【マイルCS】トーセンラー&フィエロ 藤原英昭調教師一問一答

11月23日(祝・日)に行われるマイルCS(G1)の共同記者会見が、栗東トレセンにて行われた。
厩舎から管理馬2頭の出走を予定している藤原英昭調教師の一問一答は以下の通り。

●京都の下り坂は「専売特許」

-:まず、トーセンラー(牡6、栗東・藤原英厩舎)について伺います。1年前のマイルCSでG1初制覇を達成しましたが、去年の今頃、先生は「マイルで戦える身体を作っている」とおっしゃっていましたが、どの辺りを工夫されていたのでしょうか?

藤原英昭調教師:去年は体質がちょっと弱かったので、その成長を待ちながらでした。能力があるのは分かっていましたけれども、それを活かすための体幹作りをするために、日にち的なところで成長を促すようにずっと待っていました。ただ、去年の今頃の時期は馬もゴーサインが出ていたので、勝負かなと思いながら、マイルCS用に仕上げていきました。

-:去年は見事な追い込みでした。

藤:京都の坂を利用して、勝負をしていくのは専売特許みたいなところがありますからね。なので、そこをうまく利用できるような馬作りというのを注意しながらしていました。

-:本当に京都の坂を利用するのが、トーセンラーは上手いな、という印象を受けます。今回も同じ舞台で、G1連覇に挑むという状況が近づいてきました。

藤:やはり、トーセンラーは去年勝たせてもらったおかげで、名誉も手に入れることが出来ましたので、もう一度、ここを最大の目標として去年から考えてきました。ここは勝負だと意気込んでいます。

-:注目の今日の調教ですが、武豊騎手を乗せまして、坂路で行われましたが、先生からはどのような指示があったのでしょうか?

藤:先週も乗せて、ある程度、負荷を掛けてやりました。そして今週も2週連続で乗ってもらって、確かめてもらいました。その過程の中で、どれだけマイル仕様になっているかを確認してもらうために坂路でやりました。指示としては、乗り慣れているジョッキーですので、今の状態がどれくらいなのかというのを確認してもらう程度でした。そこで「予想通りきている」という判断をしてもらいましたね。

-:先生の判断としてはいかがでしょうか?

藤:予想通り、良い感じにきていると思いますし、能力は発揮できると思います。

-:1年前と比べて、今年のトーセンラーはどうでしょうか?

藤:やはり、去年の方が若さがあるという点では、思い切った調教であったり、思い切ったパフォーマンスを目的に作ることは出来ました。ただ、今回は1つ歳を取ったということで、キャリアがありますので、馬の気分を損なわないようにしていました。あとは馬を信じて、ということですね。

-:今年の課題があるとするなら、どういった点でしょうか?

藤:京都に関しては課題はありませんが、あとは良馬場でやらせてもらって、というところが条件的にはありますね。

-:武豊騎手は「去年のような展開になれば良いな」という話をされていましたが、先生の考える理想の展開はどのようなものでしょうか?

藤:こればっかりは何とも言えないですね。去年はすごく嵌った感じがありますけども、今年はメンバーも違いますし、展開がどうなるか分からないです。ただ、キャリアはありますし、自在性もありますので、勝負できる位置にいたり、相手関係を見たりというところで、ジョッキーが計算しながら乗ってくれるのではないでしょうか。

-:史上5頭しか連覇を達成した馬がいないマイルCSですが、6頭目になる可能性大ということでよろしいでしょうか?

藤:そうですね。そのつもりでずっとやってきました。

-:それではトーセンラーについて、先生から一言お願いします。

藤:去年から完成の域に近づいて、ここが集大成と思っていますので、2連覇できるように頑張っていきたいと思います。応援よろしくお願いします。

●「若さという点ではフィエロ」

-:フィエロ(牡5、栗東・藤原英厩舎)について伺いますが、休み明けはスワンSを使い、素晴らしい脚を見せ、最後は3着と勝ち馬とも接戦に持ち込みました。

藤:スワンSで叩いてここ、ということを計算していましたから、そういう意味ではどのような走りをしてくれるのか、期待をして見ていました。さすがに勝った馬は強かったのですが、フィエロも終いはしっかり脚を使ってきているので、合格点かなと思います。

-:去年の今頃はまだ条件馬で、そこから3連勝して、OPでも結果を残してきました。1年間でどの辺りが強くなったのでしょうか。

藤:こちらもトーセンラーと似たところがありました。血統的にも、潜在能力的にも確信めいたものはありましたが、人間の手ではどうしようもないところがあります。なので、持っているものを生かすために、時間をかけて成長を促しながら、それに合わせて調教をして、心技体を鍛えるようにしていました。それがここ最近、トーセンラーに似たような成長曲線を描いて、しっかりしてきましたし、思うような調教も出来るようになりました。

-:フィエロのセールスポイントはどこでしょうか?

藤:体重も500キロ近くあって、馬力もありますし、乗りやすさもあります。それと脚質的にもトーセンラーと似ているところがありまして、終いはしっかり、確実に来てくれます。そういう点で、最後のところは安心して見れますが、道中はどの辺にいるのかという計算をしなくてはいけません。そこが色々な条件で狂ってくると、2着3着という風になりやすいです。今はそのようなレースが多いので、そういった点もジョッキーは気にしながら乗ってくれるとは思います。

-:今の京都は芝の状態が良く、タイムが出やすくなっている中で、春にはマイラーズCで1分31秒6を記録しました。

藤:勝った馬も強かったですが、こちらもそれなりに走っていますし、時計勝負になっても引けは取らないと思っていますので、あとはどのように捌くか、終い来れるか、だと思います。そこでちょっと窮屈になると、鈍ってしまいますから、そこら辺は課題としてあります。

-:実績のトーセンラー、勢いのフィエロであると考えてもよろしいのでしょうか?

藤:実績というよりも若さという点ではフィエロですよね。キャリアではトーセンラーです。そこでどう出るか、ということですね。

-:最後にフィエロに関して、抱負をお願いします。

藤:この馬もやっと、しっかりしてきて、常に結果を残せるような身体になってきました。ここで勝負というのは青写真的に描いてきましたので、この馬もしっかり作って、トーセンラー同様、勝負にいきたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。