まずは1勝 トゥザフロンティアがデビュー戦勝利!【平林雅芳の目】

トゥザフロンティア

17年7/22(日)3回中京7日目5R 2歳新馬(芝1600m)

  • トゥザフロンティア
  • (牡2、栗東・池江寿厩舎)
  • 父:ロードカナロア
  • 母:トゥザヴィクトリー
  • 母父:サンデーサイレンス

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稽古の動きも良く、馬格もあって見栄えする馬体。トゥザフロンティアは1.5倍の単勝支持を受けた。4コーナー手前では手応えがやや渋く、直線半ばでは内にもたれて前を行くアップファーレンの後ろで大丈夫かと思えたが、ホワイトJの右で手綱、左でステッキに促されて前進。最後は体ひとつ前に出てのゴール。ただただ素質だけで勝った初陣ではあったが、何よりも勝つことが一番大事なメイクデビュー戦。ほっとした勝利であっただろう…。

正直、4コーナーに入るあたりの鞍上の手が動いていたし、直線での反応もあまり良くないトゥザフロンティア、前を行くアップファーレンを交わせないのではと思えた直線の後50mであった。それも今度は内へ凭れてしまい、ホワイトJが右手で手綱を持ち、左手でのステッキで見せムチなのか、矯正しながらのゴール。最後はこれ以上に行くなとばかりに、慎重なゴールと見受けた。

ゲートで、関東からのロードトレジャーら3頭の出が悪い。出た瞬間に、3馬身ぐらいのハンデを背負う。好発はダンツセイケイとトゥザフロンティア。すっと前へ出るダンツケイセイ。すぐに福永Jのアップファーレンも好位4番手をキープ。その外でトゥザフロンティアの手綱が早くも少し動きだしていた。 前が遅いとみて、アップファーレンをさらに前に位置させる福永J。前半3Fは36.4とかなり遅い。内のニシノダンテと並び加減で行くニシノセイケイだが、本当にユッタリと進む。 前から後方まで7馬身ぐらいの小さな集団となって3コーナーを廻る。12秒台の後半と、見るからに遅い。トゥザフロンティアも前から5頭目、ロードトレジャーもすぐ後ろまで取り付いて来ている。

4コーナーに入る時に、トゥザフロンティアの鞍上ホワイトJの手綱だけが動きだす。同じ瞬間に、福永Jが前を捕らえる動き。前が残る流れだけに、早めの抜け出しを計るのか。その後ろでクビを少し斜めにしたトゥザフロンティア。《これで大丈夫?》と思えたもの。 ラスト1ハロン、各馬にステッキが入って最後の追い合いだ。前で粘るダンツセイケイ、その渋太さを交わそうとするアップファーレン。その後ろで遅々として前へ進まないトゥザフロンティア。 アップファーレンが前に出て押し切ろうかとする。内でもう一度、ダンツセイケイの差し返し。そこへやっと前進気勢となったトゥザフロンティアが伸び出した。

私が見ただけでも、直線で手前を大げさに替えたトゥザフロンティアである。実際はもっとイロイロとやっていたのではなかろうか。いわゆる何をしたいのか判っていない幼さなんであろう。 レース後のホワイトJのコメントに、その全てがあった。長い、なが~い戦いの最初の一歩。あんなこともあったのかと思える様に成長すればいい。そんなスタートのレースだったのでしょう…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。