絶好の位置、3番手からラストインパクトが脚を伸ばす!!

ラストインパクト

14年10月14日(火)4回京都3日目11R 第49回京都大賞典(G2)(芝外2400m)

ラストインパクト
(牡4、栗東・松田厩舎)
父:ディープインパクト
母:スペリオルパール
母父:ティンバーカントリー

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かなりの雨と風で過ぎ去った台風19号。家を出る前にJRA・VANで開催のお知らせを観て、馬場状態が芝稍重にビックリ。自分の眼で確かめなければと、芝の上を歩いてみる。いや~本当、靴が濡れない。わずかに芝がくっつくが、水気なんてほとんどないのに驚く。そして風がある。これは後半は良馬場にまで戻るな~の読みどおりとなった。
トゥザグローリーの軽快な逃げ。2番手につけたタマモベストプレイの雰囲気もいい。3角過ぎて後続との差を考えると後ろでは届かないのではの不安が、直線入り口でいよいよ本物となる。3番手のラストインパクトだけがグイグイと伸びて行って、タマモベストプレイを捕えた。トーセンラーは3番手に上がるのがやっとで、メイショウマンボは直線ではサッパリの伸びと、近走と同じ競馬内容で終わった…。


台風一過は青空となるものではあるが今回はそんな恵みはなく、むしろ朝から涼しいを通り越して寒いぐらい。まして平日の開催となって、人が少な過ぎて風がよく通り抜けるのか、寒々としていた。パドックを取り巻く人もかなり少なく、後ろからでも見えてしまう。
トゥザグローリーの馬体が良く見える。体のラインがいい。返し馬もやけに良く見えて仕方がない。そして逃げて行く姿を観て嫌な予感がする。スタートしてすぐは遅かったのか、ひしめきあう中でフーラブライドがかなり行きたがるのか、ジョッキーが必死で御しているシーンがあった。しかし後はスムーズな流れとなる。

スタートして最初はタマモベストプレイが先頭だったが、1コーナーを廻るあたりでトゥザグローリーが先頭となっていく。ラストインパクトも2コーナーまでに3番手に上がってきている。
向こう正面に入ると、トゥザグローリーの逃げは軽快で、後ろをけっこう離しての逃げとなる。2番手タマモベストプレイと3番手ラストインパクトは離れずに追走していたのだが、3コーナーの坂を下って行く時には、タマモベストプレイが前と出ていき、トゥザグローリーとの差を詰めていく。ラストインパクトが3番手だが、それでも後ろのデスペラードとの差は2,3馬身ある。メイショウマンボが、トーセンラーと並ぶ位置だったのが少し順位を上げて坂を下っていく。
4コーナーへ入る前に縦長の展開を観ていて、今までの京都でこうやって逃げ馬に先行する馬がポツン、ポツンといる展開の時にそのまま残るケースを、イヤと言う程に観てきた。嫌な予感ばかりである。トーセンラーの手応えも悪くはないのだが、前との差が永遠と思えるぐらい遠く感じる。

2番手のタマモベストプレイが絶好の位置だと思えた。しかしラストインパクトの伸びは鬼気迫るものがあった。ラスト100でタマモベストプレイに並び、ラスト50でも前へは出ていなかったが、最後の最後にクビ差抜いていた。トーセンラーとヒットザターゲットがトゥザグローリーを抜いたのは、ゴール寸前であった。
ラップを観ると、全ての数字で12秒台の前半で経緯している。スタート直後だけが遅くて12.6である。遅いペースで逃げた訳ではない。

しかし上手いペースで逃げたトゥザグローリー。勝ち馬からコンマ4秒差であった。次走はもっと良くなりそうな馬体だった。トーセンラーは昨年と同じ着順。まだ体のラインが、流線型が厳しくなかったと勝手に思っている。次だな~と。
松田博厩舎の41勝だが、川田Jで23勝。重賞制覇も7勝のうち5勝と、黄金の数字だ。まだまだ続きそうだ。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。