影をも踏ませず リアファルが菊へとひとり旅!!

リアファル

15年9月27日(日)4回阪神7日目11R 第63回神戸新聞杯(G2)(芝2400m)

リアファル
(牡3、栗東・音無厩舎)
父:ゼンノロブロイ
母:クリソプレーズ
母父:エルコンドルパサー

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ダービー4着のリアルスティール。骨折が判明したが、秋には影響のないものと言われていた。実際、稽古での動きもすばらしく1番人気の支持となった。
前走に初芝での勝利となったリアファルがここも先手を主張。ティルナノーグが2番手をキープして流れは緩やかに進む。リアファルは4角を廻っても勢いは衰えず、結局、そのまま押し切った。リアルスティールが馬込みの中から脚を伸ばして2着を確保。菊花賞の優先出走権の3着までを確保したのは、トーセンバジル。終いに脚を使って滑り込んだ。


夏が戻ったとは言わぬまでも、けっこう暑さを感じる日差し。汗がしたたる馬もいるぐらい。パドックを周回する15頭。うるさい仕草で、時折、後ろを威嚇する様に蹴りをするリアファル。ティルナノーグも今日はちょっとイラついている。マッサビエルの馬体は以前に一度見ているのだが、外々を廻って悪くなさそう。サンライズセンスジュンスパーヒカルとやや発汗が目立つ。リアルスティールは元々ラインのそう太い馬でなく、スッキリとした仕上がり。
ジックリと馬体を観て、騎乗合図の前に戻って返し馬を待つ。4コーナーの方へとキャンターで向かう馬を見る。キロハナはもうひとつ物足りない。キャリアなんだろうか、走りが幼く見える。リアルスティールは申し分ない走り。判らないのがマッサビエル。もっと凄い馬かと期待していた自分がいる。

ゲートが開いた。ティルナノーグが、今回も悪くないスタートですっと前に出て行く。その前に、内からリアファルが出てくる。先に外を見たのがルメールJ。外から前へと出るつもりなのかを確認したのだろう。そこから少し行ってから、今度は武豊Jが内を見た。この瞬間にほぼ位置取りが決まった。内からレッドソロモン、中からバイガエシ。大外にゼンノブレーメンが2列目形成だ。リアルスティールはバイガエシの内、すぐ後ろにキロハナがいる。最後方に1頭だけマッサビエルで、その前にトーセンバジルで最初のカーブに入って行く。
2コーナーで1馬身半ぐらいのリードを保つリアファル。真ん中より少し後ろが開いてそこにキロハナ、ジュンスパーヒカルが並び最後方にはマッサビエルで、縦長の隊列で向こう正面に入る。ここらでペースはさらに落ちて、13秒台で息を抜く。

2番手のティルナノーグ。こんな絶好のポジションでレースを進められるとは思わなかった。もちろん、その前を行くリアファルはもっと楽だろう。完全に先行馬ペース。1000mを切るあたりで、最後方にいたマッサビエルが少し前に取り付きだす。各馬が半馬身ずつぐらいで等間隔となる。先頭のリアファルだけが、まだ1馬身前を行く。場内放送が《1000通過を1.02.4のペースで行っています》と告げる。
さらに3コーナーの坂をめがけて上がって行く各馬。だいぶ馬群は凝縮されてきた。だが、先頭はリアファルがやはり1馬身のリードを保つ。ラスト800にさしかかるまでに、ティルナノーグが前との間隔を詰めていく。後続もかなり間合いを詰め始める。

中団グループの馬が動きだし、外へ外へと上がってき始める。マッサビエルは大外を上がってきた。
最後のカーブへ入ってきた。ティルナノーグが前に並びかけに来ている。しかし何か変だ。外へ逃げ気味である。ゼンノブレーメン、バイガエシと外へ並ぶ。
直線へ入ってきた。微妙にティルナノーグが外へ張っている感じだ。その開いた内へレッドソロモンが入って来てはいるが、前を行くリアファルがまたリードを広げだした様だ。3列目のリアルスティールが、外へ出して追い上げ態勢だ。その右後ろにトーセンバジルも外へ出した様である。マッサビエルの勢いが衰えたのか、また後ろめとなっている。

ラスト300あたりで、ルメールJの左ステッキが1発唸る。ラスト200あたりで、バイガエシの外をリアルスティールが2番手に上がる。しかし前はまだ2馬身先にリアファルがいて、ラストスパートで再びルメールJがステッキを2発入れる。
ラスト100のオレンジ棒を過ぎるあたりで、最後にもう1発入れたルメールJ。セーフティリードでゴールを駆け抜けた。
2着リアルスティール。3着にトーセンバジルが上がって来ていた。キロハナはもう追わずに流れこんでのブービー。その少し前にマッサビエルだった…。

火曜朝、坂路監視小屋で音無師に話が訊けた。『芝はね~、春に若葉Sを使う予定をたてていたんだけど、ソエがだんだんとひどくなって使えなくなったんだ…』と言う。続けて『この兄弟は本当に良く走ってくれる。兄のクリソライトは父がゴールドアリュールでダート馬だったが…。フォルトファーレンは関東へ転厩したけども最近、芝へ使ってけっこう走っているよ』と。
母クリソプレーズの兄が、あのアロンダイトである。音無師は『何せ、長い距離がいい血筋だね~。菊花賞はカーブが6回。別に逃げにこだわらなくてもいいだろうし、面白い競馬はできると思うよ…』と、けっこういい感触を持っている感じであった。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。