秋、開花の予感 タッチングスピーチが女王達を破る!

タッチングスピーチ

15年9月20日(日)4回阪神4日目11R 第33回ローズS(G2)(芝外1800m)

タッチングスピーチ
(牝3、栗東・石坂厩舎)
父:ディープインパクト
母:リッスン
母父:Sadler’s Wells

ローズS(G2)の結果・払戻金はコチラ⇒

最後方にミッキークイーン。その前にタッチングスピーチ。そしてトーセンビクトリーが少し前にいる。飛ばすのは桜花賞馬のレッツゴードンキシングウィズジョイの先手を構わず交して先頭でレースを造る。4角で後続がドッと寄ってくる。内で粘るレッツゴードンキ。馬場の真中をトーセンビクトリーが、いや、大外をミッキークイーンだ。と思う間もなく、その2頭の間を割ってタッチングスピーチが鋭く伸びて来て、あっと言う間に先頭となりゴールへまっしぐらだ。


例のごとく、ひとレース前からパドックで陣取って入ってくる馬を見る。最初からジックリと見たい。馬体の数字と印象をチェックしたりと忙しい。増えた馬は、それなりに理由があっていい傾向だ。
落ちついているのはトーセンビクトリー。その前を歩くディープジュエリーも初めて目の当たりにする馬だが悪くない。総じて大人しい馬が多い。返し馬を見てトーセンビクトリーが権利はもちろん、もしかして、とちょっとゾクゾクする予感でゲートオープンを待つ。


ミッキークイーンが後手を踏んだ。すぐに1頭だけ後ろに置かれる。レッツゴードンキが真っ先に出た。シングウィズジョイがグリグリと押して前に出て行く。レッツゴードンキが続く。ミルコJクイーンズリングも前だ。トーセンビクトリーは悪くないスタートだったが、ジワっとして後ろめになる。その後ろにタッチングスピーチ、最後方にミッキークイーン。けっこう縦長の展開だ。
2Fに入るあたりで、レッツゴードンキがシングウィズジョイを交して先頭に立って行った。クイーンズリングが3番手となる。中団が団子状態となって、ブービーにタッチングスピーチ、ミッキークイーン最後方だが、2頭とも内目のラチに近いところを進む。
3Fを35.1で通過して行くレッツゴードンキ。トーセンビクトリーの内にいるディープジュエリーが、やや掛かり気味になっているのが見える。

次の1Fをも11秒台で進むレッツゴードンキ。シングウィズジョイとの差は1馬身余り。1000mを58.4と、まずまずの流れ。シングウィズジョイが少し間隔を詰めていく。外を白い馬体がスーッと上がっていく。これは何だと見直すと、ティーエスクライと判る。前走、武豊Jが乗った馬で、短い処がいい馬。なるほどと思えた。その少し後ろをトーセンビクトリーもジワっと上がり気味になって4角を迎える。

縦一列で、トーセンビクトリーの後ろをタッチングスピーチ、その後ろにミッキークイーンで直線へ入ってくる。レッツゴードンキがもう一度、エンジンに点火した様だ。真後ろのシングウィズジョイがステッキを入れて追っているのに間が開いていく。トーセンビクトリーが前へと出てきそうな勢いとなる。内ラチ沿いをレッツゴードンキがまだ粘っている。
ラスト300のオレンジ棒が過ぎる。内がまだ出ているが、外の組の勢いがいい。大外に廻ったミッキークイーンが勢いづいて、トーセンビクトリーの前へと出た様である。まだ、内が出ているラスト1 F。トーセンビクトリーとミッキークイーンの間から、タッチングスピーチが違い過ぎる勢いで鋭く伸びてきた。

タッチングスピーチがいちばん前へと踊り出た。トーセンビクトリーは少し内へ切れ込む。苦しくなってしまったのだろうか。外のミッキークイーンも伸びてはいるが、タッチングスピーチのそれとはまるで違い過ぎる。トーセンビクトリーが3着、レッツゴードンキは4着。クイーンズリングがアンドリエッテの前で、電光掲示板の一番下だった。
やはり、あの札幌で500万下を勝った時の勢いが素晴らしかった馬で記憶に残っていたが、今回もしっかりと伸びた。これは秋の女王になれる予感がビリビリと伝わってくる。レッツゴードンキは、4角手前で後続があれ程にドッと来なかったら、もっと粘っこい競馬が出来た様な気がする。

夏の昇り馬、タッチングスピーチ。春の女王達をひと呑みする差し脚で、このまま秋華賞もいくのではないか。そんな予感がする。

一夜経った月曜の競馬。PVを見上げていると隣りで石坂師も観ていたので率直に疑問に思っていた事を訊く。《最近の流れですか~。今まで福永Jが乗っていたのにルメールJとなったのは…?》と失礼ながらたずねる。すると《いや~、そうでなくて福永君に打診したけれど乗る予定の馬がいて乗れないとの事。で、ルメールJに決めた後で、その予定の馬が使えなくなったらしい。そんないきさつなんだ…》だ。
悲喜こもごもである。おそらく札幌で勝った手応えから好勝負の予感は持っていたはず。勝負ごとは厳しい現実が待っている。ルメールJには嬉しい重賞勝利。
そして秋、淀でもっと大きな華を咲かせるかも知れない。そんな事を感じるレースでもありました。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。