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重賞メモランダム【共同通信杯】
2010/2/9(火)
今季でも一番の寒気に覆われ、当日の入場人員(約3万4千人)は前年の8割以下。それでも、上位3頭はハナ、クビ差の大接戦を繰り広げ、熱い一戦となった。先手を主張する馬が見当たらない中、カワキタコマンドのため逃げでレースは進む。勝ちタイムは1分48秒2と凡庸だが、5ハロン通過が61秒6という超スローだけに、レースの価値を下げるものではない。ラスト3ハロンは11秒7、11秒2、11秒3。熾烈な決め手比べだった。
吹きすさぶ寒風にも、「半そで」で平気な強靭さをアピールしたのがハンソデバンド(牡3、尾形厩舎)。
2番手で我慢させ、流れを味方につけたとはいえ、満を持して追い出したアリゼオ(牡3、堀厩舎)に並びかけられても最後まで引かず、猛然と迫る二の矢、ダノンシャンティ(牡3、松田国厩舎)をぎりぎり退けて栄冠をつかんだ。3戦目の勝ち上がりでも、これで5戦3勝、2着が2回。ジュニアCも半馬身差だったように、勝つときは僅差だが、決して崩れない。長い直線を乗り切った勝負根性は立派である。
ただし、今後のクラシックとなれば、さらに課題は多くなる。陣営が示唆しているように、マイル路線で頂点を目指したほうが無難だろう。サンデーサイレンスの柔軟性を受け継ぐマンハッタンカフェの産駒であるが、母父アフリートの影響を受け、身のこなしは硬め。四肢の回転が速く、楽々とスピードに乗れる反面、うまく折り合えたとしても、長い距離となれば使える末脚には限界がある。
勝ち馬以上のポテンシャルを示したのがダノンシャンティ。
メンバー中で最速となる33秒5(次位はアリゼオの33秒9)の上がりを駆使しながら、今回はペースに泣いた。
今年のクラシック戦線は、2歳チャンピオンのローズキングダム(朝日杯FS2着のエイシンアポロンのことも買っているが)と、ヴィクトワールピサをはじめとするラジオNIKKEI杯2歳Sの上位馬がリードする構図。それがよりはっきりした結果ともいえるだろう。
ダーレー・ジャパン・ファーム生産のフジキセキ産駒。セレクトセール(08年1歳)での落札額は2750万円だが、母系は世界的な名血で、叔父にはラーイやシングスピールがいる。バックボーンも確かだ。
前走の3着にしても、ソエに配慮した仕上げ。まだキャリア3戦の同馬には、伸びる余地がたくさん残されている。今回も行きたがっていたように、ダービー向きの個性ともいえないが、皐月賞にはぜひ駒を進めてほしい。
通常ならば健闘したといえるアリゼオだが、単勝1.8倍の圧倒的な人気。
期待が大きかったぶん、落胆の3着だった。丁寧でありながら、しっかり仕上げる厩舎だけに、状態に問題があったわけではない。スタート後に落ち着かせようとしたタイミングで、外から被せられたのが痛かった。走ることに真面目すぎるため、抑えるのに苦労するのだが、本来は理解力に優れた馬。修正すべきポイントも明確である。この教訓がどう生かされるのか、次走も目が離せない。
3頭から2馬身離された4着以下は、現状の実力差。変わってきそうな素材としては、着実な進歩がうかがえたアースステップ(5着・牡3、勢司厩舎)、スタミナに見どころがあるタイセイレジェンド(6着・牡3、矢作厩舎)、今回はスムーズさを欠いたロジスプリング(11着・牡3、萩原厩舎)あたり。
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