ここも川田 サトノノブレスがレコードで勝利!

サトノノブレス

16年6月4日(土)3回阪神1日目11R 第69回鳴尾記念(G3)(芝2000m)

サトノノブレス
(牡6、栗東・池江厩舎)
父:ディープインパクト
母:クライウィズジョイ
母父:トニービン

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メイショウナルトが読みどおり逃げる展開。パッションダンスが向こう正面から早めに2番手につき、後続もどんどんと上がって行く。3角からヤマカツエースもその流れに乗る。そんな急流の展開の中で、馬込みの4番手でじっと脚を貯めていたサトノノブレス。直線のラスト1ハロンから末脚を発揮。先頭に立ってからは、後続の動きをシャットアウトさせるほどの勢いでゴールへを駆け抜けた。プランスペスカがあわや2着かと思える伸びを見せたが、ゴール前ではステファノスが2番手に入って、まずは平穏な結末となった。


メイショウナルトの逃げは、決して気持のいい逃げとはならず。頭の高い走りで、何か焦って行っている感じだ。いわゆる息の入らない先手である。単騎逃げが読まれていただけに、後続の追走がけっこう厳しい。MデムーロJの騎乗は積極策がモットー。パッションダンスが早くも向こう正面から動きだして前につける。その動きに後続も追随していく。休み明けのヤマカツエースも自分で動いていくタイプ。大外を上がっていく。メイショウナルトには余計つらい流れとなっていく。12秒台が、スタートしてすぐの1ハロンと1コーナーから2コーナーでの二度。ゴール前の最後の12.2は自身のものでないだけに、11秒台を8ハロン刻んでいる。それも十分に折り合ってのものでなく、ハミを噛んだままの先行。これでは持たない。4角を廻ってすぐに後続に馬体を合わされて、あっと言う間に馬群に飲み込まれてしまった。

そこからが本当の競馬。スルスルとサトノノブレスが出て行く。今の川田Jは切れ切れのタイミングである。瞬時に反応していく人馬である。その外へ上がっていたヤマカツエースだが、もがいても粘れない。
ラスト300のオレンジ棒を通過。メイショウナルトは、かろうじて先頭ももう手応えがない。パッションダンスがその外へ並び、一旦は先頭。だがその外へサトノノブレス。こちらの方が勢いで勝る。ヤマカツエースは伸びを欠きはじめる。むしろその内からのプランスペスカの勢いがある。ステファノスがヤマカツエースの外から来てはいるが、凄い勢いではない。

ラスト200。サトノノブレスがパッションダンスを抑えて先頭に立つ。川田Jの左ステッキが3連発入る。半馬身前に出たサトノノブレスだが後続の追い上げが急。プランスペスカの勢いがいい。ステファノスもジリジリと外を伸びだして来ている。左ステッキから右に替えた川田J。最後のひとムチを入れて、ゴール手前は手綱を両手で精いっぱい伸ばしてのゴール。
ステファノスが外から急接近して半馬身に近いクビ差まで迫っていた。ブービー人気のプランスペスカが、さらにクビ差の3着。パッションダンスが内で粘って4着。5着は内にもたれながらも末脚を発揮したマジェスティハーツ

サトノノブレスは、前半から枠順を生かしていい位置でのレース。パッションダンスのすぐ後ろにいた。向こう正面でも前の動きを見れる位置。3角からヤマカツエースが来た時にそれと併せる様な動きで4角は2列目の真ん中。パッションダンスとヤマカツエースの間でと、最高のポジションで直線に入って来た。ステファノスとプランスペスカはその後ろの列、前から2馬身ぐらいの差。この差が最後はクビ・クビ差になったのだから、4角手前のポジションの差であろうか。レコードは、開幕週の馬場コンディションとメイショウナルトの外連味のない逃げから流れたので、当然と言えば当然。3着までがレコード更新であったのだから。

ステファノスは、昨年暮れの香港以来の実戦だけに良く頑張ったと言えるだろう。ヤマカツエースは2月以来。早くから反応が悪かったのも休み明けの分か。サトノノブレスは天皇賞を使っているだけに、臨戦態勢がいちばんいい。それでもそれで結果を出せるかは別。別定戦で56キロとなっていたのも大きかったのかも知れない。
だが何よりも鞍上の勢いかも知れぬ。ダービーで負かした池江厩舎サトノのオーナーの馬で今度は重賞制覇。今、もっとも充実しているジョッキーなのだろう。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。