時計勝負は任せろ!ミッキーアイルが逃げ切る!!

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14年1月12日(日)1回京都4日目11R 第48回 シンザン記念(G3)(芝外1600m)

ミッキーアイル
(牡3、栗東・音無厩舎)
父:ディープインパクト
母:スターアイル
母父:Rock of Gibraltar


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ゲートが開いた瞬間に、他馬よりも1馬身は前にいたミッキーアイル。そのまま誰にも並ばれずに直線へと入ってきた。さすがに残り1Fあたりで尾花栗毛のウインフルブルームが迫っては来たが、それでも交すまでの勢いではなく半馬身差まで。最後の1Fが11.8と決して止まっている数字ではないのだが、さすがにこの時計での決着だけに、最後は余裕はなかった。だが持てるスピードは相変わらずのもの。これで春はどこでも使える権利を保持した。春よ来いであろう…。


三日間競馬の中日ではあるが、重賞がある日はけっこうな人である。パドックを囲む人の数も寒さの割には多い。ジックリと周回する馬を観ている。何度も周回を重ねてもモーリスが良く見える。気合い満面であり、首さしがいい雰囲気だ。返し馬も悪くない。これで勝てないのなら《距離のマイルしかないな~》の結論に達する。

そしてスタンド2階に陣取って観戦だ。大勢のファンが見つめる。ゲートが開いた。その瞬間にミッキーアイルがポーンと1馬身は出ていた。すぐ内のニシケンモノノフ、モーリスも遅くないスタートで内の大勢の馬より前に出ているのに、さらにその前にいるのである。ウインフルブルームやタガノグランパの内側が遅く見えたぐらいなのである。
ミッキーアイルの鞍上、浜中Jは内をチラっとだけ見て内へ入って行った。後でPVを観ると、ニシケンモノノフも内へと入って行ったのが判る。それだけ内の馬の前が開いていたという事、それだけ外の馬が速すぎた訳である。

最初の1Fの入りが12.2で次が11.5。この1ハロンの間には、最内のウインフルブルームが前へと間隔を詰めてきており、ニシケンモノノフとモーリスのすぐ内目まで順位を上げている。ややモーリスが、タガノグランパが1馬身後の内ラチ沿いを進む。アグネスミニッツがさらに2頭の後ろ。ドンジリはシセイカスガで4、5馬身前から離れた位置で縦長となっている。
坂のテッペンから下っていくミッキーアイル。隊列も納まり、流れは緩やかに進んでいる。この間が12.4と、ひと息入れているラップである。4角手前では、また2番手グループが近づき加減となる。ニシケンモノノフとモーリスが前との間合いを詰めて来た様子だ。後続もグッと差を詰めて最後のカーヴを迎える。

モーリスがウインフルブルームの外へ並ぶ様に加速して4角を廻ってきた。ミッキーアイルが1馬身リードで直線へ入ってきた。
生垣が切れて内廻りのラチが見えるまでの空間、だいぶ内へと入ってきたミッキーアイル。すでにウインフルブルームの和田Jは左ステッキを抜いてゴーサインを出している。
残り300の赤い棒を通過する時に、ミッキーアイルの浜中Jの右ステッキが唸る。ここからゴーのサイン。和田Jの左ステッキが連発されて前を追う。3番手に上がっていたモーリスが段々と失速して、後続が迫る。
1馬身以上あったミッキーアイルとの差を着実に詰めていくウインフルブルーム。しかし、浜中Jはステッキは計3発ぐらいで納め、残り50mぐらいからは手でしごいて追うだけ。1馬身、さらに詰寄っていったが、半馬身前にいたミッキーアイル。ゴール前では、首をグイとさらに伸ばしていたミッキーアイル。最後の3Fが11.3~11.0~11.8と、逃げているのか追いこんでいるのか判らないぐらいの切れ味勝負である。

3着タガノグランパに3馬身半、決定的な差であった前の2頭。追いすがったウインフルブルームもなかなかではあるが、この数字で逃げ切ってみせるミッキーアイルの凄さである。モーリスはハッキリと1400までの方が良さそうだ。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。