ミスエルテ、大外を一気 今日もノーステッキ勝利!【平林雅芳の目】

ミスエルテ

16年11/5(土)5回京都1日目11R 第21回ファンタジーS(G3)(芝外1400m)

  • ミスエルテ
  • (牝2、栗東・池江厩舎)
  • 父:Frankel
  • 母:ミスエーニョ
  • 母父:Pulpit

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ゲートが開いた瞬間に、圧倒的1番人気のミスエルテの姿が馬群の一番後ろにあった。驚きとともにどうなるのかと思えたが、道中はすぐに前のグループの馬の中で追走。坂の下りも余裕の手応えで下りてきた。軽快に逃げるショーウェイが内ラチ沿いを気持ち良く逃げこまんとするゴール前、大外から脚を伸ばしてきたミスエルテ。エンジンがかかってからの伸びは、ちと次元が違う脚色。手綱を抑えたまま、1馬身とちょっと差をつけてゴールを過ぎ去っていた。

松若Jは、ゲートセンスも良く前々でレースをするのが上手。先行争いをさばいて先手を取って、マイペースでショーウェイを導く。前半の3ハロンが35.5だから、これ以上ない流れを造っていった。道中はミスエルテを中心に誰しもが見ていただろう。スタートの瞬間はちと驚いたものだったが、その後の行きっぷりや位置取り、先頭からの全体を見ていても大丈夫と、安心して観ていられるものでもあった。ただ4コーナーを廻るあたりでは、少しだけ川田Jが見せムチを入れながらと、うながしていたのも事実。もっともそこらはペースの上がった瞬間でもあるから、仕方はないだろう。
馬場の真ん中から伸びるゴールドケープ、逃げてますます伸びてゆくショーウェイの2頭が馬群から抜けた直線ラスト200m過ぎだったのだが、ゴールが近づくにつれ、後ろの外を廻った馬達の伸びが勝り始める。

特に、ミスエルテの伸びは完全に前を捕らえる勢いとなる。直線半ばで促していた川田Jの手綱も、ゴールが近づくにつれただ持ったままとなっていく。ゴール板手前ではもう惰性がついた感じで、流し気味と思えるものだった。11.1~11.4がゴール前の2ハロンのラップである。そこを差してなお、おつりがあったミスエルテ。
父のフランケルが負け知らずの14連勝。この馬にもそんな期待を持ってしまいたくなるような今日の一戦であった。後はさらなるレベルアップされるであろう相手関係。そこでの戦いを楽しみにしたいと思うものである。

《私の幸運》はまだまだ続きそうであり、むしろ強い馬と戦った時が、より力を出し切れるのではないかと思えるファイテング・スプリット。次走を楽しみにしたい。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。