームアドリームの福永Jが転んでいた。自分から降りる様な恰好で地面に転がっていた。

前はもうトップスピード。内ラチ沿いにへばりついて、逃げ込まんとするリバーソウル。そのすぐ後をトーセンスターダムが追いかける。後ろの組では前と差が開いて、勝負はこの2頭の競馬となった。
残り200、まだ追わない武豊Jのトーセンスターダムだ。ステッキを入れて逃げる岩田Jのリバーソウル。それをまだ追ってない武豊Jのトーセンスターダム。
残り1ハロンを過ぎたあたりで、トーセンスターダムにステッキを2発入れた武豊J。そして残り100で並びかけたあたりで、もう1発ステッキを入れて少し先着をする。内で粘るリバーソウルだったが、最後はクビ差で外トーセンスターダムの勝利であった。最後の2ハロンが11.4~11.1。スッカリ上がりの競馬になってしまったが、後続には5馬身の差をつけていた。

数字は480キロとけっこうな体だが、見た目はスッキリした感じ。稽古で乗った武豊Jが《優しいディープインパクトの子供だね~》と言っていたが、今日のパドックで、跨る少し前に前脚を上げて立ち上がるシーンもあった。《けっこうやんちゃなんですよ~》と、検量室前の枠場で勝ち馬を待っている時に訊けた。それでいて実戦ではしっかり反応している。
まずは初陣をいい形で終えたし、次なるステージが楽しみとなった…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。