平林雅芳の目

トピックス

土曜札幌9R
札幌2歳S(JpnⅢ)
芝1800m
勝ちタイム1.49.7

勝ち馬:サンディエゴシチー(牡2、栗東・作田厩舎)

完全優勝をサンディエゴシチーが飾る!!

さすがに小倉勝ちの2歳馬こそ出てはいないが、阪神、福島、新潟での勝ち名乗りをあげた馬も集ってきた札幌2歳S
距離1800mが非常に魅力なのもあるだろうし、牧場から入厩して使える競馬と、理想的なローテーションを組めるのもおおいにあるようだ。
札幌王者に3勝目と完全優勝を果たしたサンディエゴシチー藤岡佑介Jがゴール前で小さくガッツポーズをするほどに楽勝となった。

先手を取ったのは、ダート勝ちのブルーソックス
2番手が吉田稔Jが鞍上のモズ
3番手の内ラチ沿いにサンディエゴシチーが収まり、1コーナー、2コーナーと廻って行った。
松岡Jロードシップ岩田Jユメノキラメキと続く先行馬グループだ。
武豊Jダノンパッションは、枠順も外だけに最初からジワッとした行きっぷり。
最後方に田中勝Jアーバンウィナーであった。

向こう正面に入って、やや3番手の内にいたサンディエゴシチーが行きたがり、前を行くモズの内に上がるところもあったが何とか辛抱させて、そのうちに折り合った。
3コーナー手前あたりで、カネスフォルテが外から動きはじめ、その後ろに藤田Jマイネアロマも続いた。
その後ろから、地方馬ポップコーンが鞍上の五十嵐冬Jのゴーサインで動き出した。ダノンパッションも少し順位を上げた。

3コーナーを過ぎて4コーナーへ向うあたりで、マイネアロマが先に仕掛けて、前で並ぶモズロードシップの外へ並びかけた。
マイネアロマの内へ4コーナーで上手く前に取りついたポップコーンが入り、4頭が並ぶ形となった。
その外目にダノンパッション、それを追いかける形でアーバンウィナーが続いた。
サンディエゴシチーが、前に4頭が広がるその直後の内目の絶好位となって直線に入った。

横一線に広がった直線入り口だったが、マイネルアロマが脱落。
ポップコーンが少し出たか出ないかの瞬間に、内のモズのさらに開いた内から、サンディエゴシチーが、鞍上の藤岡佑Jの右ステッキに呼応して抜き去った。
モズも、ちょっとふらつくシーンもあったが、もう一度伸びを見せた。
伸びがそんなになくなったポップコーンの外から、ダノンパッションアーバンウィナーが並んで伸びてきたが、大外アーバンウィナーの脚が良かった。 しかし前を行く2頭には届かなかった。

サンディエゴシチーは新馬、クローバー賞、そして今回と、距離をドンドンと伸ばしてきた。
最大の勝因は枠順も当然だが、いい先行力があって道中は抑えも利く点であろうか。
藤岡佑Jが、北海道シリーズに向う前の栗東での調教時に、担当の持ち乗り助手との会話で『この馬走るよ』と交わしているシーンに遭遇した事がある。
あの時の言葉は、今でも耳に残っている。
ずーっと彼が毎日調教してきた馬が、見事に大輪の花を咲かせた瞬間でもあった。
そんな北海道の夏であったようです・・。


日曜小倉10R
小倉2歳S(JpnⅢ)
芝1200m
勝ちタイム1.09.0

勝ち馬:ジュエルオブナイル(牡2、栗東・荒川厩舎)

デュランダル産駒、ジュエルオブナイルが重賞初制覇!!

タガノジョーカーが取り消しての14頭で行われた今年の小倉2歳Sだが、サリエルがゲート内で潜り込んだために一旦全馬を引き出して、サリエルの馬装を整備し直して最大外枠に収まっての発走となった。

メイショウヘミングが、ゲートのタイミングがあまり上手く行かなかったようで、出た瞬間に一番後ろぐらいのポジションとなった。
内からダッシュよく出て行ったのがオレンジティアラ小牧太Jである。
真ん中から和田Jマイネルカリバーン、そして外に鮫島良Jジェルオブナイルだ。最内の太宰Jシャインも行き脚がついて上がってきた。
武豊Jメイショウヘミングは、後ろのほとんどブービーの位置であり、そこから前へ行くには無理な位置だった。
ジックリ構える作戦に切り替え、当然に内目の追走となるはずだった。

3コーナーに入って、軽快にオレンジティアラ。<が飛ばした。
その外に上がってきたのが、同じ勝負服(グリーンF)のジュエルオブナイルであった。
その後ろの外目に⑧枠のピンク帽だ。
内がダッシャーゴーゴーで、外がコスモディエスであった。
内ラチ沿いにはシャイン
その後ろにマイネルカリバーン
前のグループは、少しずつ外目に進路を取っていた。

さあ4コーナーである。
外へ張り出して行ったオレンジティアラに並んでジュエルオブナイル
その内のガラッと開いたところの真ん中を、シャインが通っていた。
さらに内ラチ沿いを、3コーナー手前あたりで内々を上がってきていたメイショウヘミングが、一番先頭まで押し上げてきていた。
直線に入ったところでは、進路を外に取った同じ勝負服の2頭が先頭に。
ジュエルオブナイルの伸びが断然に良かった。
粘る内オレンジティアラを残し気味にして、さらに加速をしてゴールを目指した。

一旦コーナーリングで4コーナーでは先頭に立ったように見えたメイショウヘミングだが、最後1Fからの伸びが全くなかった。
一瞬にして、後続の馬たちに追いつかれて先を越されてしまった。
脚が止まったようだ。
ゴール前では、ジュエルオブナイルもが止まった様に見えたほど、ダッシャーゴーゴーが凄い伸び脚で追ってきた。
ジュエルオブナイルの背中がグングンと近づき、鞍上の佐藤哲Jが猛然と追い込んだが、クビ差届かずの2着であった。

前半3Fを33.8で飛ばしたオレンジティアラ
この馬場で、外目に進路を取ってのものだけに、直線では力つきた感じの3着だ。
でも最後の2Fが、11.8に11.9とスピードの落ちない決着なのだから、仕方ない結果だろう。
ジュエルオブナイルは、外枠から好位で競馬ができ、3コーナーからは自らも積極的に出て行く強い競馬内容だった。
2着ダッシャーゴーゴーも、外枠が良かったのは確かだが、芝でも能力のある処を見せた。
大型馬で、まだ体が増えていたぐらい。
この2頭は、前走とも川田Jの乗り馬。
彼は新潟2歳Sの騎乗を選択と、ちょっと複雑な心境だったのかも知れない・・・


日曜新潟11R
新潟2歳S(JpnⅢ)
芝1600m
勝ちタイム1.34.4

勝ち馬:シンメイフジ(牝2、栗東・安田隆厩舎)

シンメイフジ、一番人気に応えて王者に!!

1番人気に支持されたシンメイフジだが、ゲートは今日もモッサリとしたもの。
しかし慌てず急がずの新潟競馬。
少しずつ少しずつと外目に進路を取って、長~い直線でさらに大外に出し、最後の最後に一番前にと踊り出て勝利をものにした。
岩田Jは、昨年のセイウンワンダーに続き、2年連続で大外強襲で栄冠を勝ち取った。

4角では、馬群の後ろを廻ってきたシンメイフジ
曲がりきってから外へ出し始めた。
まだまだ、前の馬が外へ外へと出て行くので、直ぐには大外へは出せなかった。
ジワジワと外へ出して視界がグーンと広くなったのは、ゴールがあと少しのところだった。
先に同じように後ろからジワジワと前へと出ていたフローライゼが、すぐ目の前で内から伸びようとしていた。
シンメイフジ自体は、その前から内へもたれる感じで、岩田Jが内からステッキを入れていた。
先に前に出たフローライゼが、外へもたれるように馬体が被さる感じになった。
もう、岩田Jもステッキでなく両手綱で、内へささるのを矯正しての追い出しだった。
馬も苦しいのか、体を捻じ曲げるような格好であった。
2頭が内へ切れ込みながらのゴールで、外のシンメイフジが明らかに前に出ていた。

最後の2Fが10.4でゴール前が11.8であった。
このトップスピードの時が一番苦しかったのだろう、シンメイフジ
ゴールを過ぎて終ってみると、差は1馬身に近いもの。
前半1000メートルが1.00.6のゆったりペースで、完全なる上がりの勝負となった。
長い直線658.7メートルを意識するジョッキーたち。
終い温存になるのは当然だろう。
切れ味勝負となった訳だが、前半から位置取りが関係ないほどにゆったりと行けたペースも良かった。
それも直ぐには大外へ出せないのも、結果的には良かったようだ。
最後の最後にグイと伸びたのだが、ゴール1F前のあの格好をみていると、まだまだ若さが出ているレース内容。
着差以上の強さであろうか。

レースを造ったのはハーティンハート
理想的な流れを演出しての6着は仕方あるまい。
4コーナーを内を開けて通って、馬場のいい処へ出してきて上がり勝負。
だが残り2Fからの決め脚決着で遅れをとったもの。
3コーナーをドンジリがシンメイフジ
その前にいたのがフローライゼ
4コーナー手前で、先にフローライゼが外から上がって位置を上げたのに対して、シンメイフジは最後に廻ってそれから馬の中を抜いてきた。
残り2Fあたりでは、ほとんど前の馬との差がなくなり、横一線から抜け出した2頭の決着。
『外へ外へと出てきた馬が最後にいい伸びをする』、どうやらこれが新潟2歳Sの勝ちパターンと今後もなりそうだ。