ロンシャン競馬場のプールデッセ開催[和田栄司コラム]

10日、仏パリのロンシャン競馬場はプールデッセ(フランスのギニー)の日を迎えた。当日の馬場コンディションはボンスープル、多少の水分は含んでいるが良い状態である。最初に行われたのは3歳牡馬によるプールデッセデプーラン(仏2000ギニー)、58キロを背負った18頭が出て来た。人気は愛バリードイルが送り出すG2ヴィンテージS勝馬ハイランドリール(牡3歳/父ガリレオ)4.5倍、連対率100%と底をみせていないメイクビリーヴ(牡3歳/父マクフィ)7倍、日本産テールオブライフ(牡3歳/父ディープインパクト)8.8倍で続いた。

レースはオリビエ・ペリエ騎乗のメイクビリーヴが主導権を取った。イージーなペースをセット、1000m通過は1分01秒76、直線残り300mでミスターオウエン(牡3歳/父インヴィンシブルスピリット)が2番手に上がった時にはリードを2馬身に広げ、最後方から外を追い込んだニューベイに3馬身差を付けて逃げ切った。ハイランドリールは伸びきれず6着、テールオブライフは後方のまま13着と見せ場すら作れなかった。勝ちタイムは1分36秒85。

アンドレ・ファーブル調教師のワンツーフィニッシュとなった今年の仏2000ギニー、同師は6度目の優勝になった。メイクビリーヴはドバウィの初年度産駒マクフィを父に持つ。マクフィは遠征して2000ギニーを勝ち、その年のジャックルマロワ賞でマイルチャンピオンのゴルディコヴァを破った。そのマクフィの初年度産駒で2歳時2戦2勝、今季は初戦となった4月2日の準重賞ジェベル賞でライドライクザウインド(2000ギニー9着)にアタマ差敗れていた。

メイクビリーヴの通算成績は4戦3勝、2着1回。陣営はマイル路線を継続して使う方針で、次のターゲットをロイヤルアスコットのG1セントジェームズパレスSに定めた。

牝馬のプールデッセデプーリッシュ(仏1000ギニー)は、57キロを背負った3歳牝馬14頭によって争われた。人気は、カブール賞やアンプルダンス賞などG3・2勝のエルヴェヂャ(牝3歳/父シユウニ)2.3倍、G3ラグロット賞まで2戦2勝のメキシカンゴールド(牝3歳/父メダーリアドーロ)5.3倍、準重賞ラカマルゴ賞を勝って臨むサントアマランテ(牝3歳/父ルアヴル)9倍で続いた。

レースはフォンタネリセ(牝3歳/父ヴェールオブヨーク)が先行した。人気馬は中団にサントアマランテ、後方にメキシカンゴールドとエルヴェヂャがポジションを取った。直線、先行するファンタネリセが馬場のセンター寄りに進路を取った為、4コーナー内が空いた。そこを1000ギニー6着から連闘で遠征挑戦した単勝64倍の人気薄アイリッシュルーキー(牝3歳/父アザムール)が突き、300m残して抜け出した。

しかし、後方13番手から大外を追い込んだエルヴェヂャの脚はとんでもないものだった。レースの上りが、400m23秒56、200m12秒08だから、400mで21秒台、200mで11秒前後が刻まれたと推測できる。勝ちタイムは1分36秒48、4分の3馬身差2着アイリッシュルーキー、クビ差3着にエルヴェヂャより先に追い出したメキシカンゴールド、サントアラマンテは中団のまま伸びきれず9着に終わった。

クリストフ・スミヨン騎手は5度目の優勝、昨年に続いての優勝となったジャン・クロード・ルジェ調教師は通算3度目、オーナーのアガ・カーン殿下は4度目の受賞、陣営はロイヤルアスコットのG1コロネーションSを次の目標に置いている。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。