ジャパンカップダート/平林雅芳の目

トピックス

日曜阪神11R
ジャパンカップダート(GⅠ)
ダ1800m
勝ちタイム1.49.9

勝ち馬:エスポワールシチー
(牡4、栗東・安達厩舎)

■エスポワールシチー、GⅠ一人旅で楽勝だった!

かしわ記念、南部杯とGⅠを連勝中のエスポワールシチーが、好枠も得て前売り段階から1番人気の支持。
並んだのはゲートだけと、完璧な勝利でJRAのGⅠ初勝利を逃げ切りで飾った。

ポンと好スタートから逃げるエスポワールシチー。
2番手にアメリカからの遠征馬ティズウェイが行くが、競りに行く気もなし。
結局、2コーナーを廻ってから実に落ち着いた流れとなり、1000メートル通過が1.00.7とこれ以上ないペースで行けた。
4コーナーを廻っても後続との差は詰まらず、3馬身以上もの差をあけての楽勝劇となった。

いや~今回もまた競馬ファンの底力には恐れ入る。
土曜朝からJCダートの単勝オッズばかり眺めていたが、ずーっと一貫して1番人気はエスポワールシチー。
展開面ではこの馬が行くのも良く判る。でもそれだけが全てではない。
『ここまで培ってきたいろんな面でヴァーミリアンの方が上のはず』と思っていた。
しかし一方的な競馬で圧勝された後は、しばらく呆然とさせられていた。
競馬は本当に難しい。この前見たあれはもう過去の事なのかと・・。 ゲートが開いてやはりエスポワールシチーが出て行った。

外国馬のティズウェイもスッと前へ。
外からワンダースピードもいいダッシュで前へ行く構え。
しかし、最初のコーナーリングでエスポワールシチーが楽に先頭に立って、2番手ティズウェイと落ち着いた。
2コーナーを廻る時には、もうティズウェイとの差は2馬身ぐらいあったのではなかろうか。
ヴァーミリアンも、最初はそんなに後ろでなかったのだが、知らぬ間に中団より後ろめになっていた。

向う正面ではゆったりと進んでいるのが判る。
安藤勝Jが外からマコトスパルビエロを上げて進出して行った。
外から交して行くのかと思ったが、3コーナー手前で2番手の位置まで。
サクセスブロッケンがいい感じで内に。
4コーナー手前あたりでは、ティズウェイが早くも手応えがなくなっていた。
エスポワールシチーは、直線に入ってもう一度ギアアップした感じで、後ろとの差を広げた。
ヴァーミリアンはと観ると、馬群の中で動けないのか、上がってくる感じがない。
もうエスポワールシチーの勝ちが大体見えた直線1ハロン過ぎ。
外のシルクメビウスが、後ろからいい脚で伸びてきた。
その後ろから最後にゴールデンチケットも伸びてきたがヴァーミリアンは馬の中から割ってくる勢いもなかった。

レースを終えてパトロールビデオを何度も観た。
ヴァーミリアンは、道中スーニの前後に位置。
4コーナー手前では、そのスーニがかかり気味な感じで、前で蓋をしているような状態となっていた。
でも、直線ではその分弾けてきてもいいのに、一度もエンジンがかからないいままと言った感じでレースを終えた。
エスポワールシチーの独壇場であった。
最後の1ハロンだけが12.9とかかったが、これはもう流し気味だったもの。
3コーナー過ぎからどんどんとピッチを上げて、後続に厳しい競馬をしいた内容であった。
本当に思い通りのレースだっただろう。
一番目についたのがシルクメビウスの内容。
来年はこの馬が一番出世するのだろうと予感させるものだった・・。
それにしても、他の馬も押しなべて走らなかった。ワンダーアキュート6着、マコトスパルビエロ9着でワンダースピードはブービーであった。
ここ数戦見せていた勝負強さを発揮できていない馬が多かった。
ここらが実に競馬の難しさ、読みの違いなのであろうか・・。

8日火曜朝の坂路入り口の角馬場で、ヴァーミリアンの元気な姿を確認した。
『ケロッとしているよ、走ってないわ』と久保助手の言葉に安心もしたし、サラブレットの微妙さにも嘆いてしまう。
でも、これで年末29日の東京大賞典には出走する予定だそうで、ひとまず胸をなでおろした。
そこで昨年の負けた鬱憤をも晴らさねばなるまい・・。


土曜阪神11R
鳴尾記念(GⅢ)
芝1800m
勝ちタイム1.46.5

勝ち馬:アクシオン
(牡6、栗東・二ノ宮厩舎)

久しぶりに見た大種馬サンデーサイレンスの子供の重賞勝利だったが、勝ち方は本当に楽。
直線1ハロン過ぎまで追う事をしていないもので、追い出してからはあっと言う間に後続にセーフティリードを保ち、これが重賞初挑戦とは思えないほどの強い勝ち方だった・・。

関東からの遠征馬が3頭。
その中で、栗東で調整されていたレッドスパーダが先手を取って出ていった。2番手にライブコンサート。
サンライズマックスも絶好のポジション。
あまりの遅い流れに、向う正面から3コーナーまでに外から秋山Jフィールドベアーが上がって行った。
しかし、本当に淡々とした流れでの推移。
どの馬も持ったままで4コーナーまで来た。
サンライズマックスは凄い手応えで直線に入り、前の馬の間を抜けてくるかと思って待っていたが、そこからが案外。
逆に、外からアクシオンが鞍上が何もしないまま、直線1ハロン手前まで上がってきた。
そしてそこら追い出す余裕。
あっと言う間に後続に差をつけて、最後はもうそんなに無理をしていない感じで、着差以上の強さであった。
勝ったアクシオンとは別な争いが後ろで繰り広げられていた。
イコピコが伸びあぐねている外から内ナムラクレセント、外にスマードギアが馬体を並べての追い比べ。
『ああ、今回もナムラクレセントがキッチリと先に入るのか』と思ったゴール前で、スマートギアの態勢が有利になったところでゴール。

思わず社台の関係者に聞いてしまった。
『サンデーサイレンスの子供が重賞を勝ったのは久々ではないですか』と。
何と、2年2ヶ月ぶりから今年になって復活。
春に条件戦1000万下を勝ち夏休み、そして前回でスピリタスを、インから先に出て封じて今回の快挙となったもの。
あの幸四郎Jがソングオブウインドで勝った菊花賞に出ていた。
5着だったのかとなかなか思い出せない。
それにしても、凄い復活劇である。何よりもこの勝ち方。
直線までどの馬も手応え十分、追い比べとなったのだが、鞍上の藤田Jが直線では一番追い出しを遅らせたぐらい。
直線でのラップが11.0~11.5であるから、それ以上の脚を使っている勘定。
嬉しい重賞勝ちとなった。

サンライズマックスは、道中最高の位置取りで直線でどれだけ弾けるのだろうかと思わせる手応え。
それがまったく正反対な伸びの鈍さは不可解。
イコピコは絶好の位置でのレース。
前半やや行きたがってはいたが、後はスムーズなレース運び。
直線半ばまではチャンスも十分と思えたのだが、伸びあぐねた。
そしてナムラクレセントだが、この馬の方が道中で行きたがっていた。
馬込みでなく、外目の位置取りとなったのがそうさせたのだろう。
それでも、直線で後ろから来ていたスマートギアとの壮絶な追い比べを繰り広げて、最後まで優劣がつかずの感じ。
やはり脚は持っている。
スマートギアも僅かながら賞金を加算。
夏シリーズで出られない悔しさを知っているだけに、今後にはプラス材料となるものだ。

最近は長期休養明けで勝つ馬をけっこう見かける。
アクシオンも長い休養を経ての復活。
条件戦の勝利は当然だろうが、遂に重賞勝ちまでたどり着いた。
来年はもっと活躍が期待できるだろう。
頼もしい馬が出現した。