【JBCレディスC】晴れ渡る大井の下で新女王ホワイトフーガが戴冠

●11月3日(祝・火) 大井競馬場8R 第15回JBCレディスC(Jpn1)(ダ1800m)

前日の雨がウソのように雲一つなく晴れ渡る火曜日。祝日と言う事もあり、多くの方が大井競馬場に来場し、11/1にOPENしたばかりのG-FRONT、ご当地グルメ、さらに様々なイベントも催され、場内はお祭りのような賑わいを見せていた。

今年で開設5年目、Jpn1昇格3年目を迎えるJBCレディスクラシック競走。砂の女王を決定するこの舞台で、3歳牝馬のホワイトフーガ(牝3、美浦・高木登厩舎)が、連覇を狙うサンビスタを下し新女王の座を射止めた。

レースは前半、真ん中からブルーチッパーが勢いよく先頭を奪い、「今日は先行しようと思っていた」と語る浜中騎手とアムールブリエが外目の4番手。その内に前年の覇者サンビスタがつけ、有力馬が先団に位置する流れ。その直後に「今日はサンビスタや他の有力馬を前に見ながらレースをしようと思っていた」と大野拓弥騎手が振り返るホワイトフーガが、理想通りの位置を確保した。

その後戦列は変わらず3~4コーナーへ。外を回る馬が多い中で、ホワイトフーガは内にこだわりジッと我慢する。大野騎手はこの時の心境を「理想通り内々の後ろで上手く運べました。4コーナーで他の馬の手が動いていたのに対して、僕の馬は手応えに余裕があったのでイケるかもと思いました」と語り、勝ちこだわるロスのない競馬に徹する、腹を括った鞍上の度胸の良さを感じた場面だ。

直線に向きホワイトフーガはサンビスタの内に進路を取ると、大野騎手のゴーサインに応えあっと言う間にサンビスタを交わし去り、結果は5馬身差の圧勝。2着に敗れたサンビスタも後続には2馬身差をつけており、鞍上の岩田騎手は「前走のガツンと来る手応えがなかったけど、この馬なりによく頑張ってくれていた。今日は大野に上手く乗られたわ」とホワイトフーガと大野騎手のコンビを讃えた。

レース後のジョッキーは皆泥だらけで、前日の雨が残った馬場状態を感じさせるものだった。そんな泥だらけの状態も気にならない程に、喜びを爆発させていた大野騎手。表彰式の後のインタビューの際は、観客席から「大野さんおめでとう!」という声援が送られ、大野騎手の人気の高さを感じさせた。そして祝福される人物がもう一人。大野騎手の隣には勝利を共に喜び讃えあう高木登調教師の姿があった。

勝ったホワイトフーガの大野騎手と高木登調教師のコンビと言えば、同日のJBCクラシック2着のサウンドトゥルーや、昨年のスプリンターズS勝ちのスノードラゴンが有名。レースを振り返り高木登調教師は「中間は本当に順調で、パワーも持続力もある馬なので、脚の使い処ひとつで上位に入れると思っていました。ジョッキーが上手くこの馬の力を引き出してくれましたね。」と信頼する鞍上を褒め、コンビの相性の良さを感じさせた。

そして今秋のGⅠレースの一つの流れでもある、個人馬主の活躍(廣崎利洋氏⇒野田みづき氏⇒北島三郎氏⇒金子真人氏。JBCスプリントは伊藤恵子氏、JBCクラシックは小林祥晃氏)がこの日も見られた。ホワイトフーガの西森鶴オーナーは初のJpn1制覇となり、現在は他にもニシケンモノノフ、バイメイメイなど今後ダート路線で飛躍が見込める馬を所有し、ホワイトフーガも含め中央での重賞制覇への期待もかかる。

新女王誕生で勢力図がガラリと変わった牝馬ダート界。「一戦一戦強くなっている事を実感している」と大野騎手と高木登調教師が共に語るように、これからも大きく成長が見込める3歳馬。今日の5馬身差の圧勝からも、ホワイトフーガによる長期政権の始まりすら予感させるレースだった。