ここでは貫禄が違う!ニホンピロアワーズが横綱相撲!!

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14年1月26日(日)1回中京4日目11R 第31回 東海S(G2)(ダ1800m)

ニホンピロアワーズ
(牡7、栗東・大橋厩舎)
父:ホワイトマズル
母:ニホンピロルピナス
母父:アドマイヤベガ


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時々、突風がダートコースを通り抜ける。その度にかなりの砂が舞い上がる。乾きに乾いたダート。時計は速い決着にはならないはずと読める。
大方の予想どおりに、サトノプリンシパルの逃げで始まった今年の桶狭間の戦い。最終的に1.6倍の圧倒的人気となったニホンピロアワーズの位置が前から6頭目ぐらい。武豊Jダブルスターマイネルバイカの先行馬達と同じぐらいの位置。だから前がそんなに遅くないはずと思えた。
4角廻ってこれから坂というあたりで、外からニホンピロアワーズが1頭だけ抜きんでた脚色で出てきた。それを単独で追うのがグランドシチー。もう1,2着は決まりの脚色。後続と水を開け気味だ。ダブルスターが少し伸びだして3着かと思った瞬間に、内をマイネルバイカがスリ抜けていった。
戦ってきた相手が違うとばかりに、ニホンピロアワーズが格上の伸びっぷりで今年の初陣を飾った…。


いつもなら、前のレースの観戦を捨ててパドックでの馬の周回を観るのだが、武豊Jが3600勝の区切りの勝利を達成。当然にウイナーズサークルへと向かった。しかし審議のランプが点いたままで、なかなか確定せず。多くの時間が取られて、終わった頃には地下道を馬が進んでいた。

いつもの場所で、双眼鏡でシッカリとレースを観戦する。ビッシリ埋まったファンのごく近く、スタンド前からのスタート。この寒いのに有難い声援が元気づける。当然に武豊Jを中心に観ているのだが、悪くないスタートだったのに、ダブルスターの姿勢が低いのか、まるで躓き加減に見えた程。
外から内へと切れ込みながら、サトノプリンシパルが出ていく。そこらは予測済みなのだろう、ゴチャつきもせず、行かせている感じだ。マイネルバイカのスタートが今ひとつ悪かったのは知らなかった。前にいるはずなのに、向こう正面ではニホンピロアワーズのすぐ後ろ、ダブルスターの内目にいた。
そもそも、主役のニホンピロアワーズの位置が予測よりも後ろである。武豊Jもしかり、と言う事は全体に流れが速いのだろうと思えた。

レースは向こう正面を過ぎて3角を廻る。中京競馬場のいけない処は、この3角から4角までの半ばが、建物が邪魔してまったく馬群が見えなくなる処だ。仕方なくオーロラビジョンを観るのだが、頼りのそれが最後方を映したりしていて、役に立たぬ。《誰がドンジリを走っている馬を観たがるものか!》といつも腹を立てているのだが、聞こえるはずもない。
内にいたグレープブランデーが少し外へ出して追い上げていく、同時にニホンピロアワーズも進撃を開始。そのすぐ後ろにダブルスターもいる。内目をマイネルバイカとグランドシチーが並ぶ。

さらに馬群は凝縮して4角へ入ってきた。サトノプリンシパルの逃げは衰えていない。直線に入ってすぐ残り400のハロン棒。1馬身リードするサトノプリンシパル。外からニホンピロアワーズが顔を出して来る。グランドシチーもコーナーを利して、随分と前に来ている。
サトノプリンシパルに並んで抜いたニホンピロアワーズが、さらにドンドンと加速していく。内目のグレープブランデーは伸びを欠く。
残り1ハロンを過ぎ、ニホンピロアワーズの勝利は確定。グランドシチーが2番手に上がってきて、後続の脚色からも2着も決まりだ。3着争いが熾烈となって、サトノプリンシパルが粘ろうとする処を、ダブルスターとマイネルバイカが交す勢いだ。最後の伸び脚から、マイネルバイカが3着と見えた。

検量室へと下りる。ニホンピロアワーズの大橋師に握手する。そしてダブルスターの帰りを待つ。3着かと思って上がってきた様子だが、冷酷に4着と告げる。
そしてPVを何度も観る。着差以上のニホンピロアワーズの勝利であった。今年の最大の目標であるチャンピオンズC(12月7日・中京)へのためにも、イロイロとクリアしたかった点もあったはず。まずは今年の初陣をいい形で踏み出せた事が、最大に良かったはず。ライバル達も虎視眈々と調整を続けているし、水曜には川崎記念からのスタートをする馬もいる。
熱い戦いが来る前の、静かな一戦ではあった。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。